犬の心理①うれしい、楽しい
犬がしっぽを振っているときは、楽しいときや喜んでいるときだと思っている人が多いと思います。しかし、しっぽを楽し気に振りながらワンワンと激しく吠えている犬を見ると、「うれしいの?怒ってるの?」とわからなくなってしまうこともあるでしょう。
犬がしっぽを振りながら吠えているときの心理としてまず考えられるのが、うれしくてたまらず、興奮が収まらないということです。飼い主さんが家に帰ってきたときや、大好きなおもちゃやおやつが出てきたときなど、喜びが爆発してしっぽを振りながら吠えてしまうのです。
うれしい気持ちでしっぽを振っているときは、しっぽの付け根やお尻ごと大きく左右に振ります。ブンブン振る、という表現がぴったりの振り方で、「うれしい!」「楽しいよー♪」という気持ちがよく表れています。
吠え声はやや高めの声で、1回か2回単発で吠えます。目を輝かせて「ワンッ!ワンッ!」吠えながら、体全体を動かすようにしっぽを振っているときはうれしくて楽しい気持ちがあふれているのでしょう。
犬の心理②不安、警戒している
不安な気持ちを抱えているときや、相手やその場の状況に対して警戒しているときにもしっぽを振りながら吠えることがあります。
不安な気持ちのときは、水平よりも低い位置で左右にゆっくりとしっぽを振ります。特に警戒しているときは、激しい動きを見せないために、様子を伺うように静かにゆっくりとしっぽを振る様子が見られます。
うれしさと不安が半々のときや、緊張状態が強い場合などさまざまな状況が見られますが、不安な気持ちが強いほどしっぽが低い位置になるとも考えられています。
不安な気持ちだけの場合はあまり大きく吠えることはありませんが、警戒心が強いときには相手への警告や周囲の仲間に状況を知らせるために吠えることがあります。こうした状況のときは、やや低めの平坦な声で吠えます。
犬の心理③威嚇、攻撃行動
警戒心がさらに強まって、相手に対して明確に威嚇したり、攻撃行動に移ったときも犬は吠えてしっぽを振ります。犬は威嚇のときや激しく起こっているときにもしっぽを振るため、注意が必要です。吠えていてもしっぽを振っているからと安心して、不用意に近づいてしまうと犬の警告を無視したことになり、噛みつきなどの攻撃を受ける可能性があります。
犬が警戒心を持ってしっぽを振るときは、水平にして左右にゆっくりと振っています。威嚇や攻撃的な感情が強くなっているときは、しっぽを垂直に立てて小刻みに震わせます。うれしいときや楽しいときは、リラックスしてしっぽをゆらゆらと振っています。
しかし、威嚇や攻撃の際には、全身が緊張しているのでしっぽにも力が入ってピンとした状態になる場合がほとんどです。吠え声は太く大きく「ワンワンワンワン!!」、連続してけたたましく吠えます。
まとめ
犬がしっぽを振ったり、吠えたりするのはさまざまな理由があります。「しっぽを振る=うれしい、吠える=攻撃」というような単純なことではなく、どちらも興奮状態を示す行動です。その興奮は、“楽しい、うれしい”というプラスの感情だけでなく、“不安、警戒”などといったマイナスの感情によるものもあります。
そのため、しっぽを振っていることや吠えていることだけを見ても、その感情を判断するのはむずかしいでしょう。犬の心理や感情を理解するためには、吠え声や尻尾の動きとともに、表情や耳の動き、姿勢などを見て総合的に判断する必要があります。
また、ボディランゲージによる感情表現は、個体差もあるので愛犬の様子を日頃からよく観察しておくと、気持ちをしっかりと理解することができるでしょう。