深刻な精神病…実は犬も例外ではない
近年、人ではうつ病や対人恐怖症など、さまざまな精神病が深刻な問題として取り上げられるようになりました。しかし、こうした精神病は人間だけに当てはまる症状ではありません。実は、犬も精神病になることがわかっているのです。
犬がかかりやすい主な精神病は以下の通りです。
- 分離不安症
- 常同障害
- 恐怖症
特に、家族として過剰な愛情を注がれた犬に多く見られる分離不安症は、飼い主の姿が見えなくなるだけで強い不安やストレスを感じる非常に深刻な精神病です。精神病は、どんな犬でもなる恐れがあるので、飼い主が接し方や兆候に気をつけてあげる事が大切です。
犬の精神病…サインや症状は?
では、犬が精神病になってしまった場合、あるいは精神病に陥る寸前には、どのようなサインや症状が見られるのでしょうか。ここでは犬の精神病で見られるサインや症状を紹介するので、愛犬に下記のような症状が見られる場合は、今一度、接し方を見直したり、かかりつけの動物病院や心因性の病気の治療を行っている動物病院に相談しましょう。
1.食欲や元気がなくなる
精神病になる兆候として、今まで元気に活動していた愛犬の活動量が少なくなり、同じ場所に伏せた状態で動かなくなったり、ごはんを食べなくなったりといったサインが見られます。
このような様子は、病気の兆候でも見られるため、何日もこのような状態が続く場合は、まず動物病院に相談しましょう。その上で、検査や診察で問題が見つからない場合は、心因的な要因を探しましょう。
2.特定のタイミングで呼吸が荒くなる
ある特定のタイミングで、突然「ハッ、ハッ」と呼吸が荒くなる様子が見られる場合、『恐怖症』などの精神病を患っている恐れがあります。例えば、雷が鳴っている時、誰かが家にやってきた時、飼い主が外出準備を始めた時などが当てはまります。
こういった不安や恐怖を感じるようなタイミングで呼吸が荒くなるということは、それだけ不安を感じ、心拍数が上がっていることを示しています。
強いストレスが掛かっている可能性があるので、落ち着けるために、しばらく隣で撫でてあげたり、ストレス要因となるものを排除したりして対応しましょう。あまりにも症状が酷い場合は、動物病院に相談しましょう。
3.前足を執拗に舐め続ける
分離不安症によく見られる症状に、前足を執拗に舐め続ける行為があります。名前を呼んで夢中になって前足を舐め続けるため、次第に皮膚炎を発症することも珍しくありません。そのため、自傷行為とも言われています。
これは、飼い主がかまってくれない、飼い主がいない寂しさを何かに夢中になることで紛らわそうとしています。飼い主の留守中などに行っていることが多いので、一度、前足を確認してみましょう。
4.今までできていたことができなくなる
今まで上手にトイレで排泄ができていた子が、ある日を境に突然トイレの失敗回数が増えた…というサインも、精神病に見られるサインの1つです。
不安やストレスから、冷静に物事を判断することが難しくなり、今まで当たり前にできていたことができなくなってしまうのです。トイレの失敗以外にも、突然無駄吠えが激しくなるなどのサインが挙げられます。
5.破壊行為などの問題行動を繰り返す
精神的なストレスが強く溜まっている場合、今までお利口だった犬が破壊行為などの問題行動を繰り返すことがあります。飼い主は精神的に弱っていることに気付かないため、強く叱ってしまい、それが余計に精神病を悪化させるケースも珍しくありません。
不安や恐怖が強くなると、破壊行為をすることで本能的欲求を満たし、充実感を得て安心しようとします。人間でもストレスが溜まるとものに当たってしまう人がいますが、同じような理由と考えて良いでしょう。
突然問題行動が頻発するようになった場合は、激しく叱るのではなく、まずはその理由を考えましょう。何が原因でストレスが溜まっているのかを考え、その原因を取り除いたり、解消したりすることに努めてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。近年、犬と飼い主の距離が近くなったことによって、犬の精神病が問題視されています。精神病は、精神だけでなく、健康面にも影響を及ぼします。早い段階で気付き、適切な対処が必要となるので、日頃から注意深く愛犬の様子を観察しましょう。