①吠える必要を感じていない
これについては、その犬が持って生まれた気質が大きく影響してきます。そもそも犬が吠えるのは、感情表現やコミュニケーション方法のひとつです。そのため、危険を感じたときに仲間に知らせたり、うれしい感情を抑えきれなかったりしたときに吠えることがあります。
つまり、犬の感情や本能に伴って吠えが発生することになります。非常にフレンドリーな性格の犬は警戒吠えをしにくい傾向にありますし、反対にエネルギーや体力があり余っていることでその発散のために吠えるということもあります。
また、吠えなくても飼い主さんに気持ちや要求が伝わることを学習している犬は、あまり吠えない傾向が見られます。小さな頃からしっかりとしつけが行われて、意思疎通が取れている犬だと吠えること以外の行動で意思を伝えられるためです。
②老化による変化
今までは吠えることもあったのに、気が付いたらあまり吠えなくなっていたという場合には老化現象である可能性が考えられます。今まで音や何かの気配に反応して吠えていた犬の聴力が衰えたり、感覚器が鈍感になったりすることで吠えにくくなることがあります。
また、若い頃は体力も十分で「遊びたい!」「走りたい!」などの欲求も強い傾向にありますが、年齢を重ねてそうした気持ちも減少していきます。欲求や要求が少なくなり、主張したいことが減ることに伴って吠える行動も減っていくのです。
③緊張している
犬は緊張しているときに吠えられなくなってしまうことがあります。特に、初めての場所に行ったときや初めて会う人と過ごす時間には、吠えられず静かにしていることがあります。そうした心理から、飼い始めたばかりの頃は環境に慣れずに静かだった犬が、慣れてくると吠えるようになるということは多く見られます。
この心理は私たち人間にも理解できるものだと思います。初対面の人と過ごすときや慣れない環境ではうまく話せなくても、慣れてくると会話が多くなるということはよくある光景です。いわゆる「素(本性)が出せる」ということで、犬にも同じことが見られるのです。
④疲労や体調不良
犬が吠えなくなったとき、身体的なトラブルが起きている可能性があります。疲れが溜まって吠える元気がないという場合もありますし、喉や口内に痛みが発生していることなども考えられます。また、吠えることに直接つながる喉のトラブルだけでなく、お腹や関節など体のどこかに痛みを感じていることもあります。
いつもは吠えているような状況でも愛犬が吠えない場合、体に異常が起きていないか確認するようにしましょう。吠えないこと以外に、何となく元気がない、寝てばかりいる、食欲がないなどの症状が見られるときは病気の可能性も疑い、念のため動物病院で相談することをおすすめします。
まとめ
ここでは、犬が吠えない理由について解説してきましたが、犬にとって吠えるということはとても自然な行動です。吠えること=いけないことと考えて、吠える行動全てを問題行動のようにとらえてしまう人もいますが、決してそうではありません。
犬が吠えるのは、私たちが会話とするのを同じコミュニケーションの一貫です。また、かつて人と犬がパートナーになって狩猟や牧畜の仕事をしていたときには、合図として吠えることが求められていたことも少なくありません。
そのため、犬が吠える行動自体を責めることはせず、吠えることを止める合図を教えたり、吠える必要がないことを伝えたりといったしつけを行うことが大切です。また、突然犬が全く吠えなくなった場合には怪我や病気、ストレスなどのトラブルが起きていないか確認するようにしてくださいね。