犬の冷え性サインは手足の先・肉球から
愛犬の手を握ったときに手先や足先、肉球がひんやりするようであれば、”冷えの合図”かもしれません。私たち人間も、指先が冷たくなってしまう「末端冷え性」という症状がありますよね。特に寒い季節になると血液の循環が悪くなることで、手足や指先の体温が下がり冷えを感じてしまうことがあります。
寒い季節に冷えを感じやすいと思われがちですが、冷えは体温調節機能が上手く働かないことが原因なので、真夏でも手足に冷えを感じる方もいらっしゃいます。もともと手や足は身体の中心に近い部位に比べて温度が低く、さらに指先は特に冷えを感じやすいのです。犬も人間と同じように、手足の先での血行が悪いと、手先や足先、肉球がひんやりと冷たくなることがあります。
冬は、冷たい地面をお散歩することで肉球は冷たくなります。しかし、長時間暖かい室内にいるのに肉球が冷たく感じるのは、愛犬の体が冷えているサインかもしれません。
肉球の役割
犬の足裏には、真ん中にある大きな掌球(しょうきゅう)とその上にある4つの指球(しきゅう)、掌球の少し離れた上部に手根球(しゅこんきゅう)と呼ばれる5つの肉球があります。
肉球は皮膚で覆われています。最も外側は皮膚の角質層で、犬の体格や散歩の状況によっては肉球の角質層が非常に厚くかたくなっていることもあります。皮膚の下には脂肪やコラーゲン、エラスチンなどから構成された厚い層があり、プニプニとした弾力性を生み出しています。歩行の際には衝撃吸収材としての機能を果たし、足の骨や関節を守っています。さらに、急な斜面やツルツルとした床や地面で滑らないようにブレーキをかける役割を果たしています。
意外と寒さが伝わらない肉球の秘密
肉球には脂肪を多く含んだ厚い層があり、それが犬が寒さから足先や体を守ることができる理由の一つとなっているそうです。寒さに耐えるのに向いている犬の肉球の構造と特徴から、科学者たちによると、犬のルーツは寒冷地にあると考えられるそうです。
つま先歩行
犬は踵を浮かせてつま先立ちで歩く「趾行性」と呼ばれる歩行をします。つまり、犬の足で地面に接しているのはつま先だけなのです。
そのつま先は、犬種によって特徴的な形態を持つことがあります。例えば、セントバーナードやニューファンドランドは、手先足先がとても大きく接地面が広くなっています。これは、氷雪の上を踏みしめて歩くことに向いている形態です。
肉球ケアとマッサージ効果
犬の肉球は、寒冷地の冷たい地面に対応できるような構造になっていますが、体が小さな小型犬やパピー、シニア犬などは、体温調節が充分にできないことがあるため、肉球や足先、体が冷えてしまうことがあります。
寒い季節は、愛犬の足先や肉球を触ってみて、ひんやりしていないかどうか確かめましょう。お散歩帰りだけではなく、室内にいる時も触れてみると良いかもしれません。
冷えがなくても、冬は肉球が乾燥してひび割れることもあります。舗装された道路をたくさん歩く犬や体重が重い犬では肉球の角質層がかたくざらざらになるのは自然なことですが、ひび割れるようであれば対策をしてあげましょう。
冷えや乾燥対策には、体を温める他に保湿ケアや肉球マッサージが効果的でしょう。保湿のための犬専用の肉球クリームで優しくマッサージを行うこともでき、保湿効果、血流促進効果などが期待できます。
白色ワセリンは安全性が高い?
我が家では愛犬の肉球ケアに「ワセリン」を使っています。ワセリンはデリケートな赤ちゃんの肌に使用しても安全だといわれています。精製度合いによっていくつかの種類があるのですが、その中で最も不純物が少なく精製度が高いものが「白色ワセリン」です。
ただ、人間でも白色ワセリンで稀にかぶれる人もいるようですし、白色ワセリンは舐めて良いものとしては作られていません。お肌がとてもデリケートなワンちゃんで心配な場合や、塗ったワセリンを舐めてしまうワンちゃんの場合には、犬が舐めても害がないとしている犬専用の肉球クリームを使用することをおすすめします。アルコールフリー・無香料・無着色で、素材にこだわった製品がたくさん売られています。
肉球マッサージケアのやり方
①人肌で温めて柔らかくした肉球クリームを、丁寧にムラなく塗り込んでいきます。
②指の腹を使い、愛犬の指と指の間を優しく広げて馴染ませていきます。
③肉球が温まることを意識しながら、掌で愛犬の足を一つずつ包み込みます。
愛犬が嫌がるようであれば、肉球クリームを塗ったりマッサージをすること自体が逆にストレスになるため無理には行いません。クリームを塗られることが苦手なワンちゃんは、温めた濡れタオルなどで、肉球と肉球の間をきれいに拭き取ることなどから徐々に慣れていくと良いかもしれません。
まとめ
肉球は、犬にとって重要な部位であることがおわかりでしょうか。犬の肉球や手先足先がひんやりと冷たく感じるのは、血行不良や基礎代謝の低下、体温調節機能が上手く働いていないために起こると考えられます。
もともと犬は寒い場所でもある程度耐えられる体を持っていますので、パピーやシニア犬以外で冷えがある場合には、血行不良や筋肉量の減少、基礎代謝の低下につながる病気が隠れている可能性も考えられます。そのような病気がある場合には、愛犬が異常にブルブルと震えていたり、食欲や元気がなかったりと、他にも何かしらの症状が見られることが多いでしょう。そんな時は、早めに獣医師の元で診察してもらうことをおすすめします。
【参考資料URL】
https://www.mnn.com/family/pets/stories/18-things-you-didnt-know-about-dog-paws