犬の足裏
全身被毛におおわれている犬にとって、鼻と足裏は唯一といっていい「皮膚が露出している場所」です。
一般的に犬の足裏は4つの指球と1つの掌球(後ろ足の場合は足底球)と1つの手根球の計6つの肉球があります。
これらは体の他の部位と異なり、分厚い表皮が露出している状態で子犬の頃はぷにぷにしているのですが、成長に伴って固くガサガサしたものになっていきます。また全身にほとんど汗腺がない犬の体ですが、この肉球には汗腺が集中しておりじんわりとかいた汗の水分でほんの少ししっとり柔らかい場合もあります。
これらの肉球の役目は前述のとおり「汗をかく」ことで体温調節をすること以外にも、歩行時のクッション材の役目を持って足全体を体重の負荷から守ったり、音を立てずに歩いて獲物に近づいたりするための緩衝材の役目だったりと、彼らの歩行にとって大切な部位なんですね。
しかし犬の足は肉球ばかり目立つので見落としがちなのですが、それぞれの肉球の間にも注目しましょう。表皮が露出している肉球同士の間(指の間)は被毛におおわれていて、とても皮膚が薄く敏感な部位です。
手足をいじられると嫌がる子も多いと思いますが、感覚が敏感なので、痛みを覚えやすかったり不快感を得やすい部位なので、手入れには注意が必要です。
散歩から帰ったら
日本では人間も玄関で外履きを脱いで室内へ入る習慣があります。このためさすがにお外を歩いてきた犬を、直接室内へ入れてしまうことに抵抗がある人も多いでしょう。
屋外を歩いてきた犬の手足は泥、砂をはじめ木の実や草、あるいはごみなど様々なものを被毛や指の間に挟んで帰宅するので、やはり洗ったほうが気分よく自宅で過ごすことができますね。
また新型コロナウイルス感染症の流行により、地面にも多種多様なウイルスや雑菌がいることに注目が集まり、家の中へ持ち込ませないためにもきちんとした対策が必要と考えている方も多いでしょう。
犬の手足も散歩のあとはキレイに洗ってあげましょう。
その際にいくつか注意することがあります。
手順
- ぬるま湯で手足を洗う
- 水分をふき取る
- ドライヤーなどで乾かす
ざっと流れをみるとこれだけです。しかし犬の足裏は肉球だけでなく指の間も毛が生えている分汚れやすい部位といえます。
(1)のぬるま湯で洗う際もなるべくごみや汚れを残さないように、丁寧に洗ってあげましょう。
また(2)の水分をふき取る手順も大切です。指間の皮膚は薄く、とても敏感な上に被毛が密集していて指も閉じているため、乾きにくく蒸れやすい部位です。となると、皮膚炎をおこしやすい部位とも言えます。
あまりしつこくごしごし拭くと犬も嫌がって逃げてしまいますので、手早く、しかししっかりと水気を取ってあげることが必要です。吸水力の高いタオルなどを使って、短時間で一気に済ませてしまいましょう。
さらに(3)ですが、これは正直とても面倒です。毎回となると、ちょっと省略してもいいかという気分になります。しかし、犬の足裏は大変通気性が悪く、放っておいてもなかなか乾ききりません。
じめじめしている湿った状態が長く続くほど皮膚炎などのトラブルになりやすいので、毎回の習慣になるようにして風を当てて乾かしてあげましょう。
これらの手順で足を洗ったら、仕上げに肉球部に保湿クリームを塗ってあげるのも良いようです。舐めてしまうことも考慮して、無添加のやさしい犬用のものを使用しましょう。
まとめ
犬の足裏は彼らの健康のために大切な器官です。皮膚が弱い子の場合は毎回水洗いをすると余計に荒れてしまうこともあるので、汚れがそれほど気にならない場合はぬれタオルで優しくふき取るだけなどの処置でもよいでしょう。
その際も生乾きにしたままにならないよう、乾燥まで手早く済ませてあげられると犬たちのストレスも少なく済みますね。