犬の食性
動物たちの食性(本来食べるものの方向性)は大雑把に区分けすると3つになります。
肉食
ライオンやトラなどのネコ科動物、ワシやフクロウなどの猛禽類に代表されるような、他の動物を食べる食性のグループです。
ちなみにいわゆる「肉」だけ食べるわけではなく、消化管の中身や内臓、骨などもまるごと食べています。
草食
ウシやウマ、ヤギ、ヒツジ、ゾウなどの大型の動物もいれば、ウサギやモルモットといった小型の動物もいる、植物を食べる食性のグループです。
こちらも葉っぱばかり食べるわけではなく、実の部分や茎や根っこなども食べます。
雑食
ヒト、サル、クマ、ブタなどの、動物性のものも食べれば植物性のものも食べる食性のグループです。
このように区分けしていますが、厳密に分かれているわけではなく実際には雑食といわれていても環境によっては植物性のものしか食べていない場合もあるでしょうし、肉食と言われていても猫のように草を噛んで食べている場合もあります。
では犬たちはといいますと、実は雑食のグループに属しています。
オオカミたちは動物を狩って食べているじゃないかと言われていますが、オオカミたちも肉食とはいえかなり雑食に近い食性です。
また既に何万年も前から家畜化されている犬たちはオオカミよりうんと消化管が長くなり、消化酵素のアミラーゼの生成量も多いためより雑食性が強くなっているといえます。
そのため、ドッグフードも肉からだけ作られているわけでなく、成分をみると穀物や野菜なども含まれています。犬たちの食事を手作りする際は、お肉ばかりではなくバランスよく混ぜる必要があるんですね。
手作り食で加熱が必要な食材
犬たちの食事を手作りする場合、どの食材も基本的には加熱調理をした方がよいでしょう。中でも特に加熱が必要な食材を挙げてみます。
肉・魚類
お肉類に関しては、どのお肉でも加熱調理が必要です。
手作り食をする際に使用する食材のほとんどは、一般的なスーパーなどの小売店で購入すると思います。
鮮度の問題もありますが、一般的にカット加工されて店頭に並んでいるお肉の場合、その表面にはさまざまな細菌が付着している可能性があります。
人間もこれらのお肉を生食すると、場合によってはサルモネラ菌やカンピロバクターなどの細菌や、トキソプラズマなど原虫や有鈎条虫などの各種寄生虫に感染してお腹を壊したり、悪くすると重症化することもありますね。
犬も同様と考えてよいでしょう。E型肝炎ウイルスに感染する危険もあります。細菌や寄生虫などは加熱調理で殺菌をすると安全なのは御承知の通りです。
またお魚についてもアニサキスなどの寄生虫に感染している可能性が高く、生食をするより加熱したほうが安全です。
野生動物たちは生で食べている、とおっしゃる方もいるのではないかと思いますが、野生動物もそれらを生食して病気にかかっていないとは言い切れません。
万が一生肉から何かしらの感染症にかかってしまうと家庭内での犬から人への感染の可能性も高くなりますので、これらは安全のために必ず加熱しましょう。
卵
卵も適切に保存されているものであれば、人間が生食しても大丈夫です。そのため犬に与えても大きな問題はありません。
卵自体はとてもたんぱく質に富んで栄養価も高いため、手作り食には欠かせない食材ではありますがアレルギーを起こすこともあるためお腹の調子や皮膚の状態をよく見て与えましょう。
しかし生の白身については注意が必要です。白身にはアビジンという成分が含まれており、これは犬の体内でビオチン(ビタミンB7)の吸収を妨げる働きがあるといわれています。
生の白身を大量に食べさせる場面もないとは思いますが、ビオチンの吸収阻害を防ぐためにも加熱してアビジンの働きを無くしてからのほうが良いでしょう。
まとめ
犬たちの健康のためにも、食事には気を使ってあげたいものですね。
このほか、野菜類に関しては消化をよくするためにも加熱調理したほうが良いようですが、人間が生で食べられるものに関しては特に問題ないともいわれています。生であげる場合は鮮度に十分注意し、鮮度の落ちたものはあげないようにしましょう。