犬がしつけを完全に覚えてくれない理由4つ
1.指示の言葉を理解できない
長く人間と一緒に暮らしていたり、盲導犬や警察犬など人間のために使役していたりする犬は、まるで人間の言葉を理解しているかのように人間の指示に従って行動することができます。
けれども、人間と接して日が浅い犬は、人間の言葉をただ「音」としてしか認識できません。その音の違いを覚え、その音が意味するところの人間の行動、自分の行動を把握するようになるには、一つ一つの人間の指示と言葉をしっかりと記憶する必要があります。
それができないうちは、人間の言葉に意味があるということすら理解できません。まして、複数の人にまちまちの言葉で指示されても、犬はただ混乱するばかりで人間の言葉に意味があることなど、理解できるはずがありません。
2.飼い主さんを信頼していない
しつけをしている最中に感情的になって、犬が恐怖を感じるほど大声で叱りつけたり、あるいは暴力を振るったりすると、犬は飼い主さんに対して恐怖心を抱くだけで信頼しなくなります。
また、逆に犬が飼い主さんの指示に従わず、反抗的な態度を取っているにも関わらず、笑って対処していても、犬は人間を信用しなくなります。
3.生活環境が変わった
転居や家族構成が大きく変わると、今まで覚えていたことが一時的にできなくなることがあります。
4.耳が聞こえていない
飼い主さんの声が聞こえていないと、当然、「音」としての「声」を聞き取れません。この場合のしつけに関しては、犬のしつけのプロであるドッグトレーナーさんか、犬の訓練士さんなど専門家に相談しましょう。
最低限、必要なしつけ
まて
犬の動きを制御するだけでなく、この「まて」ができればどんなに犬が興奮していても犬を落ち着かせることができます。また、リードが外れて逸走してしまったときやドッグランでほかの犬と喧嘩になりそうになったときも、「まて」ができれば、犬の動きだけでなく、感情も制御することができるようになります。
おいで
いわゆる「呼び戻し」です。逸走したとき、ドッグランで遊んでいる犬を呼び寄せるときに絶対に必要な「しつけ」です。
トイレトレーニング
家の中で一緒に暮らし、家の中でトイレをするようにしつけしたいのなら絶対に必要なしつけで、多くの飼い主さんが最も苦労するしつけでもあります。
ハウストレーニング
旅行するとき、お留守番をするとき、災害時に避難するとき、通院するとき、バス、電車などの公共交通機関に乗るときなど、クレートに入って大人しく過ごせるようにするハウストレーニングは絶対に必要なしつけです。
どうすれば完全に覚えてくれる?
家族全員が同じ言葉で指示を出す
「おいで」というしつけ一つにしても「こい」「おいで」など、いろいろな言葉で指示を出すと犬が混乱します。犬のしつけに関する言葉は、家族で統一するようにしましょう。
できないことを叱らず、できたことを褒める
人間も叱られてばかりだとやる気が失せ、自信を失います。それは犬も同じです。99回失敗してもそれを責めずに、1回の成功を心から喜び、褒めてあげる、その繰り返しで犬は「褒めてもらえること」を理解して、しつけの効果が表れます。
叱るときは、短く、毅然と低い声で
くどくどと小言を繰り返しても、犬は理解できません。また、大声を出して叱っても、犬は威嚇と捉えて、怯えるか、反抗心を抱くかのどちらかです。
また、逆に叱るべきときに「厳しく叱ると可哀そうだから」と犬を甘やかすと、犬は自分が何をしたらダメなのか、何をしたら褒められるのかが理解できなくなります。犬を叱るときは、毅然とした態度をとり、低い声で短い言葉で叱りましょう。
「楽しい経験」を繰り返す
犬は優れた記憶力を持っているので、「大好きな人にたくさん褒めてもらえて、ご褒美ももらえる」という経験をたくさんすれば、それだけ大きな効果を得ることできます。
まとめ
本来、犬は人間の声を聞き取ることはできても、その言葉の意味を理解できません。長く一緒に暮らし、たくさんコミュニケーションを取り、飼い主さんや家族の行動と「音の響き」を覚えて「言葉」と「行動」を関連付けで、私たちの意思を理解できるようになります。
ですから、しつけを覚えないからと言って「この子はバカなんじゃないか」と思うのは、大きな間違いです。しつけを覚えることができない、というのは飼い主さんが「覚えられない理由」を突き止められていない、そして解決できていない、ということです。
まずは愛犬の様子をしっかり観察して、「覚えられない理由」を突き止めましょう。飼い主さんが教える「しつけ」を覚えるのに時間がかかっても、焦ることはありません。
愛犬とのコミュニケーションを楽しみながら、繰り返し繰り返ししつけに費やす時間を「楽しいこと」として経験を積めば、愛犬は精神的に成長し、必ず飼い主さんの愛情に応えてくれます。