犬が飼い主の感情を理解できるのか?
犬と一緒に生活している飼い主さんや、犬に関わることのある人であれば、犬が人間の感情を理解しているように感じたことがあると思います。言葉の持つ詳しい意味を理解することはできないはずの犬ですが、声のトーンや表情などさまざまな方法で私たち人間の感情を理解できると考えられています。
また、相手を理解したいという気持ちが強い程理解力も高まると考えられています。理解したいという気持ちがあると、相手の仕草や行動をより一層注意深く観察するようになります。
犬が人の感情を理解するためには、観察が非常に重要なポイントになるため、関係性が深い間柄や経験が多いほど理解する力も強くなるのです。
犬が飼い主の感情を理解する方法
ここでは犬が飼い主の感情を理解するための具体的な方法について解説します。
言葉の意味や声色
犬が飼い主の感情を理解する方法のひとつが、言葉や声です。飼い主さんが頻繁に発する単語や言葉遣いであれば、そのときの状況にあわせてその意味を理解することができます。
また、声の高さやスピードなど声色でその感情を理解することもあります。知らない単語や言葉であっても、発せられるトーンでその意味や含まれる感情を理解できることがあるのです。
表情
犬は人間の表情を見て、その感情を理解すると考えられています。実際、人間のさまざまな感情が表れた顔写真を見て、それに応じた反応や行動が見られたという実験や研究の結果も発表されています。
それらの研究の中で、犬は人間の感情を理解するとき、顔の右半分を観察しているということもわかっています。理由まではわかっていないようですが、顔写真を上下反対にしても正確に右半分を見る犬が多く、犬独特の感覚と考えられています。
仕草や体の動き・変化
犬は声や表情だけでなく、より些細な仕草や行動も観察しています。貧乏ゆすりや腕組み、鼻歌など感情に伴う行動や足音、ドアの開閉音などの変化に気づき、飼い主の感情を読み取ることもできるようです。
また、ため息や汗のにおいなども犬が感情を理解するための手段となります。人間が緊張しているときに汗をかきやすいことなどから、そのような方法で理解することができるようです。
犬は飼い主の感情に共感することもできる
犬は人間の感情を理解できるだけでなく、共感して寄り添ったりなぐさめたりすることもできると考えられています。飼い主さんが落ち込んだ様子を見せたとき、ぴったりとくっついて座ったり、顔を舐めたりするという行動はめずらしいことではありません。
感情に寄り添い、慰める行動についてもイギリス・ロンドン大学で研究が行われています。その結果、8割以上の犬が落ち込んだ様子や悲しんでいる様子を見せる人に対して、何らかの接触を行うことがわかりました。
これは、その犬の飼い主に限らず見ず知らずの人に対しても変わらず見られる行動で、人間の3~4歳児程度の精神発達と同等と考えられています。
まとめ
犬は飼い主さんが発する言葉そのものの意味だけでなく、それを発するときの声のトーンやボディランゲージ、行動などから感情を理解すると考えられています。また、人の感情に寄り添うことができる力も持っており、特に悲しみの感情に共感してなぐさめる行動をすることもわかっています。
犬は飼い主以外の人間の感情も理解し、共感することができますが、関係性が深いほどその力は強まると考えられています。
年齢を重ねるほどその傾向が高まるということもわかっているので、長年生活をともにする飼い主さんに対しての共感力が高まるのも納得です。犬が飼い主の感情を理解してくれるように、私たち飼い主も犬の気持ちを理解し寄り添っていきたいですね。