1.反応する
愛犬の目的は「自分に関心を持ってもらうこと」
犬は群れという社会の中で生きる本能がありますので、他者との関係性に敏感な一面があります。飼い主さんという最愛の人の関心が自分以外に向けられること、そしてそれによって自分への関心が薄らいでしまうことへの不安によって、犬は飼い主さんの関心が強く向いている対象に嫉妬のような行動を起こすことがあります。
これは「私を見て!」と再び自分に関心を持ってもらいたいという気持ちによるものだと考えられます。愛犬の嫉妬の行動は新入りのわんこや産まれたばかりの赤ちゃんがやってきた時、飼い主さんが自分に注目してくれない時などに見られやすいです。
アピールが過激になる恐れがある
愛犬の必死なアピールに反応してしまうと、愛犬は「この方法なら飼い主さんの関心を引くことができる」と勘違いしやすくなります。犬にとって飼い主さんが反応することが「間違った成功体験」となりやすいためです。
- 愛犬の過剰なアピールにリアクションしない
- 愛犬が落ち着いたらかまってあげる
- 愛犬が落ち着いた後でしっかり褒めてあげる
この3つのポイントを意識して対応してみましょう。
2.大声で叱る
「注目された」と勘違いする恐れ
愛犬が自分をかまってほしくて吠え続けてしまったり、嫉妬の対象となっている人や他の犬などに威嚇したり、エスカレートすると攻撃をしてしまう恐れもあります。このような愛犬の問題行動はしっかり叱るべきと思ってしまいますが、この場合は大きな声で叱るのは逆効果となる恐れがあります。
嫉妬をしている愛犬は飼い主さんの気を引こうと必死になっていますので、やや興奮して冷静な状態ではないことが多いです。愛犬が取り乱している時に大きな声を出すともっと興奮させてしまう恐れがあり、冷静ではない愛犬には叱る意味が伝わりづらい状態になっているという恐れもあります。
さらには叱っているにもかかわらず「かまってもらえた」という勘違いを起こすと、問題行動によってかまってもらおうとする癖がついてしまうことも危険です。
問題行動には冷静な態度で距離を取る
赤ちゃんや他の犬に荒っぽい行動をしてしまうと焦ってしまいますが、できるだけ冷静に愛犬の行動を抑制することが大切です。基本的には「愛犬の問題行動には無視のしつけ」が有効ですが、もし叱る言葉を言うのであれば大声ではなく低く静かな声色で毅然と伝えましょう。
愛犬と距離を取り、愛犬が問題行動を止めて冷静になるまでかまわないようにします。愛犬が落ち着きを取り戻した後でかまってあげるようにすることで、愛犬に「静かにしていた方が良いことがある」「飼い主さんはちゃんと自分を見てくれる」ということが伝わりやすくなります。
3.愛犬の事をないがしろにする
嫉妬するのは「不安だから」
赤ちゃんが産まれたり、新入りの犬を迎えたりした後で愛犬に落ち着きがなくなってしまうことが多くあります。飼い主さんにとっては赤ちゃんは第一に守るべき存在ですし、新しいわんちゃんがやってきたら一日でも早く仲良くなりたいと思ってしまいます。
しかし愛犬には飼い主さんが何よりも大事で、突然自分への関心が薄れたらとっても不安になります。愛犬が取り乱して問題行動を起こすのは良くありませんが、その行動をしてしまうのは「不安にさせてしまったから」かもしれないことを理解してあげる必要があります。
先住犬を優先してあげよう
2匹目以降のわんちゃんを迎える時には、まず先住犬を優先させてあげるようにしましょう。ごはんを与える順番や遊んであげる順番に意識し、先住犬が肩身の狭い思いをしないように心がけてあげることが大切です。その様子を見て新入りのわんちゃんは先輩犬のことを把握しやすくなります。
人間の赤ちゃんの場合はなかなか難しいところですが、できるだけ愛犬をかまう時間を意識的に設けるようにしてあげてください。
赤ちゃんを迎え入れた後で愛犬が急にごはんを食べなくなってしまったり、飼い主さんの後追いをするようになったというケースがありますが、これが実は嫉妬や不安による行動だったという場合も多いです。
吠えたり威嚇するなどのような直接的ではない嫉妬や不安の行動にも、飼い主さんが気付き対処してあげることが重要です。
まとめ
カリフォルニア大学サンディエゴ校の心理学者クリスティン・ハリス氏による実験によると、犬は人や犬だけでなく「動く犬のぬいぐるみ」や「ハロウィーンのカボチャのバケツ」など「物」にまで嫉妬のような行動を取ることが2014年の論文で発表されました。
犬は嫉妬によって取り乱し、ライバルとなっている対象と飼い主さんの関係を断ち切ろうとする行動に出たそうです。愛犬が嫉妬の態度を見せた時に大切なことは「絶対にあなたをないがしろにしたりしない」という約束によって、愛犬に信頼と安心を与えることではないでしょうか。