犬の骨格は人間と似ている!?
犬の骨格は人間が四つん這いになった時の状態に近い構造をしているそうですが、筋肉や骨の数など様々な違いもあります。
当然ながら四足歩行に順応している筋肉や骨格を持っているため、無理な姿勢をとらせると体を痛めかねません。なかには愛犬自身は「辛い」と感じていない姿勢でも、知らず知らずのうちに関節に負担をかけてしまい関節炎などの病気を発症してしまう危険性も。
愛犬に負担になってしまうような「辛い姿勢」を防いであげましょう。
犬にとっての『辛い姿勢』4選!こんな状態だったら注意が必要かも…?
1.立たせる
犬が後ろ脚の2本で立ち上がってしまう状態は「辛い姿勢」のひとつ。
よく飼い主さんが帰宅した時に喜んで立ち上がり、ピョンピョンとジャンプすることがありますよね。自らとる姿勢なので愛犬自身は「辛い」とは感じていないと思いますが、後ろ脚の2本で立ち上がる姿勢は四足歩行の犬にとって非常に不自然で無理のある姿勢です。
犬は嬉しい時や要求がある時に前脚を持ち上げて後ろ脚だけで立ち上がることがありますが、膝や腰、股関節に大きな負担をかけてしまいます。特に立ち上った状態でジャンプする子は関節や骨へのダメージも大きいので、できるだけ早めに止めさせるようしつけをしましょう。
2.縦抱っこ
飼い主さんがついやってしまいがちなのが「縦抱っこ」。人間の子供を抱っこするように愛犬を縦に抱っこしたことはありませんか?
この姿勢は犬にとって辛いだけでなく体に負担をかけてしまう姿勢でもあります。飼い主さんの抱っこを嫌がるワンちゃんは、もしかすると不自然な姿勢になってしまう「縦抱っこ」を嫌っているのかも…。
「縦抱っこ」は犬の椎間板に大きな負担をかけてしまいます。もちろんヘルニアが発症する原因にもなりかねないので注意しましょう。
また抱き上げる時に犬の前脚の両脇に手を入れて持ち上げるのもとても危険。実は犬には鎖骨がありません。
鎖骨には肩を安定させる役割があるのですが、その鎖骨が存在しないため両脇に手を入れて体全体を持ち上げてしまうと、肩関節に強い負荷がかかってしまい関節を痛める大きな原因となります。また、脇には神経が集まっていますので強く抑えられると痛みが走ります。
「縦抱っこ」はヘルニアの発症や関節を痛める危険性があるため、基本的には体と地面が平行になるように「横抱っこ」するよう意識しましょう。
3.無理に仰向けにする
通称「へそ天」と呼ばれる仰向けの姿勢。愛犬が自ら仰向けになってゴロゴロしたり、寝ているのであれば問題のない姿勢で、飼い主さんに対して甘えたい気持ちや信頼の表れでもある姿勢のひとつ。しかし飼い主さんが無理やり仰向けの姿勢をとらせるのはあまり好ましくありません。
犬にとって柔らかなお腹は急所のひとつ。そんなお腹を無防備な状態にする仰向けの姿勢を嫌がる個体は多いよう。基本的に犬以外の動物でも四足歩行の生き物は、好んで仰向けになってお腹を見せることはあまりないようです。
一昔前まではしつけの一環として無理にでも仰向けの姿勢に慣れさせておくことが大切と考えられていましたが、力づくで飼い主さんが仰向けの姿勢をとらせてしまうと恐怖心や警戒心を抱いてしまう危険性が高いです。結果的に愛犬を辛い気持ちにしてしまう姿勢となるでしょう。
また犬種によっては仰向けの姿勢自体が体に負担になることもあります。パブやフレンチブルドッグなど鼻ペチャな短頭種は仰向けになることで、気道を圧迫し呼吸が苦しくなる危険性があるのです。鼻ペチャなワンちゃんが長い時間仰向けで寝ていたら体勢を変えてあげましょう。
4.頭を下げてご飯を食べる
愛犬がご飯を食べるときはどんな姿勢ですか?床にフードボウルを置いてグッと頭を下げてご飯を食べる姿勢も犬にとっては「辛い姿勢」になります。
犬の食道は地面と平行になっている状態が自然なため、頭を下げてご飯を食べると食べたものが逆流してしまう可能性があります。また頭を下げることで無理な姿勢になるので前脚や背中、腰などに負担がかかりやすくなってしまうのです。
フードボウルの高さを体型に合わてあげると愛犬もご飯を食べやすくなります。フードボウルの乗せるための犬用食器スタンドなども販売されていますので高さを調節してあげましょう。
ちなみに高さの目安は首を少しだけ下げた状態がベスト。愛犬の肩の高さあたりを目安にしましょう。
まとめ
知らずにとらせていた姿勢はありませんでしたか?これらの姿勢をとったからと言って、すぐに体に悪影響があるわけではありませんが、毎日の蓄積がいつか爆発してしまうかもしれません。
抱っこの仕方を変えたり、フードボウルの高さを調節するなどはすぐにでも出来ることかと思います。愛犬に「辛い姿勢」をさせないよう工夫してくださいね。