犬が『拾い食い』をしてしまう理由3つ!
本能的要因
犬は、もともと狩りをして食料を得ていました。その本能によって地面に「食べれるもの」が落ちていたり、地面になにか動いているものを目で捉えた時、衝動的に食いついてしまうのです。
生理的要因
食事の量が足りていなかったり、栄養バランスが乱れていたり、もともと食べることに強い執着のある犬は空腹感のあまり、地面に落ちていて「食べられる」と思ったものを食べようとします。
習慣的要因
本来、犬にとって『拾い食い』はごく自然な行動です。人間でも、なにかストレスを感じた時やリフレッシュをしたいときにタバコを吸ったり、ガムを噛んだりする習慣があるのと同じで食べる気はなくても、目の前にあるものを口に入れてしまう…ということがあるようです。
『拾い食い』をしつけでやめさせることはできる?
『拾い食い』をしつけでやめさせることはできる!
飼い主さんと愛犬との間にしっかりとした信頼関係があれば、『拾い食い』をやめさせることが出来ます。愛犬の能力とご自分の愛犬への愛情、愛犬との絆を信じて『拾い食い』をさせないようにする「しつけ」に取り組んでいきましょう。
『拾い食い』をやめさせるためのしつけ:その1
犬は、非常に優れた記憶力を持っています。特に「楽しいこと」「嬉しいこと」を感じた時、その状況にまつわる事柄について、きちんと関連付けて記憶することできます。
例えば、飼い主さんの指示にきちんと従った時、飼い主さんから笑顔でたくさん褒めてもらえ、その上、おいしいおやつも貰った…という経験をしたら、「飼い主さんの指示に従うのは良いこと」「良いことをしたら嬉しいことが起こる」と理解します。
ですから、散歩の途中などで『拾い食い』をする癖があるのなら、家の中でわざとおやつを床にこぼし、それを愛犬が食べようとしたときに「マテ!」と制止させます。
愛犬がその指示にしっかりと応えることが出来たら、思い切り褒めます。「地面に落ちているものを食べずにマテが出来たら褒めてもらえる」と愛犬が覚えるまで繰り返し、このトレーニングを行います。
『拾い食い』をやめさせるためのしつけ:その2
逆に拾ったものを食べた時に、大きな声で「ダメ!」「NO!」などの強めの制止の言葉で叱ります。叱る時は、低い声で本当に怒っている、と犬が理解するように表情にも怒りの感情が出るくらいの態度を示します。もちろん、口の中に入っているものは口をこじ開けて取り上げてしまいます。
「その1」とは逆に、犬は「嫌なこと」も記憶するので飼い主さんにひどく叱られたことを記憶します。飼い飼い主さんと愛犬との間に深い信頼関係があれば、どんなに厳しく叱っても愛犬は飼い主さんのことを嫌いになったり、反抗的になったりはしません。
とはいえ、家族になって日が浅く、愛犬との信頼関係に自信がない飼い主さんもいらっしゃるかも知れません。その場合は、愛犬に「飼い主さんに褒められたらうれしい」という感情が芽生えるまで、まず「その1」の「褒める方法」を繰り返し実践しましょう。
大切なのは、「拾い食いをしなかったらしっかりと褒めること」と「拾い食いをしたときは、厳しく対処すること」のメリハリです。
『拾い食い』をやめさせるためのしつけ:その3
「しつけ」と言えるかどうかはわかりませんが、「口輪」をはめる、というのも
一つの方法です。ただし、愛犬が口輪を嫌がる場合があるので、まず「口輪を装着する」という段階を踏む必要があります。
犬が『拾い食い』をしやすい場所と状況
飼い主さんを無視し、引っ張って歩いている
飼い主さんの制御が効かず、飼い主さんが犬に引っ張りまわされて散歩をしているような状態では、犬に主導権を握られており、犬のやりたい放題です。こんな状況では拾い食いをして飼い主さんが異変に気づいていも、犬の口の中のモノを取り除くことは難しいはずです。
ずっと地面のニオイを嗅いでいる
地面の上に「なにがあるのだろう?」と強く執着している証拠です。なにかめぼしいものを見つけた瞬間、あっという間に口に入れてしまう恐れがあるので、注意が必要です。
飼い主さんの注意が愛犬から完全に逸れている
愛犬の排泄物の処理をしていたり、立ち話をしていたり、スマートフォンを操作していたりして飼い主さんの注意が愛犬から完全に逸れていると、愛犬がなにかを口に含んでしまっても対処が遅れてしまいます。
実際に起こった『拾い食い』が招いた悲劇
公園の植え込みに散布されていた農薬を食べて…
私の知り合いから聞いた話です。かなりシニア期のハスキー犬と夜の公園に散歩に出かけたそうです。ところが、その公園の植え込みには雑草を枯らすための農薬が散布されていて、その農薬が付着した草をハスキー犬が食べてしまいました。その後、呼吸困難を起こして死んでしまった…という経験談を聞きました。
現在では、毒の弱いものや短時間で体外に排出される農薬もありますが、20年近く前の話なので強い成分の農薬だった可能性があります。いずれにせよ、そのハスキー犬が亡くなって20年以上経つにも関わらず、いまだにその人は「拾い食いさえさせなければ…」と今でも深く悔やんでおられます。
スマホを見ている間に食べてしまったモノが胃の中に…
私の友人から聞いた話です。友人の高校生になる子どもさんは、マルチーズとプードルのミックス犬の小さな愛犬と散歩に行く際、音楽を聴いたり、散歩の途中の景色の写真を撮るために必ず片手にスマートフォンを持っていく習慣がありました。
ある時、その子どもさんがスマートフォンで撮影に夢中になっている間に愛犬が落ちていたヤマモモを食べていることに気が付きました。慌てて手を突っ込んだけれどももう飲み込んでしまい、口の中にはなにも残っていなかったそうです。
ところが、その夜からひどい下痢が始まり、ぐったりと元気もなくなりました。慌てて病院に行き、獣医さんの判断でレントゲンを撮りました。すると、胃の中に小さな玉のようなもの残っていることがわかり、開腹手術をして取り出すことになりました。胃の中からはヤマモモの種が出てきたそうです。
「私が目を離したせいで、愛犬に痛い想いをさせたから、手術代は全部私が出す」と、子供さんは深く反省し、バイト代で医療費を捻出しようとしたようですが、「家族だからみんなで協力して出し合おう」という父親の提案で家族全員で散歩の当番を決め、手術代もみんなで分担して捻出したのだとか。
まとめ
愛犬の『拾い食い』は、飼い主さんの努力次第で改善、解消することも出来ます。それなのに、なんの対処もせず悪癖を放置したために愛犬の命が失われるようなことがあったら、間違いなく飼い主さんの責任です。愛犬を失ってからどんなに後悔しても遅いのです。
もしも、愛犬に『拾い食い』の悪癖があるのなら、今日からすぐに出来るだけの対処をし、『拾い食い』をしないようしっかりとしつけましょう。
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20代 男性 匿名