1.視力の低下と病気
犬が物や壁にぶつかる時、視力の低下と目に関する病気の発症を考えることができます。視力は加齢と共に低下します。シニアを過ぎた頃から、または老犬となった時に目に白い濁りが感じられるようになります。水晶体が白く濁るのですが、ほとんどの場合が加齢によるものです。もしくは、目に関する病気を発症している可能性があります。
白内障
白内障は10歳を過ぎた頃に発症しやすいとされていますが、若い年齢でも発症することがあります。少しずつ進行し、視力が低下し、物や壁にぶつかるようになってしまうことがあります。
白内障によって視力が低下してしまった時、または視力を失ってしまった時、犬は聴覚や嗅覚を使って生活を送るようになります。慣れるまでは物や壁にぶつかることが多くあるかもしれませんが、慣れれば普段の不自由ない生活に戻れることもあります。
進行性網膜萎縮
映像や光を感じ取る網膜という部分が委縮または変性することで発症する病気です。遺伝性が高いとされています。視力が少しずつ低下し、やがて失明してしまう病気です。視力があるうちは、昼間は正常に生活しているように見えますが、夜になると物や壁にぶつかるようになることがあります。
また、光を感じることができない暗い場所では特に物や壁にぶつかりやすくなり、敏感に反応したり怖がる様子が見られることもあります。
2.骨や関節の病気
犬が物や壁にぶつかる時、骨や関節の病気の発症を考えることができます。犬の骨や関節の病気には様々な進行性疾患がありますが、早期発見と早期治療が行われなかった場合、少しずつ症状が悪化し、痛みを伴い、手術が必要となることもあります。違和感や痛みによって歩行が困難になり、物や壁を上手く避けることができずにぶつかってしまうのです。
- たまに足を上げて歩くことがある
- 跛行(はこう)が見られる(足を引きずるなど)
- 座る時に足を完全に投げ出している
- 元気や食欲がない(痛みによって)
- 後ろ足の幅が狭い
- 階段や段差を嫌がるようになった
このような症状が見られることがあります。
3.脳の病気
犬が物や壁にぶつかる時、脳の病気の発症を考えることができます。
脳腫瘍
老犬に発症しやすく、早期発見が難しい病気です。てんかん発作が起こることで発見されることがほとんどです。犬の脳腫瘍の発症率は0.02%ほどであるされていますが、種類は様々にあります。
例えば、リンパ腫・髄膜種(ずいまくしゅ)・神経膠腫(しんけいこうしゅ)・下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)があります。脳腫瘍は脳の圧力が高まることで脳ヘルニアという状態を引き起こすことがあります。そうすると、症状は急激に悪化します。命の危険を伴う可能性が非常に高いです。
主な症状は次の通りです。
- 物や壁にぶつかる
- 元気や食欲がなくなる
- 段差を飛び越えられない
- 徘徊する
- 動作がゆっくりになる
- 歩くことや走ることを嫌がる
脳がダメージを負ってしまうと、脳から出る指令にも異常が起こります。物や壁を避けようとするものの上手く避けることができずにぶつかってしまったり、物や壁との距離感が上手く把握できずにぶつかってしまうことがあります。
まとめ
犬が物や壁にぶつかる時に考えられる原因として次のような病気を発症している可能性があります。
- 視力の低下と病気
- 骨や関節の病気
- 脳の病気
初期段階では老化による症状かな?と思われがちですが、病気はすでに進行しています。少しでも違和感や異常を感じた時は、一度病院で検査を受けてみてはいかがでしょうか。初期段階であれば完治できる病気もあります。進行を遅らせることもできますし、今以上に悪化してしまうことを防ぐこともできます。