地面に体をこすりつける理由
1.においを付けるため
犬はとても嗅覚が優れている動物です。
土やアスファルトについているにおいだけではなく、空気中のにおい粒子をキャッチして情報収集するほどに「におい」に対して敏感なため、日ごろから散歩の際中はくんくんと鼻を動かしてあちこちのにおいを嗅いでいます。
また、自分のにおいを使って縄張りや自分という存在を主張したり、おもちゃなどににおいをつけることで所有権を主張したりしているといわれています。このように犬にとって重要な「におい」ですが、地面に体をこすりつけるという習性にも「におい」が密接にかかわっています。
まず地面や土、草むらに体をこすりつける重要な目的の一つが、「自分のにおいを付ける」ということです。
縄張りなどの主張には主に尿でマーキングする場合が多いのですが、それだけではなく肩や首、腰、頭といった部分をこすりつけることで自分のにおいを付け、自己主張をする場合もあるんです。
2.においを消すため
もう一つ別の目的があります。それは「自分のにおいを消したい(隠したい)」ということです。犬は野生時代の本能がまだ残っているため、外敵に自分のにおいを嗅がれて気が付かれないように、土やそのほかのちょっと強いにおいのするものを体につけて自分の存在を隠そうとする習性があります。
特に飼い主さんが入念にシャンプーをした後などは、自分自身が違和感を覚えるにおいを発しているためこれを消すために堆肥や泥などのにおいをわざとつけようとすることがあります。
せっかくシャンプーをしたのに、と飼い主さんにとってみればがっかりの状況ですが、犬はシャンプーの人工的なにおいを嫌っている状態と考えたほうがよさそうですね。
3.満足していることを表現するため
犬が体を地面にごろごろと転がりながらこすりつける心理の一番のパターンは「においつけ」ですが、それ以外の別の理由の時もあります。
それが「満足」です。犬たちは人間の言葉を話すことができません。また犬同士であっても、人間同士が会話するように共通の言語を用いて事細かに説明をしあうなんてこともありません。
しかし彼らは口から発する明瞭な言語をもたない代わりに、ボディランゲージが発達しました。お互いにそれを読み取る能力も発達し、犬たちはお互いにボディランゲージを駆使して直接の争いごとを減らしたり、愛情表現を行ったりしているのです。
地面に体をこすりつけるという行動は、これもボディランゲージの一つであるといわれています。たくさん食べて満足であるときや、遊びをたくさんして楽しかった時など、ゴロゴロ転がりながらその「うれしい!」を表現するのです。
4.体調に不具合があるため
こちらは要注意です。体のにおいやボディランゲージではなく、皮膚炎を起こしていたり寄生虫のトラブルだったりと、体を不自然に掻いたりかゆがったりするときはよく観察し、適切な治療を受けられるようにしましょう。
特に背中などにはノミやダニ、お尻をかゆがる時などは条虫などが考えられるのでかかりつけ医へ相談してください。
まとめ
犬たちが体をこすりつけているときの心理、いかがでしょうか。お散歩の途中でこれをされると困る、というときは犬の様子をよく観察して注意がにおいに行きかけた瞬間にすぐさま飼い主側へ注意を向けられるように合図を出すことが良いようです。