誤った方法での抱っこは怪我の原因に
犬を抱っこする方法について、深く考えたことがないという飼い主さんも多いと思います。体の小さな小型犬の場合、女性でも軽々と持ち上げることができますし、特に注意すべきことはないと考えられがちです。
しかし、犬を誤った方法で抱っこすることはとても危険な行為です。安定しない抱き方で持ち上げると少し動いたときに落としてしまうことがありますし、犬に不快感を与えて関係性を悪くしてしまうこともあります。高い場所から落ちることで犬が大怪我をしてしまうこともあるので、正しい抱き方を知っておくことはとても大切です。
時々、犬の前足をつかんで引っ張り上げるように持ち上げて抱っこしている飼い主さんを見かけますが、それは絶対にやめた方がいい抱き方です。肩や脚の関節を痛めたり脱臼したりする原因になりますし、体を垂直に持ち上げることで背中や腰に負担がかかることもあります。体が軽いからこそできる方法ですが、その分関節も細く弱いので気をつけましょう。
犬を正しく安全に抱っこする方法
①横から抱き上げて体に密着させる
犬は正面から近づかれたり、上から覆い被さるような仕草をされたりすると圧迫感を抱き、相手を警戒します。そのため、抱き上げるときは犬の体の側面にしゃがんでから抱え上げるようにしましょう。また、飼い主さんの体に密着させるように抱っこすると、犬が恐怖を感じにくく安心して身を任せられます。
②犬の体が水平になるように抱える
犬を抱っこするときは、体ができるだけ水平になるように意識してください。頭が上でお尻が下に来る「縦抱き」をしてしまうと、背中や腰に負担がかかると考えられています。特にダックスフンドなど胴長犬種の場合は、腰への負担が大きいので胸部分とお尻をそれぞれの腕で支えるように抱えてあげるようにしましょう。
③下ろすときは足がついてから放す
犬を抱っこから下ろすときは、必ず犬の四肢が地面についてから放すようにしてください。高い位置からジャンプさせてしまうと、頸椎や足腰の関節を痛める可能性があるので絶対にやめてください。特に早く解放してほしくて犬が暴れているときに放してしまうと、着地のバランスを崩して思わぬ怪我をしてしまうので十分に注意しましょう。
<犬のサイズ別>抱っこするときの注意点
小型犬・子犬の場合
小型犬を抱っこするときは、利き手のひじの内側のあたりを犬のお尻に当てて手のひらで脇腹を支え、飼い主さんの体に密着させます。そして、もう一方の腕であご下からお腹のあたりを包み込むように支えてください。
また、子犬の場合は特に注意深く抱っこをするようにしてください。子犬の体は筋肉や関節が未熟で、ちょっとした刺激が大きなダメージにつながることがあります。そのため、高いところから落としてしまうことがないように、しっかりと支えるように注意してください。慣れないうちは座ったまま抱っこしたり、キャリーバッグに入れたりするなどして安全を確保するようにしましょう。
中・大型犬の場合
10kg未満で飼い主のひざ上にギリギリ乗せることができる程度であれば、小型犬と同じような抱き方で問題ありません。しかし、抱っこする人が両腕でつくった輪の中に犬の体が入りきらない場合は無理に抱き上げないようにしましょう。
中・大型犬の場合は、犬の体の横に立ち、胴部分を両手で抱きしめるようにして真上に持ち上げます。犬の体は足がぶらぶらした状態で、犬が四つ足で立っているときに似た姿勢になるのが理想的です。
地面に足がついているときに保定する場合はお尻と胸を支える抱き方がいいとされていますが、その状態で持ち上げると犬が暴れたときに落としてしまいやすいので気をつけてください。
まとめ
犬を抱っこは、犬の体に負担をかけない方法で行う必要があります。また、無理やり抱き上げたり、ふざけて抱っこしたりすると犬が飼い主さんに不信感を抱くようになって、触られることを嫌がるようになってしまうこともあるので注意しなければなりません。
犬を抱っこするときには、圧迫感を与えないように横から抱え上げるようにし、体をぴったりとくっつけるようにして安定させます。できるだけ水平になるように抱えるようにして胸とお尻を支えてあげると、安全が確保できる上、犬も落ち着いていられるでしょう。
犬の抱っこは大切なスキンシップにもなります。犬が安心して身を任せられるように安全で正しい抱き方を理解しておくようにしてくださいね。