1.体温調節のため
犬は体温調節が苦手
私たち人間は寝ている間にコップ1杯程度の寝汗をかいていると言われていますが、犬は人間のように汗をかいて体温を調節することがほとんどありません。また犬は「寒いからもう1枚掛布団を出そう」と考えて実行することもなく、その場にある物で寒さをしのごうとします。
身体が密着している場所に熱がこもる
同じ場所に横になっていると、身体が密着している箇所に体温がこもります。汗をほとんどかかない犬はその場に暑さを感じると、違う場所に移動して横たわります。このときには特に冷たさを感じやすいフローリング部分に寝直す子も多いですね。
寝床を変えることでその時の体温を調節している
一方で寒さを感じた場合には、飼い主さんの布団の中やもっと暖かい寝床へと移動して寒さを回避します。そうしてまた暑さを感じるともう少し涼しい場所に行って…というように、寝床を変えることでその時に応じた体温調節を行っているのです。
2.落ち着く場所を選びたい
静かでゆっくりできる場所を選ぶ
昼間や夜の早い時間の場合、飼い主さんやご家族が起きていてお部屋が賑やかになりやすいです。昼間の明るさや電気が付いていたりと、愛犬の寝床が明るいことも多くあります。このように明るさや賑やかさを感じやすい時に、愛犬がぐっすり眠るために「より快適に眠れる場所」へ移動することがあります。
犬は1日の半分以上眠っていることも
成犬の場合は1日に12時間前後で、子犬や老犬の場合はもっと長く眠ります。私たち人間は「昼間起きて夜眠る」「夜勤なので昼間眠る」というように睡眠を意識的にコントロールしますが、犬には「昼間は起きておかなければ」というような考えはありません。また犬は深い睡眠の時間が短いので、ウトウトと浅い睡眠を長時間とる必要があります。
そのようなことから、飼い主さんご家族と愛犬では睡眠のリズムが異なることがほとんどです。飼い主さんが活動している時間帯にも愛犬は眠ろうとするので、より静かでゆっくり眠れる場所を選んでいることも多くあります。
3.飼い主さんと一緒に寝たい
犬は身体が密着していると安心する
さっきまで違う場所で眠っていたのに、飼い主さんがベッドに入ると愛犬も飼い主さんのもとへやってきて眠り直すこともありますよね。この場合は「飼い主さんと一緒に寝たい」という気持ちで寝床を変えていると考えられます。
犬は群れで生活する習性が残る動物です。野生時代は群れの仲間で身体を密着させて眠り、無防備になる睡眠中にお互いの身を守り合っていました。そのため犬はひとりぼっちで眠るよりも、誰かと身を寄せ合って眠る方が安心できます。
お留守番等でひとりになる時には、誰かと身を寄せ合っていると感じることができるブランケットやクッションなどに身体が触れていることで安心しやすくなります。この野生の名残りによって、飼い主さんと一緒の場所で眠りたがる子も多くいます。特に寒い季節は、飼い主さんと添い寝した方が暖かいという理由もありますね。
「犬と一緒に寝てはいけない」って本当?
しつけの本には「愛犬と一緒に眠ると主従関係が壊れるので良くない」と書かれていることもありますが、一緒に眠るから愛犬がワガママになるということはないでしょう。現在の犬はオオカミのように野生であった頃とは違って飼い主への服従心はそれほど強くなく、「リーダーとその他」といった絶対的な主従関係で結ばれるわけではありません。
そのため「リーダーとは添い寝しないので、愛犬が一緒に眠るということは見下されている」とは断定できません。愛犬は信頼している飼い主さんだからこそ、無防備になる睡眠時には一緒にいたいということもあるでしょう。
ただ日々の留守番時間や万が一の災害時のために、愛犬が「ひとりでも眠れる」ようにしておく必要があります。飼い主さんがいないと眠れなくなってしまうと、飼い主さんと離れている必要がある場面で大きなストレスとなるためです。飼い主さんと一緒に眠るのがいけないわけではなく、愛犬にひとりで眠ることにも慣れさせておく必要があるということです。
まとめ
今回は「なぜ愛犬が眠る場所を変えるのか」について解説いたしました。
- 体温調節のため
- 落ち着く場所を選びたいから
- 飼い主さんと一緒に寝たいから
愛犬が頻繁に寝床を変えている理由にはこの3つが考えられます。
愛犬を見ていると、見るたび見るたび違う場所で眠っている日もあります。そういえば布団に潜ったり、出てきてフローリングに横たわったりを繰り返している時も良くあります。
犬は寝る場所を変えることで、体温調節を含めその時その時で快適に眠れるようにしているのですね。そして「飼い主さんと一緒に寝たい!」と思って寝る場所を移動してくることもあるというところが嬉しいですね。