1.かまってほしい
「お手」は犬が自然に行う動作
「お手」の動作である「前脚を乗せる」という動きは、犬が自然に行う動作の1つです。犬にとって自然にできる動作であるため、まず初めに「お手」から教えることでコマンドのトレーニングがスムーズにできると考えられています。
飼い主さんとのコミュニケーションを求めているのかも
犬同士でじゃれ合って遊ぶ時、じゃれ合いが始まる前にどちらかの犬が相手の犬に前足を乗せることがあります。お手で相手に触れることで「遊ぼう」とお誘いするのです。
また「お手」を教えていない子犬であっても、飼い主さんの身体に前足を乗せる行動をとることもあります。相手の身体に手を乗せることでその相手に注目してもらいやすいため、犬はお手で相手に触れるという行動を本能的に行います。そのため犬が自らお手で飼い主さんに触れてきたときは「かまってほしい」というサインであることがあります。
2.褒めてほしい
犬は飼い主さんとのトレーニングによって、さまざまなコマンドを覚えることができます。なぜ犬がコマンドを覚えるのかというと、成功すると飼い主さんが褒めてくれるからです。「褒めてもらえる=嬉しい=良いこと」という学習によって、犬は言葉と行動を結び付けて覚えていきます。
そのため飼い主さんに褒めてもらいたいと思った時に、飼い主さんが指示をしていないのに自らお手を披露してくることがあります。
筆者は、とあるフレンドリーなトイプードル君と触れ合った際に、何も言っていないのに連続で交互の「お手」を披露してくれたことがありました。「見て見て!すごいでしょ♪」そんな声が聞こえてきそうなほど、その子の笑顔は輝いて自信満々な様子でした。
3.要求がある
何か要求がある時にも自らお手を披露してくることがあります。これは1や2と関連があると感じますが、お手をすることによって飼い主さんに注目してもらって、成功した暁には要求を叶えてほしいという気持ちであると考えられます。
特に顕著なのは「おやつ」「お散歩」などの要求の際です。飼い主さんがおやつの袋やリードを手にした途端、さあ見て!と言わんばかりにお手を披露することがよくあります。これは「お手をするとおやつがもらえた」という経験によることとも考えられます。
まとめ
相手の身体に自分の前足を乗せるという行動は、犬にとって本能的に行うコミュニケーション方法の1つです。私たちが親しい人の肩に手を当てて話しかける時のように、犬も相手に触れることでコミュニケーションのきっかけをつかんでいるのかもしれません。
飼い主さんが何も指示していないのに「お手」をして触れてくるときには、愛犬は飼い主さんとの関わり合いを求めていると考えられます。そして「お手」をすることで褒めてもらいたいという気持ちがあることも考えられます。しかし一方で、おやつ欲しさやお散歩に行きたいといった要求で積極的に「お手」を披露してくることもあります。
「褒めてほしい」よりももっと要求的な「ごほうび欲しさ」によるお手は本末転倒な感じになってしまいますので、要求によるお手だと感じた場合は毎回その要求を叶えないでおくという無視の姿勢も必要になってくるでしょう。
どんな気持ちにせよ自ら「お手」をしてくる場合、言葉を話さない犬が飼い主さんに「自分の気持ちを伝えたい」という表れであると考えられます。