心理①飼い主のにおいがするところで寝たい
ベッドや布団などで犬と一緒に寝ていると、気がついたら犬も枕も使っていた…ということは珍しいことではないでしょう。かわいい寝姿にほっこりしつつも、「犬なのに枕いる!?」と思う飼い主さんもいるはず。
しかし、犬が枕を使っているときでも、犬自身には特にその意識がない場合もあります。単純に飼い主さんの顔の近くで寝たい、抱っこされて腕の中で寝たいという気持ちで寄り添っているうちに、枕の上に顔が乗っているということがあります。
また、枕からは飼い主さんのにおいが強く感じられるということも枕を使う理由となります。犬は飼い主さんのにおいがするものが大好きです。
そのため、留守番中などに、においが残りやすい靴下やスリッパなどを噛んだり、自分のハウスに持ち込んだりすることがあります。留守番中にひとりで寂しくなったときや、飼い主さんが恋しくなったときにベッドや布団に乗ったり、枕を使って寝たりすることがあるのです。
心理②枕の上の寝心地がいい
飼い主さんと一緒に寝ているときでも、そうでないときでも枕を使って寝ている場合、枕そのものの感触や寝心地が気に入っているということもあるでしょう。犬にもそれぞれ好みの寝心地や寝相というものがあります。
私たち飼い主は自分好みの寝具やクッションなどを選ぶことができますが、犬はその環境にあるものの中でより快適な場所を見つけようとします。そのため、飼い主さんと一緒に寝ているときなどに、たまたま枕の心地良さに気がついて気に入ってしまうということは十分考えられます。
特に、平坦な場所に寝るよりも壁などに寄り掛かるようにして寝るのが好きな犬や、顎を高い場所に乗せて寝るのが好きな犬は枕を好んで使う傾向にあるようです。
心理③自分の方が上だと考えている可能性がある
犬が枕を使って寝ている姿はとてもかわいらしいものですが、中にはあまり好ましいものではないと考えられることがあります。特に、犬と飼い主さんが一緒に寝ているときに犬が枕を使っているときは注意が必要だと言われています。
その理由は、犬が飼い主さんの頭の近くで寝ているということから、自分の方が立場が上だと考えている可能性があるためです。群れで生活する動物は、自分よりも立場が上の相手の頭の近くで寝ることはありません。
リーダーなど明らかに立場が上の相手の近くで眠るときは、お尻の方向や足元で寝ることが自然と身に付いています。そのような性質を持つことから、犬が飼い主さんの枕を奪うようにして寝ていたり、頭の上方向で寝ていたりする場合は、優位性を示そうとしていると考えられているのです。
ただし、この考え方については動物行動学者など専門家の間でも意見が分かれています。確かに野生動物の群れの中ではそのような行動が見られますが、家庭で育つ家犬の場合には必ずしもそれが当てはまるわけではないとも考えられているのです。
近年では、現代に生きる家庭犬は、特に主導権やリーダーという立場について意識していないことも多いという考えが広まってきています。そのため、枕を使って寝ることも、優位性を示すために頭の近くで寝ているわけではなく、信頼している相手のそばにいたいという単純な愛情表現だと考えられるようになってきています。
日頃から、攻撃性を伴うようなわがままや激しいいたずらなど、問題行動がないようであれば枕を使うことについては特に気にする必要はないでしょう。もしも、飼い主さんが枕を使うために犬をどかすときなどに、唸ったり怒ったりすることがあれば要注意!関係性を見直して、しっかりとしつけを行うようにしましょう。
まとめ
犬が枕を使っているときは、飼い主さんの顔のそばや胸元で寝たいという気持ちで寝ているのかもしれません。特に飼い主さんが一緒に寝ているときだけに枕を使っているのであれば、単純に飼い主さんのそばにいるために、たまたま枕を使うことになったということが考えられます。
また、枕には飼い主さんのにおいが強く残っていることが多いため、大好きな飼い主さんのにおいを身近に感じるために枕を好んで使うということもあります。さらに、枕そのものの感触が気に入って使っている場合もあるでしょう。
犬が飼い主さんの頭の近くで寝ることは、優位性を示すためだと考えられることもありますが、必ずしもそうではなく親愛の情のあらわれとも言われています。普段の生活で問題行動が目立たないようであれば、犬が枕を使うこと自体に問題はないでしょう。
しかし、衛生面やお互いの怪我の可能性なども考慮してやめさせるというのもひとつの選択肢です。枕を使わせることに悩んでいる場合は、それぞれの関係性や環境に合わせて考えてみてくださいね。