心理①体がかゆい、違和感がある
犬が体を掻く心理としてまず考えられるのが「かゆいから」ということです。当たり前のことに感じると思いますが、かゆみひとつにしても様々な原因が考えられるということも覚えておきましょう。
体にかゆみが起こる原因として、皮膚に何かが触れたり被毛がもつれてひっぱられたりという一時的なことや、乾燥や虫刺されなどのトラブルがあります。かゆみが起こる皮膚トラブルの要因としては、アレルギーやアトピーの症状、細菌や寄生虫感染などが一般的です。
また、外耳炎を発症しているときに耳だけを上手にかけず、頭や首元などを掻くこともあるでしょう。その他にも、甲状腺疾患や腫瘍がなど重大な疾患が原因となっていることもあります。その他にもストレスなどが原因となる場合もあるとされています。
愛犬が皮膚をかく頻度が多くなっていると感じたら、かいている場所を中心に全身の皮膚の状態を見たり、触ったりしてチェックするようにしましょう。かゆみが強くかきむしってしまうと、皮膚が傷ついて出血することもあるので、あまりにもかくことが多い場合は一度動物病院で診てもらうことをおすすめします。
心理②不安や緊張、ストレスを感じている
犬は、かゆみを感じていないときでも体をかくことがあります。体をかくことは、犬のボディランゲージである「カーミングシグナル」のひとつと考えられています。
カーミングシグナルは、犬が不安やストレスを感じたときなどに自分に気持ちを落ち着かせるために行うボディランゲージです。不安な気持ちや興奮状態を抑えるために、体をかいたりあくびをしたりといった行動をするのです。
しかし、カーミングシグナルは一般的にあまり知られていません。そのため、犬のいたずらなどを叱っているときなどに、このような行動をして余計に飼い主さんから叱られてしまうことも珍しいことではありません。何かを指示したり、叱っていたりするときなどに突然体をかき始めたときには、犬がストレスを感じているのかもしれないと考えてみてくださいね。
心理③敵意がないことを相手に伝えたい
体をかくという行動は、自分の気持ちを落ち着かせるためのカーミングシグナルというボディランゲージだと説明しましたが、それには他の意味も含まれています。自分の気持ちを落ち着かせるとともに、目の前にいる相手に対しても「落ち着いて」と伝えるために行います。
また、初めて会う相手や怒っている相手に対して「敵意はありません」という意思を伝えるためにカーミングシグナルを行うことがあります。飼い主さんに対してそのような様子が見られたら、叱り方や接し方を一度考え直してみてくださいね。
まとめ
犬が体をかく行動は、皮膚トラブルが起きていてかゆみや違和感を抱いているときに多く見られます。それほど神経質になる必要はありませんが、かく頻度が極端に増えたときや同じ場所ばかりかいていることに気がついたときには、一度全身のチェックをしてあげましょう。
毛をかき分けて皮膚を見たり、手で全身をなでて皮膚の傷や湿疹、しこりなどがないか確認したりするようにしてください。皮膚はかきすぎると傷ついて、余計にかゆくなったり他のトラブルを引き起こしたりすることがあるので注意しましょう。
また、犬は自分の気持ちを落ち着かせたり、相手に対して敵意がないことを示したりするためにも体をかくことがあります。ストレスを感じるような状況や、初めて会う相手の前などで体をかく様子が見られたら、そうした意思表示の可能性も考えてみてくださいね。