犬にキシリトールが危険な理由
低血糖を起こす
キシリトールはショ糖と同じくらいの甘さを感じる成分で、カロリーがショ糖の3分の2程度の成分です。そして糖とは違いキシリトールの代謝には「インスリン」が必要ないため、人間の場合は糖尿病患者の糖質補給剤としても用いられています。
しかし犬の場合キシリトールを摂取すると、同じ量のブドウ糖を摂取した時よりも多くのインスリンが分泌されることが分かりました。インスリンが分泌され過ぎると、急激な低血糖を引き起こす恐れがあります。
肝臓の障害が起こる
キシリトールの摂取後12~24時間以内に、肝酵素が活性化された犬の事例があります。調べの中では、摂取後に肝壊死の急性肝不全を起こした事例もあります。重度の肝障害が起こると血液を凝固させる成分が減少するため、出血が止まりにくくなったり消化管内出血などが起こる恐れもあります。
人間の場合は口から摂取したキシリトールはゆっくりと吸収され、吸収されるキシリトールの量は全体の49~95%と言われています。しかし犬の場合、口から摂取されたキシリトールは急速にほぼ全量が吸収されます。このことにも犬がキシリトール中毒を引き起こす理由がありそうです。
愛犬がキシリトールを摂取してしまったら?
犬のキシリトール中毒の症状
犬がキシリトールで中毒を起こすと
- 嘔吐
- 下痢
- 意識低下
- ぐったりする
- 昏睡
- けいれん
- 黄疸(白眼や粘膜などが黄色くなる)
などの症状が見られます。
通常の低血糖は30~1時間以内に症状が見られますが、キシリトールによる低血糖の場合は症状が現れるまでに12時間以内と時間が経ってから現れたケースもあります。忘れた頃に低血糖の症状が見られることもあるため、食べてしまったすぐに症状が出なくても安心できません。
症状がなくてもすぐに病院へ!
犬の場合、少量のキシリトールで重篤な中毒を起こすリスクがあります。キシリトール中毒の症状の1つである低血糖が遅れて現れる場合もあるため、愛犬がキシリトール含有の食べ物を摂取した時にはすぐに病院で検査を行いましょう。
自己判断で吐かせては危険!
低血糖を起こしている場合、病院で輸液療法で治療しながら血糖値のチェックをします。病院での検査で低血糖だと判明した場合は、低血糖が改善されるまで嘔吐させる処置は行いません。そのため飼い主さんが自己判断で嘔吐させるのはNGです。
食べてしまった量とその製品を明確に伝えよう
獣医さんの正確な判断のために、愛犬が食べてしまった製品と「どのくらい食べたか」をできるだけ正確に伝えましょう。製品のパッケージがあれば持参すると伝わりやすいでしょう。
まとめ
今回は「犬のキシリトール中毒」についてまとめました。
犬と人間ではキシリトールが身体に及ぼす作用に違いがあります。キシリトールは人間にとって、ショ糖に比べて少しカロリーが低かったり、インスリンが分泌されないので糖尿病患者さんの食事に使われたり、虫歯予防だったりと様々な効能がある成分です。
しかし犬には重篤な中毒症状を引き起こす危険な成分であるため、キシリトールが含まれるものを食べてしまった際にはすぐに受診するようにしましょう。キシリトールはイチゴやレタスなどにも含まれている身近な成分ですが、野菜や果物のキシリトールは大量に食べない限り心配はないでしょう。
ガムやアメなど人工的な食品はその含有量が多いため、少しの量でも中毒を起こす恐れがあります。愛犬が届くところにキシリトール含有の食品を置いておかないよう気を付けることが重要です。