1.家具や物にぶつかる
視力が衰えてくると、お家の中で家具や柱などにぶつかることが増えるでしょう。和室につながる襖の段差のように、今までならなんともなかった段差にもつまづくようになることもあります。
たとえ全く見えなくなっても犬には優れた聴覚や嗅覚があるため、見えない状態に慣れてくれば家の間取りを感覚で覚えてぶつからずに行動できるようになります。ただ筆者の全盲の愛犬を見ていると、嬉しいときや興奮したときには動作も激しくなるため壁や柱にぶつかりやすくなる傾向があります。
2.恐る恐る歩く
「ぶつかるかも」と学習すると、今度はおっかなびっくり歩くようになるでしょう。家の中の配置をなんとなく覚えてきた後で「この辺に段差があった気がする」というかのように、何度も段差を登るような動作をしてその場を確かめることもあります。
嗅覚だけでなく鼻先に物が当たる感覚も頼りにしていることもあり、マズルを振って周囲の物を探るように歩くこともあります。
3.お散歩中に固まってしまう
視力が落ちてしまうと、お散歩への意欲が減ってしまうことがあります。見えないことに慣れるまでは、慣れ親しんだお散歩コースも不安でいっぱいになってしまうためと考えられます。
例えば、今まで何事もなく避けてきた「排水溝の鉄格子」に気付かず足を取られてしまったり、視力が弱ったことで真っ直ぐ歩けなくてポールにぶつかってしまったりするなどを経験すると「お散歩は不安」というネガティブな気持ちになりやすいです。
ある程度慣れてくるとお散歩も楽しめるようになりますが、大きな音や強い風などにびっくりすると固まって動かなくなってしまうこともあります。しかし、筆者の愛犬は全盲にも関わらずお散歩が大好きなので、お散歩への意欲には個体差がありそうです。
4.飼い主の近くに居ようとする
視力が衰えると不安を感じやすくなるため、飼い主さんやご家族の近くに居ようとする時間が増えることがあります。今まではしなかった「後追い」をするようになったり、近くにいないと不安で鳴いたりすることも。
わんちゃん自身が視力が低下した状態に慣れてきたり、不安を感じないようお部屋の環境を整えてあげたりすると、わんちゃんも安心して過ごせるようになるでしょう。引っ越しや模様替えは視力の低下した子には大きな不安となるため、愛犬の不安をケアする対策が必要です。
5.よく鳴くようになる
視力が低下すると、その代わりに「音」に敏感になりやすいです。今までは特に気にしなかった物音にも不安や警戒を感じやすくなるため、音に反応して吠えたり鳴いたりする頻度が高くなることもあります。
また視力が低下すると飼い主さんに「助けて」とアピールすることも増える傾向があります。筆者の愛犬は「抱っこしてほしいとき」や「困ったことが起こったとき」に、不満を訴えるときのような鳴き方で自己主張することが多いです。
まとめ
犬はもともと視力が人間ほど良くなく、嗅覚や聴覚など他の器官にも頼って生活しています。愛犬の視力の低下にはなかなか気付きにくいため、些細な様子の変化でも視力の低下を疑ってあげることが大切です。
中には白内障の進行によるブドウ膜炎によって「ある日突然視力が低下した様子」になることもあります。ブドウ膜炎は痛みを伴いますし、眼だけの問題ではなく全身性疾患の結果起こることもあります。糖尿病にかかると高い確率で白内障になると言われています。このように他の疾患が原因である場合もありますので、愛犬の視力低下は早期発見が重要です。
視力が低下しても慣れてくると問題なく生活できるようになることが多いのですが、模様替えを極力しないようにすることや、愛犬がぶつかっても安全なように角にクッション材を貼るなどの工夫をしてあげると愛犬が安心して生活しやすくなります。