犬のNG秋食材①ぶどう
果物は天然の甘さがあり、犬が大喜びする食材のひとつです。飼い主さんが果物を食べている時などに、一口おすそ分けすることも多いのではないでしょうか?
しかし、秋のおいしい果物であるぶどうは犬にとって非常に危険な食材。犬がぶどうを食べることで腎不全など急性の腎臓機能不全を起こすことがわかっているのです。ぶどうにはさまざまな種類がありますが、ぶどうの色に関わらずその症状は引き起こされることが報告されており、レーズンのように加工されたものであっても同じだとされています。
ただし、ぶどうを食べることでなぜ犬が腎不全を起こすのか、というメカニズムはまだ明らかにされていません。ぶどうを大量に食べることでシュウ酸カルシウムが形成されるということはわかっていますが、腎臓の組織が破壊されて機能不全を起こす原因が明らかになっていないのです。
ぶどうによる中毒が起こる目安量は、体重1kg当たり32gと言われています。最近、家庭でも多く食べられるようになっている皮ごと食べられる種なしぶどうは、1粒5~10g前後なので体重3kgの小型犬の場合、9~18粒程度食べると中毒を起こすことになります。
ただし、この目安量はあくまでこれまで起きたケースから考えられるもので、少量でも中毒症状を引き起こす可能性は十分にあります。中毒症状を起こすかどうかは、内臓が持つ解毒能力など個体差が大きい上、実際に中毒が起こるまでわからないものなので万が一のために一切食べさせないようにした方がいいでしょう。
犬のNG秋食材②銀杏(ぎんなん)
秋は木の実なども多く実る季節で、イチョウの種子であるぎんなんもそのひとつです。炒ると香ばしく、ゆでるとホクホクとした食感でとてもおいしいぎんなんですが、この食材も犬にとっては危険なので注意しましょう。
ぎんなんにはビタミンB6と似た性質を持つメチルピリドキシンという物質が含まれており、摂取した動物の体内でビタミンB6と拮抗してしまうことがわかっています。その結果、神経伝達物質を抑制する働きをするアミノ酪酸の生成を阻害して、神経の伝達が過剰になってしまう危険性があるのです。
中毒症状として、不整脈や呼吸困難、興奮状態による痙攣・意識混濁などが起こります。また、嘔吐や下痢、食欲不振も症状として見られる場合があります。食後1時間~12時間程度で発症し、最悪の場合死に至ることも。
また、ぎんなんの外種皮にはギンコライドという成分が含まれており、接触すると皮膚炎を引き起こすことがあります。イチョウ並木を散歩している時などに犬がぎんなんを踏んでしまわないように注意してあげてくださいね。
犬への与え方に注意したい秋食材③鮭
鮭は犬の健康に役立つ風味豊かな食材。良質なたんぱく質や脂肪酸、抗酸化物質などが豊富に含まれており、肉類とは異なる貴重な栄養源として非常に優れています。そのため、犬のおやつやドッグフードなどにも広く利用されていますが、家庭で与える際には少し注意が必要です。
まず、犬に鮭を与える場合塩分が多い塩鮭は避けるようにしてください。また、切り身を生のまま与えるのも絶対NGです。生の鮭にはアニサキスと呼ばれる寄生虫が寄生していることがあり、胃に寄生し激しい腹痛を引き起こします。
そのため、犬に鮭を与える場合は塩などで味付けされていない生鮭を焼く・茹でる・蒸すなど加熱するようにしましょう。犬に与える場合はあまり脂が乗っていない鮭を選ぶのもポイント!カロリーが過剰になりすぎないよう、鮭の質に合わせて量や加熱方法を考えてあげるといいでしょう。
また、鮭には細かい骨が含まれていることも多いので、加熱後に身をほぐしてしっかり小骨まで取り除いてから与えるようにしてください。
まとめ
秋は栄養豊富でおいしい食材がたくさんあり、食事の時間が楽しくなるものです。それは私たち人間だけでなく、犬にとっても同じ。いつものご飯に秋ならではの食材をプラスして、食事の時間をより楽しく豊かにしてあげてくださいね。
ただし、ぶどうやぎんなんなどの秋食材は犬にとって非常に危険です。さらに、犬にとっても良質な栄養源となる鮭も与え方によっては、健康を害する可能性も。犬に与える食材については、その栄養素や危険性についてしっかりと確認して吟味するようにしましょう。