①病気や体の変調に気がつく
犬の嗅覚は非常に優れており、微かなにおいを嗅ぎつけることができるだけでなく、さまざまな種類のにおいを繊細に嗅ぎ分ける能力も持っています。
そのため、人間では感じることのできないにおいに気がつくことができるので、その能力によって人間の病気や体調の変化などを察知することができるということもわかっています。
例えば、犬はその鋭い嗅覚で人間の体からガン患者の体内で生成される、VOCという揮発性有機化合物のにおいを感じ取ることができるとされています。
そのため、人間の体のにおいをかぐことでガンのある部分を見つけることができるのです。アメリカの泌尿器科協会が調査したところ、90%以上の確率で犬ががんガン患者を見分けることができたとしています。
VOCだけでなく、呼吸や汗のにおいなどから病気や体の変調を感じ取ることもできると言われています。血糖値がうまくコントロールできないことで体に変調をきたす糖尿病を発見したり、てんかん発作を予兆して本人や周辺にいる家族に知らせるよう訓練された犬もいます。
発作が起こることが事前にわかることで、自宅に帰ったり転倒を防ぐために座ったり、薬を服用するなど対策が取れるため発作に伴う危険性が減少するのです。その他にも、妊婦さんの発するにおいから妊娠や出産時期の兆候を感じ取る犬もいるとされています。
②人間の感情を読み取る
犬と人間は言語でコミュニケーションを取ることはできませんが、その素晴らしい洞察力と繊細な感覚で犬は私たちの感情をしっかりと読み取ってくれます。
これは犬と一緒に暮らしている人であれば、特に驚くほどのことではないと感じるかもしれません。私たちが楽しそうにしている時は犬もウキウキとした様子を見せ、イライラしている飼い主には近寄らないようにする、悲しんでいる人には寄り添う、ということなどは日常的に見られる光景だと思います。
愛犬家にとっては当たり前のように感じるこの能力ですが、世界中で行われるさまざまな研究からも実証されていることなのです。犬の脳の動きや心拍数、視線などを分析することで、犬が私たち人間の表情や声のトーン、足音、においなどからその感情を理解し、時には共感することができるということがわかっています。
中には、人間が嘘をついているかどうかを判別することができるかといった検証なども行われ、一定数の犬がその傾向を持つということもわかりました。犬が人間の気持ちを理解して寄り添うのは、犬が好きな人による感覚的なものではなく、犬の感覚や能力によるものだと実証されているのです。
③地震など自然災害を察知する
自然の中で生きる野生動物は、地震や津波・雷雨・土砂崩れなどの自然災害を予知することができるとされています。地震が起こる前に野生動物が森から一斉に逃げ出した、などということは世界中で見られることです。
そうした危険予知・察知する能力は、野生動物だけでなく犬や猫などにもあるとされています。これまで実際に1975年に中国で起きた海城地震や1995年の阪神淡路大震災などの直前には、犬たちが異常行動を起こしていたという報告も上がっています。
具体的には普段吠えない犬が遠吠えを続けた、興奮状態がおさまらない、震えている、飼い主から離れないなどの行動が見られたと言われています。
犬は聴覚が優れており、その他にも揺れや空気圧、重力の変化などにも敏感に反応すると考えられています。そうした変化によって自然災害や異常気象を感じ取ることができるのではないかとされています。
④荷物の中の危険物を発見できる
犬は嗅覚が優れており、その能力が私たちの安全に役立てられていることもあります。事件や事故が起きた時、犯人の追跡や遺留品捜索のために働く警察犬は多くの人が知っているでしょう。その他にも、空港内で働く麻薬探知犬や爆発物探知犬、動植物検疫探知犬などもいます。
それらの犬は空港で乗客の荷物のにおいを嗅ぐことで、隠された危険物や持ち込み禁止の食品などを探し出すのです。こうして私たちの安全を守ってくれている犬たちに、街中や空港で会った時にはどうかあたたかく見守り、協力してあげてください。
まとめ
犬は聴覚や嗅覚、視覚を含め、さまざまな感覚が優れていることがわかっています。そうした鋭敏で繊細な感覚によって、私たち人間には感じ取ることの出来ない事象を捉え、察知することができるとされているのです。素晴らしい能力も持つ犬たちは、やはり共に生きていくパートナーとして愛すべき存在ですね。