原因①誤飲・中毒
犬のよだれが止まらない原因として、どんな犬にも起こりえるトラブルが誤飲やそれに伴う中毒です。犬がいたずらや拾い食いなどをして、異物を飲み込んでしまったときなどには消化器官が異物を拒否して吐き気をもよおすことが多くあります。
嘔吐中枢が刺激されて吐き気をかんじているときには、同時に唾液の分泌中枢も刺激されるのでよだれが多く出ます。そのため、誤飲や誤食のあとにヨダレを垂らして吐きそうな仕草を見せることがあります。特に、誤飲したものが洗剤や薬物など中毒性のあるものの場合、特に吐き気が強まってよだれが出やすくなります。
原因②熱中症、車酔い
犬のよだれが止まらないときの身近な原因として、誤飲と並んで多く起こるのが熱中症や車酔いです。これらは、暑いときや車に乗っているときなど、状況によってよだれが止まらない理由がわかりやすいので、対処もしやすいと思います。
熱中症の場合は、体温を下げるためにパンティングと呼ばれる荒い呼吸をするようになり、それに伴ってよだれもダラダラと止まらなくなることがあります。また、車酔いの場合は吐き気を伴っているので、苦しそうな様子やえずくような仕草が見られることがあります。
原因③口腔内疾患
犬の口腔内をこまめにチェックしている飼い主さんはどれくらいいるでしょうか?犬のよだれが止まらないことで動物病院に行ったら、口の中にさまざまなトラブルが起きていることが判明するということがとても多いようです。
歯ブラシなどである程度は磨いていても、上下の歯を大きく開いて口腔内の粘膜や歯ぐきまでしっかりチェックすることはあまりないかもしれません。そのため、口腔内トラブルが知らない間に進行してしまっていることがあるのです。
口腔内に異物が出来ていたり、傷・炎症が起こっているとそれらが刺激となってよだれが出やすくなります。歯周病や口内炎のほか、口腔内腫瘍や舌炎が起きていることもあるので、早期発見をするためにも犬の口の中はこまめにチェックするようにしてくださいね。
原因④胃拡張・胃捻転症候群
ドーベルマンやグレートデンなど胸の深い大型犬の発症率が高い、胃拡張・胃捻転症候群も大量のよだれが出る原因となります。この疾患は水や食べものを一度に大量摂取したり、食後後に激しく動いたりすることで起こりやすいとされています。進行が非常に早い疾患で、放置すると発症から数時間の内に死亡してしまうこともあります。
万が一、食後によだれが大量に出ていたり、ぐったりして苦しそうにしていたり、お腹が異常に膨れていたりするときはすぐに動物病院に連れていってください。
基本的には大型犬に起こりやすいと考えられていますが、小型犬でも起こることがあるので食事の与え方や食後の過ごし方には十分注意しましょう。
原因⑤脳神経系疾患
てんかんや脳腫瘍、水頭症など脳神経に異常が起きているときにもよだれが止まらなくなることがあります。その理由はさまざまですが、唾液分泌機能が正常に働かなくなってしまったり、顔面が麻痺して飲む込む力が弱くなってしまったりすることが考えられています。
てんかんなど発作が起きているときには、ふらつきや痙攣を起こしていたり、意識障害があったりするためすぐにわかるでしょう。発作中は体に触れず、おさまるまで近くで見守るようにしてください。
犬が怪我をしないように周辺を片付けたり、布団やクッションを用意するといいでしょう。また、発作中の様子を動物病院で正確に伝えられるように動画で記録しておくことも有効です。
まとめ
犬は食べものを目の前にしたり、興奮していたり、リラックスしたりしているときによだれを垂らすことがあります。それは至って正常な反応で、心配する必要はありません。また、犬種によってもよだれが出やすいことなどもあるので、日頃からよだれが多いようであれば問題ないでしょう。
ただし、急によだれが止まらなくなったときや、ぐったりして動かないとき、苦しそうに荒い息をしているときなどには犬の体に何らかの異常が起きている可能性があります。
ここで紹介したトラブルや疾患以外にも、呼吸器系疾患や消化器系疾患が原因となっている可能性もあるので、十分に注意して犬の体や様子を観察するようにしましょう。異常が感じられたら、すぐに動物病院に連れていき、検査や必要な処置を行ってもらってください。