呼び戻しの簡単トレーニング方法
「呼び戻し」は、飼い主さんが愛犬を呼び、愛犬が飼い主さんの元へ戻る、愛犬の安全を守るためのしつけです。あなたの愛犬は「おいで」と呼んだとき、確実にあなたの元に戻ってきますか?
遊びに夢中になっているとき、他に何か気になることがあるとき、一度は振り返るものの指示を無視し、戻ってこないことがあるのではないでしょうか。飼い主さんから呼ばれたとき、どんな状況であっても確実に指示に従い、飼い主さんの元へ戻れる犬が、“呼び戻しのしつけができている犬”です。
何度も大きな声で呼べば戻ってくる、おやつを見せれば戻ってくる、ということでは、愛犬の安全は保障されません。
1.自宅の室内でトレーニングを始める
まずは、愛犬が一番安心できて落ち着ける環境である、自宅の室内でトレーニングを始めます。愛犬の気が他に移ってしまわないように、テレビや音楽は消し、おもちゃを片付け、しつけを行う人と一対一になるようにしましょう。
2.コマンドはひとつだけ
呼び戻しを行うときのコマンドをひとつ決めます。「おいで」が使いやすいと思います。咄嗟のときにも言葉にしやすいです。もちろん、他のコマンドでも構いませんが、ひとつだけにし、家族で共有しましょう。コマンドが人によって違うと、犬が混乱してしまいます。
3.ご褒美を与える
コマンドを出し、愛犬が戻ってきたら、ご褒美を与えます。おやつを与えても構いません。思いっきり褒めてあげるだけでも構いません。飼い主さんから「おいで」と指示を出されて戻ったとき、「良い出来事が起きた」と学習します。良い出来事が起きることを理解すれば、何度でも繰り返し行ってくれるようになります。
※注意点
指示に従わず、戻ってこなかったとしても、指示を無視してひとり遊びを始めてしまったとして、決して叱らないでください。コマンドと良い出来事を結びつけなければならないのに、コマンドと“叱られた”や“怒鳴られた”などの悪い出来事が結びついてしまいかねません。そうすると、「おいで=嫌なことが起きる」と学習してしまいます。
4.少しずつグレードアップする
はじめは音を消し、おもちゃを片付け、しつけを行う人と1対1になるようにし、犬がトレーニングに集中できる環境を作りました。その環境で呼び戻しができるようになったら、少しずつグレードアップしていきます。
たとえばテレビや音楽などの音を出し、その音に惑わされることなく呼び戻しができるかどうか。窓を開け、外の物音に気を取られることなく呼び戻しができるかどうか。他の家族が同じ空間にいる中でも飼い主さんの指示に集中し、呼び戻しができるかどうか。
もっとグレードアップさせたいときは、インターホンが鳴ったとき、吠えたり室内を動き回ったりすることなく、飼い主さんのコマンドで呼び戻しができるかどうか。さらにグレードアップさせたいときは、外に出て行ってみましょう。ドッグランで遊んでいるときが良い機会です。
近くにドッグランがなければ、公園や広場など犬の散歩が可能で安全な場所を選び、ロングリードを使って愛犬と飼い主さんの距離を取ります。はじめは数メートルで構いません。愛犬があなたの側を離れたときにコマンドを出し、呼び戻しができるかどうか試してみると良いです。
5.犬が他に集中しているときにコマンドを出す
愛犬がひとり遊びをしているとき、室内で他の家族と遊んでいるとき、ドッグランで自由に動き回っているとき、他の犬と追いかけっこをしているときなど、呼び戻しを行ってみましょう。
犬が何か他のことに集中しているとき、夢中になっているときでも、飼い主さんの指示に従い、戻ってくることができれば、呼び戻しのしつけは完璧だと言っても良いでしょう。おやつを食べているときでも、ごはんを食べているときでも、安心して眠っているときでも、どんなときでも確実に指示に従うことができるようになります。
呼び戻しの必要性と呼び戻しができないデメリットと危険性
これまで愛犬と暮らしてきた中で、呼び戻しのしつけの必要性を実感された経験はそう多くないかもしれません。特別しつけなくても良いこと、という考えであるかもしれません。しかし、次のような実話を耳にすると、必要性をグッと感じられるのではないでしょうか。
リードが離れ、交通事故死
リードを手放してしまったり、リードが壊れてしまうなどし、飼い主さんの手から離れてしまったとき。愛犬が道路に飛び出し、車に轢かれ、事故死してしまうことがあります。もし呼び戻しができていれば、愛犬の安全と命は確実に守られたはずです。
預け先から脱走し、行方不明
SNSでもよく見かけませんか?預け先の人が誤って逃がしてしまい、そのまま愛犬が行方不明であるという投稿です。もし呼び戻しができていれば、愛犬を失うことはなかったはずです。呼び戻しは飼い主さんや家族だけではなく、誰からの指示にも従い、戻ることができばければなりません。
まとめ
犬に呼び戻しを教える方法を5つ。そして、呼び戻しの必要性について、実際に起こったケースを元にご紹介しました。
うちの子には起こらない、私はそんな失敗はしない、みなさんそう思われていました。しかし愛犬を失ってしまったのです。呼び戻しができれば、今も一緒に暮らしていたはずだったのです。
プロの手を借りなければならないほど難しいしつけではありません。ぜひご自宅でチャレンジしてみてください。