1.肉球が覆われているから
犬にとって「素足」は自然な状態ですが、愛犬の足を守るために犬用の靴を履かせた方が良い場合もありますよね。しかし肉球が地面に直接着いていない感覚はどうしても不自然なものです。そのため「変な感じ!」と困惑して歩き方がぎこちなくなってしまうことが考えられます。
肉球の役割りとは?
犬の肉球は他の部分の皮膚とは違い、プニプニと弾力性のある特殊な部位です。
犬の肉球は
- クッション性で骨関節への負担を軽減する
- 地面との摩擦でスパイクやブレーキになる
- 地面の冷えから足先を守る
などの役割りがあります。
愛犬に靴を履かせると、このうちの「スパイクやブレーキ」が効かない状態になっていることで違和感を覚えやすいと考えられます。
肉球の「感触」も犬にとっては大切
犬は嗅覚や聴覚だけでなく、肉球の感覚にも大きく頼って生きています。たとえばトイレをトイレだと覚えるのも、トイレシーツを踏む感覚を覚えることが大きな要素となります。そのためカーペットや玄関マットなどに「間違えて」粗相してしまうことも多くあります。
私の愛犬は盲目なのですが、5mmにも満たない薄いシートの段差にも警戒して上がろうとしないこともありました。盲目という特殊なケースではありますが、犬は足が地面を踏む感覚にも大きく頼っていることを実感した経験でした。
2.足の指が開きにくいから
犬は歩いたり走ったりする時に、指を開いて地面をつかむようにしています。ギュッと地面をつかむことで安定した歩行や走行ができるのです。
しかし靴を履くことによって指が開きにくくなるため、違和感を覚えて変な歩き方になってしまうことも考えられます。指が開きにくいとともに地面をつかんでいる感覚も薄れるということも理由の1つと考えられます。
犬用の靴底には肉球の代わりとなるような素材が使用されているものも多いため、靴を履くことに慣れれば滑ることなく歩くことができるでしょう。
3.蒸れて不快だから
犬はほとんど汗をかかず、体温調節は主に「パンティング」と呼ばれる荒い口呼吸で行います。しかし犬も全く汗をかかないわけではなく、鼻先や肉球からは汗をかきます。人間のように流れるような汗はかかないものの、犬にとっては貴重な体温調節を担う部分です。
靴を履くことによって貴重な汗腺のある肉球が覆われると、かいた汗で蒸れてしまって不快感を感じることもあります。「なんか嫌な感じ」と思ってしまうことで、靴に対してネガティブなイメージを抱いてしまうことも歩き方がぎこちなくなる理由の1つと考えられます。
4.慣れていないから
愛犬に靴を履かせる際には、しっかりと「慣れてもらうこと」が大切です。この時に靴を履いたことで嫌な印象がついてしまうと、今後靴を履かせた時にも抵抗感が出てしまう恐れがあります。靴を履いた後で嫌なことが起こった経験が強いと靴を嫌がってしまい、歩きたくなくて固まってしまったり変な歩行を続けて脱ごうとしてしまったりすることがありますので注意しましょう。
靴に良いイメージを付けながら慣れてもらおう
まずは室内で靴を履かせてみたあと
- おやつを与える
- すぐにお散歩へ行く
- 褒めてあげる
などで、靴に対して良いイメージを抱いてもらうことがポイントです。
その靴が愛犬に合っているものであれば、靴を履いて歩くことに慣れることができるでしょう。最初は変な歩き方になってしまっても、そのうち普通に歩くことができると考えられます。
靴に慣れていても、久しぶりに履くとまた歩き方がぎこちなくなってしまっていることもあります。その際にはまた室内で靴に慣らし、おやつなどの「良いこと」と結び付けて感覚を取り戻してもらいましょう。
まとめ
基本的に犬に靴を履かせる必要はなく、素足の状態が自然です。しかしお住まいの地域によっては暑さや寒さが厳しくなり、毎日のお散歩時に愛犬の足にダメージが大きすぎる場合には靴を履かせる方が安心です。
夏の熱せられたコンクリートや積もった雪道のほか、山や川などのアウトドアシーンでも愛犬に靴を履かせることで繊細な肉球を守ることができます。
犬用の靴は様々な種類がありますので、サイズ感とともに愛犬が着用するシーンを想定して用途に合った物を選びましょう。長時間の着用は足が蒸れてトラブルの原因になりやすいので、限られた時間で着用させるようにすることも大切です。