①家庭内での喧嘩
犬は飼い主さんの感情を読み取ったり、それに共感したりする能力があると言われています。そのため、大好きな飼い主さんがイライラしているときや、家族が喧嘩をしているときには不安になったりストレスを感じたりしてしまいます。
言葉がわからないと思っていても、犬の目の前で言い争いや喧嘩をしていると、犬はその気配や雰囲気を敏感に察知してしまうのです。
また、家庭内で喧嘩をしているとつい物を投げたり、足音やドアを開閉する音などが大きくなったりしてしまいます。犬に対して直接的にイライラをぶつけるようなことはなくても、飼い主さんのそうした姿を見るだけでストレスを抱えてしまいます。
犬は聴力に優れていて鋭い音や大きな音が苦手なので、喧嘩などに伴って家庭内が騒がしくなるとつらい気持ちになってしまうのです。
荒れた環境の中で育った犬は、噛み癖やいたずらなどの問題行動が起きやすいという調査結果も出ています。もちろん家族であれば多少の喧嘩をすることはあると思いますが、できるだけ犬の前では控えるようにしたり、冷静に話し合うように心がけてあげたりしてくださいね。
②過度なスキンシップ
犬は飼い主さんに構ってもらうことがとても好きで、自分からスキンシップを求めることも多いと思います。しかし、いつでもどこでも構ってほしいというわけではありませんし、犬の性格によってはあまりスキンシップが好きではないということもあるでしょう。
犬のストレスになるようなスキンシップをしないためには、飼い主さんの都合だけでスキンシップを取ったり、犬の反応を無視してスキンシップを取ったりということをしないのが大切です。犬にもひとりでゆっくりと休みたいときや、静かに過ごしたいときもあるでしょう。
そのようなときに、抱き上げられたり長時間なでられたりすると犬はストレスを感じてしまいます。また、寝ているときに急に触られたり抱っこされたりすると驚いてしまうので、やさしく声をかけてから触るようにするなど、配慮してあげてください。
犬と遊んだり、スキンシップを取ったりするときは犬の気分やタイミングをきちんと考えてあげることが大切です。その上で、強引な触り方や過度なスキンシップは控え、犬の反応を確かめながら触れ合うようにしてあげましょう。
③飼い主がストレスを抱えている
家庭内の喧嘩で犬がストレスを感じるというところで簡単に説明した通り、犬は飼い主さんの感情を感じ取って共感する能力があります。さらに、新たな研究によって飼い主がストレスや不安を感じているときに、飼い犬にもそれが伝染するということがわかったのです。
人間がストレスに長時間さらされていると、コルチゾールというホルモンが分泌されます。このホルモンは毛髪などに蓄積されますが、犬の体毛にも同様の現象が見られることがわかっています。
2019年にスウェーデンで行われた約60頭の犬と飼い主さんを対象とした研究調査によると、飼い主さんが感じているストレスの痕跡と、飼い犬の体毛に残ったコルチゾールの増減の痕跡が一致するという結果が得られました。
《参考文献》
”Long-term stress levels are synchronized in dogs and their owners”.nature. 06 June 2019
犬が飼い主さんのストレスを察知する方法は、飼い主さんの表情を始め声色や行動の変化を観察することで実現されます。
また、人間から分泌される汗のにおいなどでもその人のストレス状態を測ることができるとも考えられています。愛犬にストレスなく楽しい生活を送ってもらいたいと考えるのであれば、まずは飼い主さん自身の幸せを考えることも大切です。
まとめ
犬は人間同様、些細な要因でストレスを抱えてしまいます。また、ストレスによって問題行動が増えたり、免疫力が低下して病気にかかりやすくなったりもします。
ここで紹介したように、良かれと思っているスキンシップや遊びが犬のストレスになってしまうこともありますし、飼い主さんのストレス状態が犬に影響を及ぼすこともあります。犬にストレスなく快適に生活してもらうために、ぜひ一度家庭内や飼い主さん自身の状況を見直してみることをおすすめします。