犬の『鼻』の役割
人であれば呼吸と嗅覚を司る器官である「鼻」。同じように犬の鼻も呼吸と嗅覚を司る器官ですが、犬の嗅覚は人間とは比較にならないほど優れているのは皆さんご存知かと思います。
犬は多くの情報を「ニオイ」で集める生き物です。人間が目でものを見て認識するのと同じような感覚で「ニオイ」を嗅いで様々な状況を確認しているのです。犬にとって「ニオイを嗅げない」という状況は私たち人間の感覚でいうと「目が見えない」ようなもの。そのためとても重要な器官のひとつになります。
犬の鼻の役割は「ニオイを嗅ぐ」「呼吸を助ける」「異物の混入を防ぐ」など多くの働きがありますが一番優れた能力はやはりニオイを感知する「嗅覚」。人間よりも数千倍から1憶倍も優れていると言われる犬の嗅覚が持つ能力についてお伝えいたします。
犬の『鼻』が持っている驚くべき能力3選
1.人の感情をニオイで察知する
犬は人の感情を読み取ることが上手な生き物です。特にいつも一緒に過ごす大好きな飼い主さんの感情にはとても敏感。どうやら犬は飼い主さんの感情も、その時その時の「ニオイ」で察知していることがあるようです。
人はその時の感情により汗の成分に変化があるようです。特に恐怖心を抱いている時には変化があるようです。私たち人間には気づくことが出来ない、ごくわずかな汗のにニオイの変化によって飼い主さんの気分を感じ取っているようです。
毎日一緒に過ごしている愛犬であれば、もちろん飼い主さんの表情や声のトーンなども合わせて感じ取っていると思いますが、いくつかの実験結果では飼い主さんの汗のサンプルを嗅がせただけでも犬の反応に変化があったよう。
楽しい感情を抱いた人と恐怖心を抱いた人の汗のニオイを嗅がせる実験では、楽しい感情を抱いた人の汗のニオイを嗅いだ犬は、知らない人にも良く懐き人懐っこい行動をとりますが、恐怖心を抱いた人の汗のニオイを嗅いだ犬は心拍数が上がり知らない人に対して慎重な行動を見せたそうです。
犬は人のニオイだけでも感情を感知することが出来ているようですね。
2.ニオイを嗅ぎ分けて病気を察知する
犬は強い嗅覚を持ちますがニオイを嗅ぎ分ける能力も人の100万倍と言われています。優れた嗅覚と嗅ぎ分ける能力を活かし人の病気を発見する「探知犬」をご存知の方も多いはず。
- ガン探知犬
- 糖尿病探知犬(低血糖アラート犬)
病気を探知してくれる犬は人の呼気や尿のニオイを嗅ぎ分けて、ガンの発見や糖尿病患者さんの手助けをしてくれています。ガンに関しては9割以上という非常に高い確率で判別できるうえ早期発見も可能。また30種類以上のガンのニオイを嗅ぎ分けることも出来るそうです。
また糖尿病患者さんに寄り添い、低血糖になった時にお知らせしてくれる糖尿病探知犬も存在します。別名、低血糖アラート犬とも呼ばれ日本ではまだ知名度が低いですが、海外ではこの探知犬に救われている糖尿病患者さんもいるようです。
糖尿病は慢性的に血糖値が高い値を維持してしまう疾患。飲み薬やインスリンで血糖値をコントロールしますが、効きすぎてしまい低血糖になってしまうことがあります。低血糖になると動悸や痙攣、意識障害などの症状があらわれ非常に危険な状態になることも。
いつどこででも低血糖による発作が起きる可能性があり、特に就寝中の発作は自覚症状がないため命にかかわる危険性もあります。
そんな時患者さんに低血糖をお知らせして助けてくれるのが糖尿病探知犬なのです。
3.追跡する能力
犬の中には優れた嗅覚を活かいし人のために働いてくれている犬もいます。代表的なのが警察犬ですよね。警察犬の仕事内容には犯人や被害者を突き止めるためにニオイを追跡することが多々あります。
対象人物の足跡臭と共に体から落ちた細胞のニオイを嗅ぎ取って追跡しているのだとか。しかもそのニオイは長い時間その場にとどまっているわけではありません。住宅地などでは8時間以内、人気の多い場所では1時間ほどでニオイがなくなってしまそうです。
高度な訓練を受けている警察犬の中には人の3憶倍もの嗅覚を持つ個体も存在し、その能力をフルに発揮してくれているようです。
まとめ
犬の鼻の能力は人の感情や病気までニオイで感じることができる優れたもの。人間には想像のつかない世界ですが、言葉を持たない犬には必要な能力なのかもしれません。優れた嗅覚を活かし人のために働いている犬たちには敬意を表したいですね。