犬同士のお付き合いが苦手になる理由
人とは付き合えるけれど、犬同士の付き合いがどうしても苦手という犬がいまう。その理由にはいくつか原因があるのですが、大きく分けると2パターンになります。
1.幼いころからの交流不足
犬は生後間もないころから、母犬や兄弟犬との関わりを通じて「社会化」されます。社会化は一生かけて行われますが特に生後3ヶ月くらいまでの時期は大切で、この社会化期に様々な体験をすることで情緒的に落ち着きのある、順応性の高い性格になるといわれています。
子犬たちが母犬や兄弟犬と遊んだりにおいを嗅ぎあったり、噛みついてお互いに痛がったり怒りあったりするのは、全てその後の犬同士の付き合い方に関する経験となるのです。しかしこの時期に他の犬と触れ合わせなかったり、経験を積まなかったりすると、犬同士の接触の方法を学ぶことができません。
早い時期に母犬から離されケージに入れられてしまった子犬の場合、一人遊びは上手になりますが犬同士の付き合いが苦手になってしまうことが多く、成長しても他の犬を避けたり逆に手加減が分からず追い回したりするようになることがあります。
2.恐怖のトラウマがある
犬は学習する生き物です。良いこともしっかり覚えている代わりに、嫌だったこと、怖かったこともちゃんと覚えていて、自分が嫌な思いをしたことを避ける傾向があります。人間だっていやなことは覚えていますし、一度懲りたら次は同じ目にあわないようにしますよね。犬も同様です。
ほかの犬と出会った時にいきなり吠えられた、急に飛び掛かられた、噛まれた、などの「イヤな出来事」は強烈に覚えているので、犬たちはなるべく同じシチュエーションになることを避けます。
そのため、他の犬が近くにいると知らんぷりをしたり、逆に吠えて威嚇したりするようになるのです。そしてあまりに恐怖心が強いとパニックを起こし相手に噛みついてしまったりする可能性もあります。
ほかの犬と仲良くする方法
犬が苦手ならば他の犬と接する機会を減らして、なるべくストレスを与えない生活をさせるという方法もあります。散歩の時間を変える、ドッグランにはほかにお客さんがいない時間に行く、他の犬が近寄ってきたら避ける、など、犬同士を会わせずに暮らすことは可能です。
しかしこれではいつまでたっても「犬同士の付き合い方」を学ばせることはできません。一見不自由はないようにも思えますが、生きていくうえで他の犬との接触を完全にゼロにすることはできないでしょう。動物病院へ行くこともあるでしょうし、万が一災害がおこれば避難所で他の動物たちと至近距離で過ごすことになります。
知らんぷりができる犬であればまだよいのですが、ストレスから攻撃的になったり体調を崩したりする可能性もあるでしょう。日頃から少しでも他の犬に会う、他の犬が同じ空間にいる、ということに慣れさせてあげたほうが良いと思います。
段階を追って慣れさせる
ポイントは「少しずつ慣れさせる」です。
まだ犬が子犬であったり、若い成長期であれば、うちの子は犬が苦手だからと他の犬との接触を避けず、なるべく犬同士が触れ合える機会を作ってあげましょう。子犬のしつけ教室や、地域によっては犬の幼稚園などもあるのでそちらで犬同士の遊び方を経験させるのも良いでしょう。
成犬の場合は子犬の頃より順応が遅く、なかなか慣れてくれないことが多いです。しかしこれも少しずつ段階を追って慣れさせていくことが大切です。
場所に慣れてから適度な距離で他の犬と会わせてみる
ドッグランやしつけ教室などに連れて行って「さあ遊べ」で放り投げるのではなく、まずは誰もいない時間に行って他の犬のにおいがすることから慣れさせ、次はリードを付けて飼い主と遊んでみましょう。
場所になれたら次は犬がいる時間に行ってみて、柵やフェンス越しに他の犬が遊んでいる様子を見せてあげたり、柵越しに挨拶をさせてあげたり、犬が恐怖心を抱かずにいられる工夫をしながら他の犬に近づいてみてもよいでしょう。様子を見ながら、少しずつ慣れさせてあげてください。吠えずにいられたらしっかりと褒めてあげることを忘れずに。
また、他の犬と会わせてもぷいっと横を向いてしまうことがありますが、これは悪いことではありません。敵意がない、興味がない、という犬なりのメッセージです。どちらかの犬にこの様子が見られたら、それ以上は近寄らず距離をとってあげましょう。
まとめ
よその犬とフレンドリーな態度をとることができるようになるには、子犬のころからの経験がとても重要です。しかし成犬でも経験を積むことはできます。時間はかかりますが、少しずつゆっくりと、他の犬と会う機会を増やしてあげてください。