「嬉しい」という感情が起きる心理とは?
心理とは?
「心理」とは心の働き、心の状態、精神の状態のことを指します。
心理学上での感情の分類について
心理学上、人間には5つの基本の感情があります。楽しみ、嫌気、悲しみ、恐れ、怒りの5つのカテゴリーで分類されます。それらはさらにそれぞれ細かく分類されていて、全部で46種類の感情があるとされています。今回の記事で取り上げている「嬉しい」という感情は、「楽しみ」の中に分類されます。
犬の心理の特徴とは?
犬は、自分の経験したことから「嬉しいこと」「楽しいこと」「嫌なこと」「怖いこと」などをしっかり記憶します。そして、「嬉しいこと」「楽しいこと」をやりたいと考え、「嫌なこと」「怖いこと」からは逃げたり、避けたりしたいと考えます。
人間のように「嫌だけど、我慢する」「相手を困らせてやろう」といった複雑な心理ではなく、非常に単純で明確な心理で自分の行動を決めます。犬に躾やトレーニングを行う際に「よくできたね!」とたくさん犬を褒めるのは、「良いことをすればご褒美がもらえる」「ご褒美をもらえるから頑張る」という犬の心理を利用しているのです。
犬が口角をあげているときの心理5つ
1.狂喜
「非常に大きな幸福の状態」です。大好きな人や大好きな仲間に囲まれて、遊んでもらえてずっと一緒にいられる…そんな犬にとっての最高の状況の時の心理状態です。
2.驚嘆
長く会えなかった大好きな人に再会できたり、めったにもらえない大好物のおやつをもらえたり、新しいおもちゃをもらったときなど、「非常に大きな驚きや信じ難い経験」をしたときの心理状態です。
3.フィエロ
人間でいうと、「困難な状況を乗り越えたときの喜び」を心理学上「フィエロ」と言います。家庭の中でコンパニオンアニマルとして飼育されている犬にはあまり起こりえないことかもしれませんが、例えば、フリスビーやアジリティなどのドッグスポーツを行う際、飼い主さんやハンドラーと一心同体となって挑戦し、その競技を終えたときに犬は非常に興奮して高揚している様子を見せます。その状態が犬の「フィエロ」と言えるのではないでしょうか。
4.アミューズメント
「遊び心があり、明るく楽しい気持ち」を言います。犬の立場で考えると、例えば散歩に出かけたり、飼い主さんや家族と遊んだりするとき、褒めてもらいたい、という感情ではなく、ただ「遊びたい」という欲求が満たされたときに心が弾むように感じる心理です。
5.感覚的快楽
肉体的に犬が「気持ちいい」と感じる場所を撫でられたり、擦られたり、じゃれるようにくすぐられたりしたときに表れる感情です。
本当は犬は笑えない?「犬が笑っている」ように見えるだけ?
本当は犬は笑えない?
犬同士は、「喜怒哀楽」の「怒」は鼻先に皺を寄せたり、「哀」は顔を下げ、耳を伏せたりしますが、「喜」や「楽」を自分の顔の表情を使って相手に伝えることはありません。
ですから、本来犬が「口角を上げている」のは相手に自分の牙を見せて威嚇するためで、嬉しいときに出る表情ではありません。もし、犬が感情によって自分の表情をコントロールできるとしても、嬉しいという感情を仲間に伝えるときに人間のような笑みを浮かべるというようなコミュニケーションの取り方はしません。
そもそも、犬の顔の筋肉は人間の顔の筋肉とは構造が違います。とすれば、やはり犬は笑えないのでしょうか?私たちがよく目にする「口角を上げて笑っている犬」の画像は、実は「笑っているように見えるだけ」で本当は笑っていないのでしょうか?
やっぱり犬は笑える!?
犬は本当は笑えない、と言われても、実際一緒に暮らしている私たち飼い主にとってはどうにも腑に落ちない話です。楽しそうに目を輝かせ、口角を上げて笑っている愛犬の顔を何度となく見ていますし、それが笑顔でないとは思えません。
結論から言うと、もともとの犬は笑えません。人間との深いコミュニケーションを取ることによって、犬は口角を上げて笑えるようになるのです。では、どのように犬は口角を上げて笑うことを学ぶのでしょうか?
犬は「笑っている人間」を見て「笑顔」を習得する?
犬は、自分の経験したことを踏まえて、自分の行動を決める動物です。飼い主さんや自分に接する人間が口角を上げて、自分にとってうれしいことをしてくれる、その経験を積み重ねていくうち、「この顔をすれば、飼い主さんがもっと喜ぶ」ことを学習します。
人間のあかちゃんも生まれたばかりで目も見えないうちに微笑んだりしますが、あれは生理的な現象で大人がたくさん笑いかけることによって、自分で表情を動かすことを学び、笑うことを習得します。
それと同じで、人間と深いかかわりを持っている犬だからこそ先天的に口角を上げて笑うことができなくても、自分の経験によって表情を動かし「口角を上げて笑う」ことを習得していくのです。
まとめ
私たち人間は、どんなに深く犬という動物を研究しても、言葉でのコミュニケーションができない以上、本当の心理を完全に解明するのは不可能です。犬が見せる表情や行動を観察し、たくさんの情報を収集し、それらを導き出す憶測でしかありません。
実際のところ、現在の研究では、はっきりと「楽しい」という心理状態になると「笑う」という行動が認められたのは、人間とチンパンジー、ゴリラ、ラットという結論が出ています。けれども、この研究を行った研究者によると、「笑いに知性は不要」とも言えるそうです。
人間とラットでは大きく知能に差がありますが、どちらも「仲間と遊ぶこと」を楽しいと感じることが共通していて、これは犬にも当てはまります。どんなに科学的根拠がなくても、飼い主さんから常に笑顔を向けられ、それを犬が「嬉しい」と感じ、幾度となくその経験を繰り返して犬は「口角を上げて笑う」ということを無意識に覚えていくのです。
つまり、「口角を上げて笑う犬はたくさん人から笑いかけられている」ということ、そしてそれを「嬉しい」と感じていることになります。愛犬の笑顔を見たいのなら、愛犬にたくさん笑いかけ、たくさん「嬉しいこと」を経験させてあげましょう。そうすれば、きっと飼い主さんに向けて世界一素敵な笑顔を向けてくれるようになるはずです。