犬が口に入れたものを無理やり取る危険性
犬がいたずらで飼い主さんの持ち物をくわえてしまったり、食事中に落ちたものを食べようとしてしまったりすることは少なくありません。しかし、犬に取られたくないと思うものを慌てて取り上げようとするとトラブルが起こる可能性が高いので、十分注意しなければなりません。
まず、犬が口に入れたものを無理やり取ることで起こる可能性があるのが、飼い主さんの手を噛んでしまうという事故です。すでに口に入れているものに対して、執着心を持っている場合には取られまいとしてより強くものを噛んだり、取り上げられたものを急いで取り返そうとしたりするでしょう。
そのため、故意でなくてもものを取り上げた飼い主さんの手を思い切り噛んでしまうことがあります。また、「取られたくない」「返して欲しい」という気持ちで飼い主さんの手を噛むことで、手からそのものを離させようとすることもあるでしょう。
また、犬が口に入れたものを無理やり取ることで、犬が飼い主さんに対して不信感など嫌な感情を持ってしまうこともあります。好きなものを持っている時に飼い主さんのそばに近寄らないようにしよう、飼い主さんが近寄ってきたら威嚇して遠ざけるようにしようなど、所有欲や独占欲が強くなりすぎてしまうことがあるのです。
犬が口に入れたものを安全に取る方法
犬が口に入れたものを無理やり取ることで、事故や関係性の悪化などのトラブルが考えられるので、出来るだけ避ける必要があります。しかし、犬に口にされては困るものはありますし、すぐに返して欲しいケースも少なくないと思います。
そうした時には口から無理やり取り上げるのではなく、出来るだけ安全に返してもらうように注意をして対処するようにしましょう。犬が口に入れたものを取り上げたい時には、「ちょうだい」「出して」などの指示で返してもらうことがベストです。
しかし、それが出来ない場合には犬が好きなおやつやおもちゃなどと交換する形で口の中のものを返してもらいましょう。また、口の中のものを無理やり引っ張る程、犬は本能的に引っ張り返そうとしてしまったり、引っ張りっこ遊びとして楽しんでますます返してくれなくなってしまったりすることがあります。
犬の口の中のものを取り上げたい時には、引っ張るのではなくものをつかんだ手をピタッと止めて動かさないようにするといいでしょう。
犬が口に入れたものを安全に取るための予防対策
犬が口に入れたものを事故やトラブルなく、安全に取り上げるために大切なのは、もののやり取りを出来るよう事前にトレーニングをしておくことです。
「ちょうだい」「出して」などの指示で、くわえているものを飼い主さんに渡すことが出来るように教えておきましょう。そのトレーニングで大切なのは、犬があまり好きではないものから練習を始めるということ。
そのものへの執着心が強すぎるとトレーニングが進みにくく、失敗が続いてしまうので「ちょうだい」ですぐに渡せるように執着心の低いものから練習することがポイントです。
そして、「ちょうだい」の合図で口の中のものを渡してくれた時は必ずおやつをあげたり、おもちゃで遊んだりしてごほうびをあげましょう。「ちょうだい」で渡してくれたものがおもちゃであれば、そのままもう一度犬に返して一緒に遊んであげるとより効果的です。
そうすることで、犬は「一度渡してもまた返してもらえる」「飼い主さんに渡せばもっといいものをもらえる」と学習するでしょう。
まとめ
犬が口でくわえているものを無理やり取り上げようとすると、取った手を噛まれて大きな怪我をしてしまうことがあります。また、無理やり取り上げられることで飼い主さんに対して不信感を持ったり、興味があるものを隠すようになってしまったり、ものをくわえている時に近づくと警戒心で威嚇したりするようになってしまうことがあります。
そのようなことで大きな事故や、犬と飼い主さんの関係性が悪化してしまうことがないようにするためには、事前に「ちょうだい」などでものの受け渡しトレーニングをしておくことが大切。
指示で渡してくれない時には、無理やり引っ張って取り上げるのではなく、他のおもちゃやおいしい食べものなどと交換するようにして安全にやり取りするようにしましょう。