犬のマッサージの効果は?
犬も人間と同じように、体が凝る動物です。犬を飼う人が増え、犬への関心が高い現在では、マッサージ方法の本やDVDなどが発売されたり、YouTubeでも映像が紹介されたりしています。
マッサージには、アロママッサージやツボ押し、Tタッチなど様々な手法がありますが、実はマッサージ未経験の飼い主さんでも簡単に実行することができるんです。
人間もそうですが、体調が悪いときに背中をさすってくれたり優しい言葉をかけられたりすると、痛みが和らいで気持ちも落ち着きますよね。犬も同じで、マッサージをすることで愛犬の幸せそうなうっとりした顔を見られるかもしれません。
マッサージの前に
犬へのマッサージは、飼い主さん自身が落ち着いて行うことが大切です。ドキドキしながら犬に触ってしまうと、その緊張感は犬に伝わってしまいます。また愛犬にも、「今からマッサージするよ~」と優しい声をかけてあげましょう。何度も繰り返し行うと、犬も「いつもの気持ちの良いマッサージだ!」と喜んで飼い主さんの側にいてくれます。
まずは、楽な体勢にしてあげましょう。一般的な体勢はフセですが、お腹を見せて仰向けにする子もいれば、横向きが好きな子もいるでしょう。いずれにしても、犬自身がリラックスできていることが重要となります。
部位ごとのマッサージ方法
1.お腹
マッサージのスタートは、前胸がオススメです。飼い主さんのような心を開いている相手であれば「触ってほしい」と自らお腹を見せる子も多いでしょう。
強く触ったり押したりしてしまうと内臓を痛める恐れがあるため、必ず優しく触ってあげてください。内臓機能が衰え始めるシニア犬は、お腹を優しく円を描くようにさすると蠕動運動を促進する効果があります。
2.頭
耳や目、鼻などが集中している頭周辺は、急に触るとビックリしてしまい、マッサージをされることに対して恐怖感を覚えてしまいます。優しく声をかけながら触っていきましょう。
犬はご飯を食べるときや水を飲むとき、吠えるとき、唸るときなどにアゴを使います。また目も疲労で凝ることがあるため、眼球を触らないように優しく目の周りをさするようにしましょう。
3.耳
耳は頻繁に動かしたり音を拾ったり、立ったり伏せたり、とても忙しい部位であるため、凝っている子が多くみられます。耳自体をほぐすのではなく、耳元から回すように動かしてみましょう。特に耳が垂れている犬種は耳元が凝っている場合が多くみられるため、念入りにほぐしてあげましょう。
4.首
犬は飼い主さんを見上げることが非常に多いため、首は凝りやすい部位といえます。特に小型犬は体高が低いので、十分に凝りをほぐしてあげましょう。注意が必要なのは、マッサージの際の力の加減です。指先で首を触ってしまうと喉を圧迫してしまう恐れがあるため、手のひらで首を優しく挟むような形で揺らすように撫でてあげましょう。
5.背中
背骨に沿いながら、細かい間隔で背中の皮をつまんでいきましょう。お尻から首元に向かって行うことで、犬も安心して身も任せることができます。歩いたり走ったりご飯を食べたりすることで背中の筋肉を多く動かす機会が多いため、一番凝るのは背中といわれています。そのため犬によっては、つまむことができないほど凝っている部分もあるかもしれません。
特に足が短く胴が長い犬種(ミニチュアダックスフンドやウェルシュコーギーなど)は、腰への負担が大きくかかります。優しく丁寧に、ゆっくりと凝りをほぐしてあげましょう。つまむだけでなく、優しく撫でたり軽く押したり様々な手法をすることも犬を飽きさせないポイントです。
6.しっぽ
しっぽはとても敏感な部位なので、触られるのが嫌いな子も多いでしょう。急に触るとビックリしてしまうので、背中を触る延長でしっぽまで触るのが自然です。しっぽの付け根からしっぽの先へ、軽く握るような形でマッサージしていきます。左右や上下に動かしてあげるのもオススメです。
しっぽが短い犬種(フレンチブルドッグやヨークシャーテリアなど)は、手のひらの中にしっぽを包むようにして当て、お尻全体を回すようなイメージでほぐしてあげましょう。
7.足
体を支えている足は最も負担がかかり、疲れが溜まっている部位です。血流を流すように、つま先から足の根元まで流すような形で揉んでいきます。アキレス腱は敏感な場所なので、特に優しくさすってあげましょう。
また、犬の肉球には多数のツボが存在します。マッサージをすることで免疫力の向上や代謝の促進、血流も良くなります。室内飼いが主流になっている現代において、散歩のときにアスファルトや砂利でケガをする子が多いといわれています。犬にとって肉球は重要な役割を果たすため、ケガやひび割れなどの異常がないか注意深く観察してあげましょう。
マッサージの注意点
マッサージは誰でも始めることができるコミュニケーションの一つですが、いくつか注意点が必要です。マッサージ中も常に愛犬を観察して、不快な思いをさせないようにしましょう。ここでは、マッサージ中の愛犬の「幸せなとき」と「そうでないとき」の表情や仕草の違いをご紹介します。
マッサージが幸せと感じるとき
- 目が半開きでとろんとしている
- 今すぐにでも寝そう
- 体に緊張感がなく、筋肉も柔らかい
- 飼い主さんに身を委ねている
- 自らお腹を見せる
マッサージが幸せと感じないとき
- 体が硬く、緊張感がある
- 眠そうな気配がない
- 飼い主さんに背中を向ける
- 触ろうとすると唸る、吠える
- あくびをする
眠いときにあくびが出ますが、実は不快な思いをしているときにもあくびが出ます。これをカーミングシグナルといい、「もうやめてほしい」「放っといてほしい」ときなどにあらわれるサインです。
目が半開きでとろんとしているときに出るあくびは眠いときですが、あくびを短いスパンで繰り返し行うときや、体がブルブルと震えているときなどに出るあくびは不快感をあらわしています。
このように犬のカーミングシグナルはよく観察していないと判断が難しいため、マッサージ中も注意深く観察することが大切です。
まとめ
ここでご紹介したように、愛犬へのマッサージはメリットがたくさんあるんです。飼い主さんは体を触ることで、愛犬の体調の変化に気付くことができます。
例えば、体を触ったときに痛がったり唸ったりする場合はどこかケガをしているかもしれません。またイボができていたり、普段よりフケが目立ったり、異常な抜け毛が出ていたり。これらの異変を感じたらむやみに体を触るのをやめ、すぐに獣医さんに相談しましょう。
犬は飼い主さんに触られることで、幸せと癒しを感じ、凝りをほぐすことができます。大好きな飼い主さんであればなおさらでしょう。愛犬を観察して、うっとりと幸せそうな顔を見せた場合は至福を感じている証拠です。
マッサージは、正しく行うことができればデメリットは一つもありません。飼い主さんと愛犬の絆を強くすることができる、コミュニケーションの一つとしてとても有効といえます。ぜひ、お互いの幸せのためにマッサージに挑戦してみてはいかがでしょうか。