多頭飼育崩壊が起きる理由
1.避妊・去勢手術を行わないで多頭飼いする
愛犬に避妊去勢手術を行うか否かは、飼い主さんの考え方に左右されることです。しかし不妊手術を行っていないオスとメスを多頭飼いするということは、子犬が産まれる可能性が極めて高くなるということです。
飼い主がしっかり計画を立てて正しい知識をもって子犬を望んでおられるなら良いのですが、残念ながら浅はかな意識での多頭飼いによって子犬が増え続けて多頭飼育崩壊に至るケースも多くあります。
2.精神的なショックや寂しさ
多頭飼育崩壊に至る飼い主には、家族や仕事などの喪失の直後から過剰な多頭飼育を始める方も多いそうです。本人に「犬を傷付けよう」「ブリーディングでお金儲けをしよう」などという思いは全くなく、むしろ直接会ってみると「犬を守ろう」という気持ちすら感じる場合もあるそうです。
このように何らかの精神的な部分に原因があり、犬をたくさん家に迎えることで寂しさを紛らわそうとしてしまうこともあります。しかしたとえ飼い主さんご自身に悪気がなくとも、適切な飼育を行わないことも「虐待」となります。
3.二次崩壊
「二次崩壊」とは、もともと保護犬を一時預かりしたり里親探しを行うボランティアとして活動していた人が、
- 面倒見れる頭数以上を引き受けてしまった
- 経済的に破綻し活動を続けられなくなった
- ご自身が病気を患いお世話が困難になった
など何らかの理由で、保護した犬たちの世話が困難になり飼育放棄してしまうケースの事を指します。保護犬のボランティアには大きな責任が伴いますので、本来は何があろうとも犬をないがしろにしてはいけない活動です。
やっと幸せを手にするはずだった保護犬たちが、半端な覚悟と無責任によって再び不幸な思いをしてしまうのです。
多頭飼育崩壊をしないために
避妊去勢手術を行う
不妊手術を行うことにはメリットだけでなく、もちろん手術のリスクもあります。そして飼い主さんのお考えによっては「自然な身体に手を加えるのはかわいそう」と抵抗感を抱いてしまう方もいらっしゃいます。しかし不妊手術を「行わないデメリット」が多く存在しているということも理解しておかなくてはいけません。
愛犬に依存しない
他の命を大切にするには、まずは自身がしっかり自立している必要があります。もちろん犬は飼い主の心を癒してくれる存在ではありますが、それと同時に飼い主が犬の心の支えにもならないといけません。
多頭飼育で寂しさを紛らわす行為は「もらってばかりで与えない」という自己中心的なものです。寂しさを埋めるために過剰な頭数を迎えてしまうという状態を自覚し、根本的な精神面の原因と向き合う必要があります。
気軽に迎え入れない
犬を迎えることは簡単ですが、1匹を飼育することはとても大変なことです。「もう1匹迎えたいな」そう思った時にはぜひ、冷静な目で現状を振り返ってみてください。
1匹1匹にちゃんとお世話と愛情が行き届いているか、満足に飼育できるだけの費用が用意できるのか、もしも自分に何かあった時の対策はしているか…このようなことをしっかり考え、決して気軽に犬を迎え入れてはいけません。
たとえ1匹だけの飼育であっても、飼い主のお世話と愛情があれば愛犬は幸せです。そして飼い主さんもまた、1匹の犬に愛されているだけでも充分な幸せを感じられるはずです。
他人のサポートが必要な場合も
犬を過剰に迎えて飼育できなくなるのは結果であり
- 犬の飼育の正しい知識を知らない
- 犬のことを考える余裕がない
- 不衛生な環境が気にならない
- 飼育費用の問題
- 精神的な問題を抱えている
など、多頭飼育崩壊に至った原因を根本的に解決する必要があります。
多頭飼育崩壊をしてしまう人には、不衛生な環境や抱えている精神的な問題などを「健全な状態ではない」ということが自覚できていない方も多くいます。
ご家族やご友人、ご近所の方など他者がサポートしなくては解決できないことも多いです。状態によっては犬の専門家のサポートや、精神的な問題を解決するためのカウンセリングやコーチング等が必要になることもあるでしょう。
まとめ
多頭飼育崩壊を起こしてしまう人には一見すると普通の方も多く「どうしてあなたが?」と思ってしまうような「犬が好きな人」が多頭飼育崩壊を起こすこともあります。
犬をないがしろにする気持ちが発端ではないことも多いことから「多頭飼育崩壊は誰にでも起こりうる問題」として、飼い主さんひとりひとりが「絶対に起こさないぞ」と意識を強く持つことが大切です。