殺虫剤は犬にとって有害なのか?
殺虫剤は家庭で使用されることも多いため、犬にとっても身近なところにあると思います。そんな殺虫剤は、犬にとってどの程度危険で有害なのでしょうか?
家庭で使用される蚊取り用殺虫剤や、スプレー式の殺虫剤の多くは、ピレスロイド系の殺虫成分が使われています。ピレスロイド系の殺虫成分は、シロバナムシヨケギク(除虫菊)によく似た作用や構造を持つ化合物で、害虫に対して殺虫効果や忌避効果を示します。
しかし、ピレスロイド系殺虫剤は人や犬を含む哺乳類や鳥類にほぼ無害だとされているので、家庭で使用する殺虫剤として安全性が比較的高いものとして多くの殺虫剤に使用されています。
ピレスロイド系殺虫成分は選択毒性を持っており、虫に対してのみ極めて高い毒性を発揮。哺乳類や鳥類がこれらを吸い込んだ場合は、体内で分解することができるので毒性が発揮される前に排出されるとされています。
そのため、犬が殺虫剤を食べてしまっても体に害は出にくいとされていますが、食べた量や体調、体質によっては中毒症状が出てしまうこともあります。また、ピレスロイド系以外の有機リン系殺虫成分などが使用されている殺虫剤の場合は、食べると中毒症状が出る可能性が高いので注意が必要です。
犬が殺虫剤を食べてしまったときの症状
犬が殺虫剤を食べてしまい中毒を発症した場合、次のような症状が出ることがあります。
過剰なよだれ、泡を吹く
殺虫剤の中毒によって犬の神経に異常があらわれたり、よだれがダラダラと止まらなくなってしまうことがあります。また、口から白い泡を吹く症状も見られます。
嘔吐、下痢
殺虫剤によって消化器系に大きな負担がかかった場合などに、嘔吐や下痢の症状があらわれることも。嘔吐は中毒症状の初期にあらわれることが多く、下痢は消化器官が修復されるまで長期間続くこともあります。
食欲不振、元気消失
中毒症状を起こすと、食欲や元気がなくなることがあります。症状が重くなるとぐったりと倒れてしまい、動けなくなったり一口も食べることができなくなってしまう場合もあります。明らかな症状はなくても「なんとなくぐったりしている」というときも中毒を起こしている可能性があります。
けいれん
多量の殺虫剤や犬への毒性が強い殺虫剤を口にしてしまったりすると、けいれん発作を起こしたり、不整脈を起こしてショック状態になったりすることがあります。
犬が殺虫剤を食べてしまったときの適切な対処法
犬が殺虫剤を食べてしまったときは、犬の体調や殺虫剤に使用されている成分を確認しましょう。明らかな中毒症状や気になる症状が出ていなくても動物病院に相談することをおすすめします。
もしも殺虫剤を食べてしまっても、無理やり吐かせようとすることはしないようにしましょう。吐かせることで食道や口内を傷つけてしまったり、飼い主さんが噛まれたりというトラブルにつながることがあるので決してしないようにしてください。
動物病院を受診または電話で相談するときは、犬の様子とともに食べてしまった殺虫剤の種類や成分、食べてしまった量を伝えるようにしましょう。そうすることで、より正確な状態を獣医師も把握することが出来るのでより的確な治療やアドバイスを受けることが出来ると思います。
まとめ
犬が殺虫剤を食べてしまうと慌ててしまうと思いますが、まずは犬の体調の変化や殺虫剤の成分・種類を確認することが大切です。家庭で使用されることの多い殺虫剤の中で最も多く使われる殺虫成分は、人や犬などの哺乳類にはほとんど害がないものです。慌てて吐かせようとしたり、無理やり水を飲ませたりせず、落ち着いて獣医師の指示を仰ぐようにしましょう。