犬が『我慢』をしている時に見せる仕草3選

犬が『我慢』をしている時に見せる仕草3選

犬は言葉は話せませんが、さまざまな仕草で気持ちを表現します。犬が何かを我慢している時、ストレスを感じている時の仕草を知り、適切な対応やストレスケアをしてあげましょう。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

1.嫌なことを我慢している時の仕草

あくびをするトイプードル

体を掻く

犬はストレスを感じていて気持ちを落ち着かせたいと思っている時、気を紛らわせたい時、葛藤している時などに『カーミングシグナル』といわれるボディランゲージを見せます。体を必要以上に掻いている、かゆい場所はなさそうなのに掻く、いつも決まった状況で体を掻くなどの様子が見られた時は、かゆみからではなくストレスを感じているのかもしれないということを覚えておきましょう。

あくびをする

『カーミングシグナル』には体をかく以外にもたくさんあり、あくびがカーミングシグナルとして見られることもあります。寝起きや遊び疲れた後などのあくびは生理的な行動ですが、何かをさせている時やさせた直後にあくびをしたり、他のカーミングシグナルや何かの意思表示(鼻をなめる、体をぶるぶるさせる、視線をずらすなど)も同時に見られるような場合はストレスによるものである可能性があります。

手足を舐める、尻尾を追いかけて噛む

留守番などで不安や退屈を抱えている時や強いストレス、葛藤を感じている時などに、自分の手足の先を舐め続けたり、尻尾を追いかけて噛んだりすることがあります。子犬や活発な犬が遊びとして自分の尻尾を追いかけて遊ぶ程度なら問題ないのですが、病的なまでにやり続けるようになると、脱毛や皮膚の炎症が見られ、さらには出血を起こすほどになることもあります。不安や退屈から手先をなめ続ける場合も同様に、皮膚に異常はないのに舐め過ぎることによって皮膚がただれてしまうことがあります。

【獣医師の補足】

何らかの原因によって犬が自分の手足の先を異常に舐め、皮膚に炎症が起きている状態を肢端舐性皮膚炎(したんしせいひふえん)と言います。上に紹介されているように、精神的ストレスが肢端舐性皮膚炎の原因の一つになることがあります。けがやダニの寄生、他の皮膚病など、ストレス以外にも様々なものが肢端舐性皮膚炎の原因になり得ますし、原因が何であれ舐めれば舐めるほど治りにくくなりますので、気になるほど手先をしょっちゅう舐めている場合には早めに病院で診てもらいましょう。
異常なほどに自分のしっぽを追いかけ回したり噛んでしまう場合には、強迫性障害(常同行動)の可能性があります。強迫性障害の場合には、皮膚の治療だけでは解決せず、行動学に詳しい獣医師による診察と治療を受けることが必要となります。

獣医師:木下明紀子

2.トイレを我慢している時の仕草

振り向く子犬

ウロウロする

例えば引っ越しや模様替えをして犬のトイレの位置が変わった時、どこがトイレなのか、またはそこが安心してトイレができる場所なのかが分からずにおしっこやうんちを我慢してしまう時があるでしょう。そんな時犬は、安心して排泄できるトイレを求めてウロウロすることがあります。

自宅での犬のトイレの場所は変えないのが一番良いですが、引っ越しをして犬に新しいトイレの場所を覚えてもらう必要がある時には、タイミングをよく見計らって教えてあげましょう。

地面のにおいを嗅いだりトイレに行くのにしない

犬は排泄時に場所を決める際、その周辺の地面のにおいを嗅ぐことが多くあります。その場でクルクルと回ったり、軽くステップを踏むような仕草もよく見られます。

外でそのような仕草が見られるのに何もしない時や、自宅でトイレに行くけど何もしない場合には、トイレを我慢している可能性があります。トイレをするもっと良い場所を探しているのかもしれませんし、自分のトイレが汚れていてトイレをしたくないのかもしれません。

3.痛みを我慢している時の仕草

寝ている柴犬

丸くなって動かない

犬は体に痛みや違和感があっても、自分から「痛いよー!」「助けて―!」と訴えかけてこずに、安全な場所で体力を使わないようにしてじっと痛みに耐えていることも多くあります。

そのため、いつもより長い時間寝ている時や、いつもなら活動している状況でお腹を守るようにして丸くなって身動きしない時には、体のどこかに痛みや違和感、具合の悪いところがある可能性が考えられます。痛みの強さや原因によっては、小刻みに震えていることなどもあるのでいつもと違う様子が見られたらしっかりと観察するようにしましょう。

なお、膵炎という病気では強い腹痛が起こるそうですが、その場合にはもちろん丸まってじっとしていることもありますが、伏せていながらも腰をあげる「祈りのポーズ」と呼ばれる姿勢をとることもよくあるそうです。

クンクン鼻を鳴らす

痛みをこらえきれない時に、「クーン」「キュンキュン」「ヒーン」などという声を漏らすことがあります。特に骨折など突発的な怪我をした時や痛みに慣れていない場合などに、そのような様子を見せる犬が多いようです。骨の異常だけではなく、関節の脱臼によって痛みがある可能性なども。

かまって欲しくて鼻を鳴らすこともありますが、どこかが痛くて鳴いている場合には、鳴き方や犬の動きによって飼い主さんなら「いつもと違うな」と感じることでしょう。思いあたることがなかったり見た目に異常がなくても、長い時間おさまらない時は動物病院で診てもらうと良いでしょう。

まとめ

伏せているパグ

犬は言葉を話すことができませんが、表情や仕草・カーミングシグナルを含むボディランゲージなどの方法で感情表現や意思表示をします。我慢している時の仕草は、特に強くアピールするような表現ではなくとてもわかりにくいこともあるので、気がつかないことも多いかもしれません。

しかし、その犬のちょっとした我慢やストレス、病気のサインにすぐに気付けると、犬も飼い主さんもより良い生活を送ることができるでしょう。犬の我慢している時の仕草やストレスサイン、体の異常に気がついてあげられるよう、日頃から愛犬の様子をしっかりと観察しておきたいですね。

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