1.鳴き声で気持ちを知る
犬と人間は同じ言葉を使って会話をすることはできませんが、さまざまな方法を使って想いを伝え合うことはできます。犬が仕草や行動などで相手に想いを伝える方法は『カーミングシグナル』と呼ばれていて、このカーミングシグナルは愛犬と会話をしたり気持ちを理解してあげたりするときにとても大切なものとなります。
私たち人間は犬の『鳴き声』を聞いてもその意味はわかりません。しかし、その犬が発する言葉(鳴き声)も『カーミングシグナル』の1つとなります。『ワンワン!』『クーン』といった言葉自体の意味はわかりませんが、大まかな気持ちは知ることができるのです。
『ワン』『ワンワン!』
飼い主に対して「ワン」「ワンワン!」と元気よく吠えながらしっぽを上向きにしているときは、嬉しい気持ちになっている。なにかをおねだりしていることが多いといえます。家で愛犬が「ワンワン!」と吠えるときは、大体の場合何かを伝えたがっていることが多いように感じます。
「散歩の時間だよ~」「スマホばかり見てないで構ってよ」と伝えているのかもしれませんね。また、あなたがご飯を食べているときに吠えたり、おやつがある場所を見ながら吠えたりする場合は「食べものちょうだい♪」とおねだりしているといえるでしょう。
家に誰かがやってきてインターホンが鳴ったときに愛犬が吠えるときは「誰だ!?」「侵入者がやってきたぞ~!」「誰かが遊びに来た♪」といった気持ちになっていることがよくあります。
ちなみに「ワンワンワンワン!」と犬が連続的に吠えるほどそのときの感情が強くなっている、または興奮気味になっているといえます。
『ク~ン』
いつもの鳴き声よりも高い声で甘えるように「ク~ン」と飼い主に向かって鳴くときは、大体の場合甘えていたり、おねだりをしていることが多いです。愛犬があなたの近くにやってきて「クゥ~ンクゥ~ン」と鳴くことがあるのでしたら、可愛がってほしいと思っているのでしょう。
あなたがご飯を食べているときに愛犬が目をウルウルさせながら「ク~ン」と可愛い声を出す場合は、小悪魔的な仕草で食べ物をおねだりしている可能性が非常に高いといえます。
ちなみにしっぽを股の中に丸め込みながら元気なく「クーン」と鳴くときは怖がっている。もしくは不安になっている可能性がありますので、愛犬が恐怖や不安を感じているものを探して原因を取り除いてあげる必要があるといえるでしょう。
『キャン!』
甲高い声で「キャン!」と鳴くときは痛み感じていることが多いといえます。また「キャンキャン!」と連続的に鳴く場合は何かに対して強く恐怖や不安を感じていることが多いので、原因を探り出して不安や恐怖を取り除いてあげる必要があります。
愛犬の体を触ったときに痛々しく「キャン!」と声を出した場合は、体のどこかをケガしていたり、体の内側に痛みを伴う病気を発症している可能性がありますので念のため病院で診てもらうことをおススメします。
『ヴゥゥ~』
低い声で『ヴヴゥ~』と唸るときはご想像のとおり『怒っている』『威嚇している』といえます。犬が飼い主に唸る場合は信頼関係が崩れている可能性がありますので、愛犬によく唸られてしまうのでしたら愛犬との接し方を見直す必要があるといえるかもしれません。
また、信頼関係が築けていても犬は嫌なことをされると飼い主に対して唸ることが少なからずあります。たとえばご飯やオヤツを食べているときに邪魔をすると怒って唸ることがあったりします。愛犬が嫌だと感じることばかりしていると信頼関係が崩れてしまいますので、「ヴゥ~」と唸ったときはなるべく邪魔しないであげましょう。
2.しっぽの振り方や向きでそのときの感情を知る
犬の気持ちを知るにはしっぽの動きや向きの意味を理解することがとても大切となります。
しっぽが上向き
飼い主と関わっているときに犬のしっぽが上向きになりながら左右に揺らしているときは『嬉しい』『楽しい』といったポジティブな気持ちになっていることが多いといえます。
しっぽが上向きになっている場合、嬉しい楽しいといった気持ちにくわえて『興奮している』『感情が揺れ動いている』といった感情が混ざっているといわれています。飼い主に可愛がってもらえて気持ちが高ぶっている。散歩に連れて行ってもらえて興奮している、といった気持ちになっているといえるでしょう。
ちなみに犬のしっぽが上向きになっているときは『警戒』している場合もあります。他の犬と出会ったときに愛犬が後ずさるようなポーズで上向きになったしっぽをゆさゆさ揺らしているのでしたら、相手の犬に対して警戒している可能性が高いといえます。
しっぽが下向き
犬のしっぽが下向きになっているときは主に2パターンの感情が考えられます。しっぽが下向きになりながらもしっぽの先は上を向いている場合は『リラックス』しているといえます。
おそらく愛犬が家の中を歩いているときに見かけることが多いと思います。安心しているときは体にほどよく力が抜けますので結果的にしっぽがだら~んと下がってしまうのかもしれませんね。
もう1つのパターンは『ネガティブな気持ちになっている』です。犬は『不安』や『恐怖』を感じると、しっぽの先ごと下がってしまうことが多いといえます。
強く不安や恐怖を感じているときは股の間にしっぽを巻き込んでしまうこともあったりします。このようなときは同時に顔の表情も悲し気な表情になり姿勢を低くすることがよくありますので、すぐに怯えていると感じることと思います。
しっぽが水平になっている
犬によってはあまり見かける機会がないと思いますが、犬のしっぽが水平になっているときは『何かが気になっている』または『警戒している』ことが多いそうです。聞きなれない音を聞いたときや、はじめて会う人に対して警戒しているときなどに見かけやすいしっぽの動きといえるでしょう。
しっぽの振り方
しっぽの位置によって大まかな犬の感情を理解することができ、加えてしっぽの振り方を見ることでそのとき感情がどれほどのものかを知ることができます。基本的にしっぽを揺らすスピードや揺れ幅が強いほど感情が高ぶっているといわれています。
たとえば、しっぽを上向きにしながらブンブン揺らしているのでしたら、「凄く興奮している」「凄く嬉しく感じている」といった具合になり、逆に上向きのしっぽをゆら~りと穏やかに揺らしているときは、「少し興奮している」「少し喜んでいる」となります。
また、イタリアで行われた研究の結果によるとしっぽの振り方を見て感情を知ることができるそうです。左右均等にしっぽを揺らしているのではなく、体の右側でしっぽを揺らしているときはポジティブな気持ちになっていて、体の左側でしっぽを揺らしているときはネガティブな感情になっていることが多いそうですよ。
3.視線で愛犬の気持ちを理解する
愛犬が目を見つめてくる
目の動きも一つのカーミングシグナルとなり立派な『犬語』となります。基本的に犬の世界で『相手の目をジッと見つめる』という行為は、相手に敵意を抱いている…つまり喧嘩を売っているという意味になることが多いといえます。
しかし飼い主と愛犬のような信頼関係が築けている間柄においては、『好意を抱いている』という意味になることが多いといえます。愛犬があなたの目をよく見つめてくることはありませんか?もし心当たりがあるのでしたら、愛犬が「大好きだよ~」と言ってくれているのでしょうね。
また、犬が飼い主の目を見つめてくるときは、何かを伝えていたり要求していることもよくあるといえます。「構ってほしいなぁ~…」「ごはんまだくれないの?」「隣の部屋に行きたいからドアを開けてほしいな」と、何かしらの想いを伝えているといえるでしょう。
愛犬が目をそらすときの気持ち
ちなみに愛犬があなたと目を合わせたがらない場合は、
- 今はそっとしておいてほしいと思っている
- 興奮しないように感情を抑えている
- 嫌なことが起きそうだと感じている
- 叱られて気まずいと感じている
といった気持ちになっていることが多いといえます。このように目線1つでも様々な感情を読み解くことができますので、日頃から愛犬の行動を見ながら目の動きも観察するとより気持ちを理解しやすくなるといえるでしょう。
4.仕草で愛犬の想いを知る
愛犬があなたの目の前で行う仕草1つ1つにも想いがたくさん詰まっているといえます。今回は犬が飼い主の前で良く見せる仕草の意味を3つお伝えします。
愛犬があなたの体にお尻をくっつけてくる
愛犬が背中を向けながらお尻をくっつけてくることってありませんか?なんとも不思議な仕草のように感じますが…、これは犬からの信頼の証となります。犬にとって背中を預けるという行為は弱点となる部分(背後)を見せているということになり安心できる人、信頼できる人にしか行わない行為となるそうです。
つまり「ぼくは君を信頼しているよ~♪」と想いを伝えながらリラックスしているといえるのです。また「可愛がってほしいなぁ~」と感じているときにも犬は体をくっつけておねだりしてくることもよくあるといえるでしょう。
目の前で仰向けになる
『目の前で仰向けになる』という仕草も信頼の証となります。柔らかいお腹を相手に見せることは無防備な状態を相手に見せる危険な行為といえます。ですので愛犬がよく目の前で仰向けになるのでしたら信頼関係がしっかり築けている証となり、同時にあなたの近くにいることで安心感を感じているのでしょうね。
あくびをする
犬があくびをするときは『不安』や『緊張』』といったネガティブな感情を感じていることがよくあります。また、あくびは『ストレスを感じている』ときの仕草としても知られています。
愛犬を叱ったり動物病院に連れて行ったりしたときにあくびをするのでしたら『不安』や『緊張』を感じているのでしょうね。あくびをして自分なりに気持ちを落ち着かせようとしているそうですよ。
ちなみに犬も人間と同じように眠たいときにあくびをすることもあります。いつも愛犬が眠っている時間帯に愛犬があくびをすることが多い場合は「眠たいなぁ~」と感じているのかもしれませんね。
まとめ
人間と犬は同じ言葉を使って会話をすることはできませんが、犬が行う仕草や行動の意味を理解してあげることで心を通わすことはできるといえます。犬語ともいえるカーミングシグナルはとてもたくさんの種類がありますので、今回はその中からいくつか選んでお伝えしました。
また、今回ご紹介した犬の仕草や行動はあくまで飼い主と愛犬の間柄での意味となります。同じ仕草や行動でも見知らぬ人や犬に対しては意味が異なってしまうことがあるということをご理解ください。
愛犬といまよりもっと仲良くなるためにはさまざまな犬語を勉強しつつ、愛犬にしか行わない仕草や行動の意味も理解してあげることが大切といえるでしょう。少しずつ愛犬のことを知って最高の家族になれると良いですね。