1.矛盾したしつけ
たとえば飼い主さんがおやつを食べている時に、愛犬が吠えたり前足を飼い主さんにかけたりしてねだってきた、というシチュエーションを想像してみましょう。
ある時は「ダメ!」といって愛犬の行動をたしなめておやつを与えない、またある時は愛犬におやつを分け与えてしまう、という矛盾したしつけは犬を困惑させる原因となってしまいます。犬からすれば「前はこうしたらもらえたし、飼い主さんも笑顔だったのにな…」と、何が良くて何が悪いのかが分からなくなってしまうのです。
これは犬だけでなく、人間の子どもに対してもやってはいけない「ダブルスタンダード」という接し方です。
2.目を見つめて話し続ける
犬はじっと見つめられるのが苦手
犬は飼い主の目を見て合図を読み取る「アイコンタクト」を取ることができる動物です。しかし、本来犬は「じっと目を見つめられること」が苦手です。それは、動物界において相手の目をじっと見ることは「敵意」と受け取られることが多いためです。
そのため、犬は一定時間目が合うことを避けるため、たびたび目をそらすことがあります。人間社会では「目を見て話すこと」は誠意や愛情の表われであり、逆に「相手の目を見ないこと」は失礼にあたってしまいますが、同じことを犬に求めるのは難しいでしょう。
犬は「文章」を理解できない
また、犬は「単語」を意味と繋げて覚えることができますが「文章」を理解することができません。飼い主さんが「これはそうじゃないから、この時はこうしてね…」というように文章で説明しても、愛犬は「?」となってしまいます。
このような人間と犬との違いによって、愛犬の目を見て長い文章を話しかけ続けると愛犬は「なんて言ってるのかな…目を見続けられると緊張するな…」と困惑してしまうかもしれません。
3.頭ごなしに叱る
犬の問題行動として「無駄吠え」はよく話題になりますが、犬にとって無駄な吠えはありません。犬は必ず何か理由があって吠えているのです。飼い主さんのためと思って吠えている場合も考えられます。
犬にとっては自然な行動
人間社会で犬と飼い主が暮らすためには、愛犬に「人間にとって問題である行動」「他の人間や動物に危害を加える行動」などを抑えてもらう必要があります。しかし、犬にとっては「噛む」ことも「吠える」ことも本能に基づく行動です。
「なぜその行動をしてしまうのか」を理解しよう
問題行動とされる行動を頭ごなしに叱る前に「その行動を取る理由」を考えなくてはいけません。頭ごなしに叱るだけでは根本的なしつけができません。愛犬がなぜ吠えるのか、なぜ噛みつくのかなどを飼い主が理解することで、愛犬に「それはしてはいけないよ」と伝えるしつけを効果的に行うことができます。
まとめ
犬はたくさんの単語を覚えることもできますし、飼い主の表情や場の空気を読むことができます。しかし、人間のように文章で物事を深く理解することはできません。
そして、犬の「問題行動」とされる行動には、本来犬にとってごく自然な行動が多く含まれていますので、犬としては「良かれ」と思って問題行動を起こしていることもままあります。
人間が思う「良いこと」「悪いこと」は犬にとってのものとは違うため、人間にとって「良いこと」とされる「目を見て話し続けること」が犬を困惑させてしまうこともあります。
このように、まずは犬という動物を理解し、犬ができることとできないことを認めることで「犬に伝える方法を考える」ことができます。