小型犬より大型犬の方が寿命が短い理由
犬の平均寿命は12~13歳とされていますが、犬の体の大きさや種類によって大きな差があるということがわかっています。小型犬(超小型犬含む)の場合は平均寿命が15歳前後とされる一方、大型犬(超大型犬含む)の場合は9~10歳程度とされています。同じ犬という動物でも、体の大きさによってその寿命に大きな差があるのです。
大型犬の寿命が短いことに関しては、あらゆる研究や調査が行われていますが明確な理由はわかっておらず、今考えられている理由は仮説の域を超えないとされています。以下では、現段階で考えられている短命の理由を紹介します。
理由①ホルモンの違い
犬の体の大きさは「IGF」というホルモンの分泌量によって決められているという説があります。IGFはインスリン様成長因子と言い、受精や生体の発育・成長に対し重要な役割を持つホルモンです。このホルモンをたくさん分泌する犬ほど大きいことが報告されています。このIGFの分泌量が多いと体の大きさが大きくなるとともに寿命が短くなる傾向があると考えられているのです。大型犬はいずれもIGFの分泌量が多いことから小型犬に比べて寿命が短いのではないかとされています。
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2012/20120905-1.html
理由②体と内臓の大きさの比率が小さい
大型犬と小型の体の構造を比べた場合、小型犬に比べて大型犬は体全体に対する心臓や肺などの内臓器の大きさが小さいのです。そのため、体全体に血を巡らせ、酸素や栄養素を行きわたらせるために内臓への負担が大きくかかってしまうと考えられます。そのため、体の細胞の老化が早まるため、寿命も短くなると考えられています。
理由③胃捻転やガン発症率が高い
大型犬の中には骨肉腫などガンの発症率が高い犬種や、胃拡張・胃捻転を起こしやすい犬種が少なくありません。ガンは早期に発見できれば治療が可能ですが、言葉を話さない犬の場合ガンの発見が遅れることも少なくありません。ガンも胃拡張・胃捻転も命を脅かす重大な疾病です。
特に胃拡張・胃捻転は食後などに突然起こり、数時間放置すればあっという間に死に至ることもある恐ろしい病気です。そのような重大なトラブルが起こりやすいということもあり、大型犬の平均寿命が短くなる傾向にあるのです。
大型犬は小型犬よりも成犬になるのが遅い
大型犬は小型犬に比べて平均寿命が短く、シニア期に入るのも早いとされています。小型犬が7~8歳でシニア期に入るとされる一方、大型犬の場合は6歳前後でシニア犬と呼ばれるようになります。
そのため、大型犬は成長スピードが早いと勘違いされることがありますが、実はそうではないのです。大型犬の場合、子犬から成犬に成長するまでの期間が小型犬に比べて長いとされています。
小型犬が1歳のときに人間換算すると20歳前後ですが、大型犬の場合は1歳で12歳前後。大型犬が成犬になるのは1歳半~2歳頃とされているので、ゆっくり育って早く老いるというのが特徴的です。とても切ないことですが、大型犬は心身共に充足した成犬の期間が非常に短いのです。
大型犬の生活で注意すべきこと
適切な体重管理が大切
大型犬の健康を維持し、少しでも長生きしてもらうためには体重管理がとても重要です。大型犬に限らず、肥満は万病のもとですし、特に体重の重い大型犬の場合足腰への負担も大きくなるため注意しなければなりません。
激しい運動では関節を痛める可能性があるので、ゆっくりたっぷりお散歩をするなど十分な運動を行うようにして、適切な体重を維持するよう心がけましょう。
足腰への関節の負担を減らす
肥満は足腰への負担になるとしましたが、段差やすべりやすい床なども関節を痛める原因になるので注意してください。大型犬は体重が重いため、特に段差を降りるときやジャンプで着地したときに関節に負荷がかかりやすく、フローリングで足が滑ると関節を痛めることがあります。
特に体が十分に育っていない子犬や筋力が衰えたシニア犬の場合は特に注意が必要。部屋の床がすべらないようマットを敷いたり、ジャンプをさせないようにしたり配慮してあげてくださいね。
まとめ
大型犬はとても魅力のある犬種ですが、寿命が短いという傾向を持ちます。体が成長しきって成犬になるまでがゆっくりな反面、細胞が老化して筋力や消化能力などが衰え始めるのが早いのが特徴。
しかし、大型犬の寿命は食生活や運動量など生活習慣によっても大きな差が出るとも考えられています。足腰の関節への負担がないよう室内の生活環境を整え、体重管理や筋力維持に努めて、健康寿命を延ばしてあげるようにしてくださいね。