遊びは学習の場
子犬はとにかくよく遊びます。好奇心旺盛で、珍しいものには積極的に近づき、においを嗅いだり触ったりしてそれが何なのかを学習します。時には痛い目に遭って危険なものも学びます。
兄弟同士の取っ組み合いの喧嘩も学習です。どの位の力を入れて噛むと痛いのかといったことを身をもって覚えていきます。
子犬はさまざまな遊びを通して犬社会のルールを学んでいきます。形は遊びでも、本質的には学習の場なのです。そして、犬にとって学習の中心は狩の方法です。狩の必要がなくなった現代の犬でも、ベースとなるのは狩に対する興味や技術なのです。
子犬にも成犬にも必要な遊び
成犬になり毎日散歩をしていても、遊びは必要です。散歩には散歩の、遊びには遊びの役割があるからです。
散歩の役割
散歩には、運動不足を解消し、飼い主さんとコミュニケーションを図る大切な役割がありますが、何よりも大切なのは、たくさんの刺激を受けられる場であるということです。
散歩は、犬が自分の生活範囲の外に出て、普段とは異なるたくさんの刺激を受けられる場です。これらの刺激が愛犬の好奇心を満たし、ストレスを感じない生活につながります。
遊びの役割
犬と飼い主さんとの遊びは、散歩以上に深いコミュニケーションを図ることができ、お互いの間に深い絆を築きます。そして、人間社会の中で暮らしていくためのルールを学ぶ場になります。
遊びは、子犬時代にはさまざまなことを学習する場、成犬になってからは自らの能力をさらに伸ばす場になります。
犬の遊びの種類
ロープを使った遊び
犬の遊びのほとんどは狩を模したもので、獲物の代わりになるのがおもちゃです。子犬時代のおすすめのおもちゃはロープ状のものです。片方を飼い主さんが持ち、反対側を犬に噛みつかせてお互いに力を入れて引っ張り合います。
歯の生え替わりの頃は歯がむず痒くなるので、子犬は何かに噛み付きたがります。ただし、何でも噛んで良いと思わせないように、必ず引っ張り合いの遊びは特定のおもちゃでのみ行いましょう。
ボールを使った遊び
ボールを獲物に見立てます。犬の目の前でボールを投げ、それを追いかけて持って来させる遊びです。追いかけるところまでは大抵うまくいくと思います。持ってきたら褒めてご褒美をあげてください。そのうち、犬もルールを覚えて上手に持って来いができるようになるでしょう。
ボールを咥えて持って来られるようになったら、「ちょうだい」と言うと口から離すようにしましょう。無理に取ろうとはせず、「ちょうだい」と言われて相手に渡すと良いことがあると学習させます。
ドッグスポーツ
成犬になったら、スポーツの要素を取り入れてアジリティーやフリスビーなどにチャレンジするのもよいでしょう。ドッグダンスなどもあります。飼い主さんや愛犬に合わせて、向いているものをみつけてみてください。
知恵を使う遊び
犬の成長と共に、知恵を使う遊びも取り入れましょう。においをつけた宝物を見せ、においを嗅がせて隠した後、探させる遊びです。
この遊びは、隠し場所によっては体力が衰えた老犬でも遊べるゲームです。体力が落ちてきたからと遊びを諦めてしまうのではなく、無理のかからない範囲で上手に遊び、心身の健康維持を図りましょう。
生育段階による遊びの変化と注意点
子犬時代の遊びは、とにかく旺盛な好奇心を満たしてあげながらいろいろなことを覚えさせる場です。ただし、興奮させ過ぎないように適度にクールダウンする時間を挟みましょう。主導権は必ず飼い主さんが握ります。
人の手や足に噛み付かないように、飼い主さんの手や足で直接遊ばず、必ずおもちゃを介して遊ぶようにしましょう。
子犬にも成犬にも、遊びの最大のリスクはおもちゃの誤飲です。飼い主さんがいない時にはおもちゃは片付けておきます。1人遊びの時には、工夫しないと中のフードを取り出せない市販の知育玩具がおすすめです。
成犬には、持っている能力をさらに伸ばすような遊びをさせましょう。老犬には、体力に応じた遊びで好奇心を満たせるようにしてあげましょう。
まとめ
最初の頃は、愛犬に何かを教える時に使うご褒美はフードになると思います。しかし、愛犬がしっかりと遊びのルールを覚え、遊び好きな子になると、遊びをご褒美にできるようになります。
「待て」「伏せ」「お座り」などの一連の基本事項をさせ、そのご褒美として一緒に遊ぶと、愛犬とのより効果的なコミュニケーションが図れ、しっかりとしつけができるようになります。
犬は、飼い主さんと深い愛情の絆を結ぶことができる動物です。遊びを上手に利用して、しっかりとした愛情と信頼の絆を築いてください。