大昔から共存してきた犬と人
犬の祖先はオオカミと考えられています。元々オオカミと人は狩りのライバルという関係でしたが、比較的おとなしいオオカミが人の近くに住むようになり、オオカミの子供を人が飼ったことから家畜化が始まったと言われています。
DNA解析によると、オオカミから犬への家畜化はおよそ4万年~1万5000年前に起こったことが示唆されているそうです。このようにはるか遠い昔から共存してきた犬と人ですが、犬にとって『飼い主』はどのような存在なのでしょうか?
犬にとって『飼い主』はどういう存在?
仲間
犬の祖先と考えられているオオカミは社会的な動物であり、群れを作って生活します。そして、その群れの中には順位性があります。アルファ(リーダー)を頂点として序列を作り、狩りや子育てを群れ単位で行うのです。
その名残で犬は自分を含めた飼い主家族を群れと見なしてそれぞれに順位をつけ、自分より下位の家族には吠えたり唸ったりすると考えられていました。しかし最近では、犬は家族に順位づけをしないと考える専門家が多くなっています。
つまり、犬は一緒に暮らす飼い主やその家族を群れの仲間と認識しているものの、順位づけはしていないということです。
犬が家族によって言うことを聞いたり聞かなかったりするのは、順位づけをしているからではなく、家族をそれぞれ『ごはんをくれる人』『散歩に連れて行ってくれる人』『何でも要求を叶えてくれる人』という風に、自分にとってどういう人かを判断しているからだと考えられています。
犬は『信頼できる人』と判断した家族には従順な態度を示します。ですから、もし愛犬が家族の中でお父さんの言うことしか聞かないのであれば、愛犬はお父さんを一番信頼しているということです。
母親
愛犬が顔を舐めてきたり、仰向けになってお腹を見せてくることはありませんか?子犬は、胃の中の食べ物を吐き出してもらうために母犬の口元を舐めます。また体や尻尾の力を抜いてお腹を見せる姿勢は、子犬が母犬に排泄を促してもらったり、排泄物を舐め取ってもらったりするときの姿勢と同じです。
飼い主に対して顔を舐めてきたりお腹を見せたりするのは、こうした子犬の頃の仕草の名残であり、飼い主のことを母犬のように慕い、甘えているのです。ということは、犬にとって飼い主は母親のような存在と言えるでしょう。
愛犬にとって『頼れる存在』になろう
飼い主は愛犬にとって『信頼できる人』になって、『頼れる存在』になることが大切です。先程も触れましたが、犬は信頼する人に対して従順な態度を示します。また飼い主が頼れる存在であれば、犬は何が起きても「飼い主がいれば大丈夫」と思うことができ、いつも安心して過ごすことができます。
注意すべきは、ただ飼い主というだけで犬に信頼されるわけではないということです。たとえ飼い主であっても、接し方次第では犬に『何でも要求を叶えてくれる人』と判断され、ワガママな態度を取られるようになることもあります。
では、犬はどのような人を『信頼できる人』と判断するのでしょうか?それは、犬を力づくで従えようとする人でも、犬の言いなりになる人でもありません。
犬にとって信頼できる人とは、ダメなものはダメと言ってくれて、正しい行動を教え導いてくれる人です。また「一緒にいると楽しい」と思える人である必要もあります。
まとめ
今回は、犬にとって『飼い主』はどういう存在なのかについてご紹介しました。実際のところは犬に聞いてみなければ分かりませんが、犬にとって飼い主は仲間であり、また母親のような存在であると考えられます。
飼い主は愛犬にとってよき仲間、よき母親でありたいものですが、大切なのは『頼れる存在』になることです。でも、愛犬からの信頼は一朝一夕に得られるものではありません。犬にとって信頼できる人とはどういう人なのかを理解し、コツコツと信頼を築き上げていきましょう。