①テレビの音や人の出入りで騒がしい
犬はさまざまな音を聞き取り、状況を把握することのできる優れた聴覚を持っています。そのため、常に音がしているところや大きな音が発せられるところでは、神経が過敏になってゆっくりと休むことができません。
テレビのそばや、人の出入りが多いリビングのドアの近くなど、音が常にしていたり騒がしくなりがちな場所では、眠りが妨げられたり、精神的に落ち着くことができなかったりします。
ベッドやハウスなど犬がひとりで休む寝床を置く場所はそれらを避けるようにしましょう。犬は長い時間寝ていますが、基本的に眠りが浅いのでちょっとした物音や人の気配で目を覚まし、周囲の様子や状況を伺います。
騒がしいところは苦手でも、家族の気配を感じている方が安心できるので、騒がしい場所からやや離れた部屋の隅など、部屋全体を見渡すことができて少し静かな場所に寝床を配置してあげるといいでしょう。
また、自然のリズムに合った明るさであれば問題ありませんが、飼い主さんの生活リズムがバラバラで深夜になっても部屋の電気がつけっぱなしなどの場合、犬の生活も乱れてしまいがちです。騒がしいのと同様に、常に明るい状態でもストレスが溜まってしまうので十分に配慮してあげましょう。
②エアコンの風や直射日光が当たる
犬のベッドやハウスなど、一日の中で最も長く過ごす場所や寝床に、エアコンの風や直射日光が当たらないように注意してあげることも大切です。ハウスやベッドを部屋の隅に置くことが多いと思いますが、掃き出し窓など大きな窓の近くに置くと直射日光が当たったり冷気を感じたりします。
また、エアコンの風が直接当たると暑すぎたり寒すぎたりすることもあるでしょう。ホコリを含む風が当たることによって喉や皮膚が乾燥して、思わぬトラブルを引き起こすことも考えられます。
③引っ越しや模様替えが多い
音や光、気温・湿度など住居の環境が犬にストレスを与えたり、反対に快適さをもたらしたりします。しかし、その住居環境自体が頻繁に変わるということも犬にとっては大きな負担になると考えられます。
犬は“臨機応変”ということが苦手で、状況や環境の変化に弱いとされています。そのため、飼い主さんから「おすわり」と言われれば簡単にできても他の人に言われるとできないということや、家以外の場所ではできなくなってしまうということは非常によくあります。
どのような場所で誰に指示されても従えるようにすることを“般化”と言いますが、犬には般化トレーニングがとても大切で、それができなければしつけの実用性が低くなってしまいます。
そうした犬の性質もあり、短いスパンでの引っ越しや模様替えによって住居環境が変化すると犬はその変化についていけずストレスを感じたり、イタズラや粗相をしてしまったりします。
これまでできていた家庭内でのしつけができなくなってしまったり、ストレスで家具を噛むようになったり、トイレの失敗がくり返されるようになったりすることはめずらしいことではありません。
不安やストレスが原因で失敗や粗相をしてしまったときに飼い主さんから叱られると、さらに不安感が増したり飼い主さんへの不信感が高まったりするので気をつけましょう。住居環境に変化があったときは、犬の様子に注意を払い、正しい行動に優しく誘導してあげてくださいね。
まとめ
一日のほとんどの時間を家の中で過ごす犬たちにとって、住居環境は非常に大切なものです。特に聴覚や触覚などに敏感で繊細な犬は、騒がしすぎる場所や明るすぎる場所では心身を休ませることができません。犬がきちんと休めることができるように、ベッドやハウスなどの寝床の配置にも気をつけてあげるといいでしょう。
そして、犬が生活するうえで最も大切なことは家族が仲良く暮らしているということです。家庭内で喧嘩が頻繁に起こっていたり、殺伐とした雰囲気が漂っていると犬は神経をすりへらしてしまうでしょう。
家族仲良く、和やかであたたかな雰囲気の中で育つ犬は大らかに育ち重大な問題行動も起こりにくいとされています。住居環境とともに、家族間の関係性も犬には大きな影響を与えるということを忘れないようにしましょう。