1.分離不安
長時間鳴き続けていた疑い
声が枯れているということは、長時間鳴き続けていた可能性が高いです。愛犬の声が枯れていることに気づいたとき、もしそれがお留守番の後であった場合は飼い主さんがいない時間にずっと吠え続けていたのかもしれません。
分離不安となり飼い主さんの不在に取り乱していたのかも
分離不安症は犬の精神的な疾患で、不安障害の1つです。分離不安は飼い主さんと離れると極度に不安を感じてしまう状態のことを指します。お留守番時でなくても、家にいる飼い主さんの姿が見えなくなっただけで不安を感じてしまうこともあります。飼い主さんと離れる不安からパニックのような状態となり、
- 吠えたり鳴いたりし続ける
- 物を壊す
- 食欲の低下
- 下痢や嘔吐
- 自傷行動
などが見られます。飼い主さんの帰宅時や姿が見えるときには、
- 帰宅時に嬉ションしてしまうくらい興奮する
- 家の中でずっと飼い主さんの後追いをする
- 飼い主さんが出かける前に大騒ぎする
などの様子が見られることがあります。
分離不安を改善するには?
愛犬の分離不安の度合いによって対処法が異なります。比較的に軽度の場合は、飼い主さんと離れていることに慣れていくトレーニングによって改善する場合があります。愛犬に不安を与える要素を排除し、飼い主さんの姿が見えないときにもできるだけ安心して過ごせるようにすることも必要です。
また愛犬が飼い主さんに依存しすぎていることも要因となるため、飼い主さんの接し方の改善が必要がある場合もあります。しかし、症状が過剰な場合は行動を改善する対策に加えて精神安定剤などの薬物療法が必要な場合もありますので、一度かかりつけの獣医師に相談してみると安心です。
2.呼吸器系の病気
咽喉頭炎
1のように長時間吠え続けたことによって喉が炎症を起こすこともありますが、喉の炎症(咽喉頭炎)はそのほかウイルスや細菌の感染、有害ガスの吸引、食べ物を飲み込んだときに喉が傷付いたことなども原因として考えられます。
ケンネルコフ
犬の感染症の1つである「ケンネルコフ」はとても感染力が高く、犬がたくさん密集する場所で感染しやすいです。「ケンネルコフ」とは犬の伝染性呼吸疾患の総称なので、その原因となるウイルスや細菌は様々です。
原因となるウイルスや細菌を保有する犬と直接的に触れ合わなくても感染することがあり、特に生後6週間〜半年ほどの子犬がかかりやすいと言われています。ケンネルコフの症状は、
- 咳
- 発熱
- ぐったりする
- 呼吸が苦しそう
- 肺音の異常
- 食欲不振
などがあります。ケンネルコフの「コフ」は咳を意味し、気管が圧迫されたような咳が見られます。犬の咳は人間の咳とは違い「吐きたそうにする様子」と似ている場合もあり、それが咳であると気付きにくいところに注意が必要です。
咽頭麻痺
「咽頭麻痺」とは、喉仏の部分である咽頭の筋肉や神経に異常が出て麻痺が起こる病気です。先天性の場合と後天性の場合がありますが、犬の場合はほとんどが後天性と言われています。先天性の場合は1歳前後の若いときに、後天性の場合は10歳前後と高齢になってから発症することが多くあります。
- 原因不明の「特発性」とされる場合
- 筋肉の異常が起こる病気
- 神経の伝達障害や変性
- 甲状腺癌などの腫瘍
- 外傷
などが原因として挙げられます。咽頭麻痺を起こす恐れのある筋肉の病気には、重症筋無力症や多発性筋炎があります。その症状は、
- 声のかすれ
- チアノーゼ
- ゼーゼーという呼吸音
などがあり、呼吸困難を起こすことが特徴です。呼吸が苦しいため胸を大きく動かす「努力性呼吸」をするようになることで、熱中症や不整脈、失神などの症状が出る場合もあります。
まとめ
愛犬の声が枯れていると感じたときにまず考えられる原因は「吠えすぎ」と「呼吸器系の病気」です。犬も大きな声で吠え続けると声が枯れてしまうことがあり、吠え続ける要因にはストレスや不安などが考えられます。分離不安になっている場合、飼い主さんの姿が見えないと不安によって吠え続けてしまうことがあります。
一方で、声が枯れる症状が含まれる病気についても考えておく必要があります。声が枯れる病気の一例には咽喉頭炎・ケンネルコフ・咽頭麻痺などがあります。声が枯れていること以外にも愛犬に異変がある場合には早めに受診するようにしましょう。