多頭飼育のメリット
家族の中で一頭しか犬がいない場合、群れの仲間はすべて人間なので犬同士で飼い主の愛情を競い合うこともなければごはんを狙いあうわけでもなりません。お気楽で自由な生活を満喫できるのは一頭飼いの最大のメリットかもしれません。
しかし常に飼い主さんの気持ちを独り占めできるのでノンストレスかと思いきや、逆に群れのトップに立ちたくなってしまう、実際に人間を下に見てしまう、というトラブルがおこったり、留守番で常に孤独や緊張を強いられる状況であったりと意外とストレスフルだったりもします。
反対に多頭飼育の場合、犬たちは飼い主など人間との関係性もありますが犬同士の関係性のなかで生活をするため、犬との付き合い方をちゃんと学んで成長するというメリットがあります。
成犬と子犬がいれば成犬が子犬の面倒をみますし、成犬同士であればお互いに気が向けば遊んだり無視しあったり、一緒に寝たりと適切な距離をとりながら仲間として生活をしていきます。
すると犬同士が独自の言語やコミュニケーション方法で社会性を身につけ、外で他の犬と会った時も適切な態度をとることができるようになります。また、孤独が大嫌いな犬にとって、飼い主以外の仲間がいることは精神的な安定のためにとても重要です。
多頭飼育のデメリット
メリットの多い多頭飼育ですが、もちろんデメリットもあります。
主に人間側が感じるデメリットになりますが、まずは世話の時間の増加、食費や医療費などの増加があるでしょう。運動に必要な時間や個別の健康管理に必要な時間も別々に考えなければいけないので、ある程度生活や経済的に余裕がないと複数の犬たちを同時に飼育することは難しいかもしれません。
また安易に多頭飼育を始めてしまい、実は犬同士の相性が悪かった時などは大変なことになります。自分が多頭飼育ができる環境なのかをよく考え、そして犬同士の相性などもよく見極めてからスタートするのが大切ですね。
体の大きさの違いは犬の「相性」
犬たちは犬種によって体の大きさがかなり異なります。超小型犬と呼ばれるチワワやヨークシャーテリアなどは成犬になっても体重が3kg程度なのに対し、大型犬と呼ばれるレトリバー類などは30kg前後、超大型犬になると50kgを超える個体もいて、小さい犬たちとの体重差は10倍以上となります。
このように大きな体重差がある個体同士の場合、一緒に生活するとなるとさまざまな危険が伴うことを覚悟する必要があります。
大型犬と小型犬が一緒に暮らすリスク
犬同士が群れとして生活しやすい多頭飼育の場合、犬達はごはんも一緒、眠るのも一緒、遊ぶのも一緒となるでしょう。食事の際は食器を離しておけばよいのですが、その後腹ごなしに一緒に遊ぼうとなるとこれだけの体格差でじゃれ合うことになります。
大型犬はちょっと転がっただけのつもりでも、小型犬にとっては大きな山がゴロゴロと自分をつぶしに来るように感じてしまうかもしれません。危険を感じた小型犬が大型犬に噛みついたり、あるいは大型犬が遊びのつもりで前脚で足踏みをしたら踏みつけてしまったり、という危険が常にあるということは考えておく必要があります。
お互いが抱えるストレスに注意
上記のような場合、大きい子も小さい子もお互いにある種の緊張をしている状態で生活をすることになるので、やはりストレスがかかっているといえるでしょう。
更に大型犬は成長と共に行動自体も落ち着いていき、動きもゆっくりになっていきます。そのペースの犬の周りでテンションが高いままの小型犬が激しく動き回っていると、大型犬はゆっくり過ごすことができずストレスが溜まります。
逆に小型犬は大型犬が一緒に遊んでくれなくてつまらなく感じ、さらに吠えたり興奮したりという悪循環に陥ることもあります。また、老齢の小型犬の所に大型犬の子犬を迎えてしまった場合も、パワフルな大型犬の子犬に圧倒されて小型犬に多大なストレスを与えてしまうでしょう。
お互いに穏やかで社交的な犬同士の場合は体のサイズに関係なくうまくいくことも多いのですが、個体の性格によるところも大きいので、多頭飼育をする場合はなるべく似た大きさの子にした方がトラブルが少ないように思います。
まとめ
多頭飼育をする場合、人間側の環境を整えることも大切ですが犬同士の相性もじっくりと見極める必要があります。犬種の特徴や性格を踏まえることも大切です。
体の大きさも似ている方が相性が良い可能性が高く、体格差が大きい場合は犬同士の負担もありますが管理する人間側も負担が大きいので迎え入れる前に環境やリスクなどをよく検討してくださいね。