犬の毛色が薄く変化する理由
犬の毛色が薄く変化することを「退色する」と言います。退色することには犬の健康状態が深く関係しています。
1.成長過程で起こる遺伝的な変化
柴犬・ポメラニアン・チワワ・トイプードルなど、成長する過程で毛色が薄く変化することがあります。これは遺伝的な理由によるもので病気ではありません。子犬の頃は濃かった毛色が成犬になる頃には退色して明らかに薄く変化します。子犬の頃の愛犬と成犬になった愛犬の写真を見比べてみるとわかりやすいです。
2.換毛期に起こる変化
柴犬やポメラニアンなどのダブルコートの被毛を持つ犬種は、換毛期のたびに少し毛色が変化することがあります。一昨年は濃かったけど、去年は少し薄くなったように感じた。でも今年はまた濃い毛色に戻った!なんてことも起こります。
これは差し毛の量による変化で病気ではありません。差し毛とは表毛の上にまばらに生える毛のことを言います。やや淡色であるため、量が多いと被毛が全体的に薄く見えるようになることがあります。
3.トリミングの影響による変化
バリカンを使ってトリミングが行われたとき、毛色が薄く変化することがあります。ストリッピングという手法が必要なときに起こりやすいのですが、一般的なトリミングではほとんど行われません。ドッグショーに出場する犬によく行われる手法です。
例えば、ミニチュアシュナウザーなどの硬い被毛を持つ犬種です。ショーに出場するとき、頭や背中の被毛をより硬い被毛へと変化させるために行われます。
稀ではありますが、犬種や個体によってはバリカンによるトリミングを行うとき、ストリッピングという手法ではない場合にも毛色が薄く変化することがあります。気になる場合には、バリカンではなく全てハサミでお手入れしてもらうようにすると良いです。
4.ストレスによる変化
私たち人間がストレスで白髪が生えることと同じように、犬もストレスによって毛色が薄く変化することがあります。ストレスが軽減されることでまた濃い毛色へと戻ります。
引っ越しをしたとき、新しい家族が増えたとき、お留守番する時間が増えたときなど、大きな変化だけではなく些細な変化にも敏感でストレスをため込みやすい犬もいます。思いもよらぬことにストレスを感じている可能性もあるかもしれません。
5.栄養不足による変化
犬の毛色には様々なバリエーションがありますね。これは、メラニン色素の働きによるものです。メラニン色素は犬の体の中で常に生成されているのですが、この働きが正常であることによって毛色・ツヤ・ハリなどの美しさが保たれています。
しかし、栄養不足によってメラニン色素の生成に異常が起こると毛色が薄くなったり、被毛がパサパサになったりするなどの変化が起こります。これまでに与えていたドッグフードが犬の体に合わなくなっている可能性も考えられます。年齢や健康状態の変化によって食事も見直さなければなりません。
6.クッシング症候群による変化
クッシング症候群とは、副腎という臓器からステロイドホルモンが過剰に発生してしまう病気です。このホルモンは被毛に大きな影響を及ぼし、毛が薄くなる・退色するなどの変化が起こります。毛が薄くなることや細くなることによって、毛色が薄くなったように感じられることもあります。
まとめ
犬の毛色が変化する理由について6つ解説しました。
- 成長過程で起こる遺伝的な変化
- 換毛期に起こる変化
- トリミングの影響による変化
- ストレスによる変化
- 栄養不足による変化
- クッシング症候群による変化
ストレスや栄養不足によって薄く変化した毛色は、原因を改善してあげることでまた濃い毛色へと変化します。急激な毛色の変化があった場合には、ぜひかかりつけの獣医師にご相談ください。病気の可能性も考えることができます。