犬の年齢
いくら寿命が延びたからと言っても、犬たちは人間と同じスピードで年を取るわけではありません。小型犬、大型犬で少々差がありますが、生後1年半から2年ほどで成犬となったあとは緩やかに加齢を続け、5歳になるころには人間でいう30代から40代という年代に差し掛かるようです。
そして7歳ころになれば、小型犬ならアラフォー世代、大型犬なら50代半ば過ぎ、といった具合です。ドッグフードの表示などを見ても7歳以降はシニア扱いになったりするのは、こういった人間に換算したときの年代がもとになっています。
また更に歳を重ね、10歳を超えるころになれば小型犬も50代後半、大型犬は70代後半ほどの年齢に換算されます。まだまだ元気なようでも、このころになると体のいろいろなところに不調や老化が目立つようになってきますので、ケアが必要な子も増えて行きます。
犬の老化のサイン
人間同様、犬たちもごく初期の頃から加齢による肉体的な変化が見られます。はじめはほんの少しなのですが、歳をかさねるごとに顕著になっていくのがどんな動物にも共通の老化現象と言えるでしょう。
1.被毛
5歳を超えるころから、目元や口元から少しずつ白髪が増えて行きます。もともと濃色の体毛の子は白髪が目立ってよくわかりますが、もとから白い子やベージュ系の被毛の子も、よーく見るとつやが無い白い毛が混じってくるのでだんだんと体毛の色が抜けていくように見えて行きます。
2.目
犬をはじめ動物たちは黒目がちなため、これはパッと見てすぐ気が付く部位と言えるでしょう。黒目がはじめうっすらと白くなりはじめ、徐々に瞳の奥が白くなっていきます。
多くは水晶体が加齢で白く濁っていく「白内障」です。これが進行すると視力が低下していきますが、ごく初期の白内障であればお薬で進行をゆっくりにすることもできますし、手術で改善することも可能です。
物によくぶつかるようになったり、呼んだ時にきょとんとして辺りを見回すようなしぐさが出てきたりしたときは視力が衰えてきたのかもしれないのでよく観察してあげましょう。
3.耳
犬は聴覚に優れていますが、加齢に伴い可聴域が狭くなっていきます。低すぎる声や高すぎる音などに反応しなくなっていくのです。呼ばれても反応しないようであれば随分と耳が衰えていると言えます。
4.歯周病、口臭
長年の習慣から歯磨きをちゃんとしている犬でも、加齢によって口臭がきつくなったりケアが行き届かなかったりする部位で歯周病が起こったりします。また、どんなにケアをしていても加齢によって唾液の分泌が少なくなるため、虫歯のリスクが高まります。
5.筋肉量が低下する
加齢に伴い犬たちも運動しよう、散歩しようという意欲が低下します。若い頃はなんでもなかった段差に躓いたり、歩くスピードが低下したりするのは、体の筋肉量が低下しているからです。
足腰の筋肉が減るとさらに運動を嫌がるため、運動不足から肥満になりやすくなったり逆に消費エネルギーが少なくなるため食事量も減って痩せていったりといった身体的変化が見られます。
筋肉量が減って躓いたり転びやすくなったりする可能性と、別の脳神経系のトラブルで転びやすくなったりする可能性が考えられるため、動きたがらなくなったら犬たちの歩行の様子をよく観察していきましょう。
6.認知症
老化が進むにつれ脳血管のトラブルや栄養障害などから、脳神経や自律神経の機能が低下していきます。これが進むと犬も認知症とみられる行動から、日常生活にトラブルを生じる可能性が高まります。
意味もなく単調に吠える、昼夜逆転して深夜に行動する、とぼとぼ歩く、狭いところで方向転換が出来なくなる、トイレの粗相が多くなる、無気力、などの症状がゆっくりと進んでいきます。
有効な治療法は現在のところ見つかっていませんが脳の働きを支えるサプリメントやドッグフードなどで症状が軽減する場合もあるとの報告もあります。シニア期に入ったら発症させない予防を心がけることが大切です。自律神経などを乱さないためにも、生活リズムを整えたり適度な運動をさせたりすることはとても重要ですね。
まとめ
生き物は誰でも、どんな動物でも老化していきます。それに伴う体の変化や心の変化など、周りも心配になってしまいますが実は変化していく本人(本犬)が一番不安なんですよね。
一緒に生活している私たちが日々よく犬たちを観察し、生活するうえで不便や不安が無いようにしてリラックスして過ごせるようにしてあげたいものです。