1.老犬が急に甘えん坊になったら…分離不安症の可能性
老犬によくある病気の中に「分離不安症」というものがあり、急に甘えん坊になったとき、分離不安症の可能性を疑われることがあります。分離不安症は、若い犬でも発症しますが、老犬である場合には、“赤ちゃん返り”という言い方をすることもあります。
老犬の分離不安症とは
分離不安症とは心の病気ですが、その病名の通り、飼い主さんから離れることに強い不安とストレスを感じます。老犬になると必ず分離不安症を発症するというわけではありませんが、老犬が発症することは、そう珍しいことではありません。
老犬の分離不安症の主な症状
- 急に甘えん坊になる
- わがままになる
- イタズラをするようになる
- わざと排泄を失敗する
- 飼い主さんの後をついて回る
- 鳴き続ける、吠え続ける、夜鳴きをする
- 嘔吐や下痢を繰り返す(体調不良)
- 自分の尻尾や手足を噛んで傷つける
これらの症状のほとんどは、飼い主さんの気を引きたいがための行動です。お留守番をする時間が長く、飼い主さんと離れていることに強い不安やストレスを感じ、発散するために自傷行為をしてしまうこともあります。あまりにも強い不安やストレスによって、体調を悪くしてしまうこともあります。
老犬が分離不安症になりやすい理由
老犬になるとカラダの機能が衰えます。視力が衰え、飼い主さんの姿を見失ってしまうことがあります。すぐそばにいるのに、鳴いて呼んだりします。鳴いて呼ぶのに、聴力が衰えたことで飼い主さんの返事が聞き取れず、さらに不安になり、鳴き続けることがあります。
お留守番中、トイレまで上手くたどり着くことができず、トイレではないところで排泄してしまい、誤って踏んであちこちに付いてしまい混乱することもあるでしょう。
そうすると、飼い主さんと離れることに強い不安とストレスを感じ、飼い主さんが帰宅するまで鳴き続けたり吠え続けたりし、近所迷惑になってしまうことがあります。
老犬の分離不安症への対応
イタズラをしても、排泄を失敗しても、わがままを言っても、決して叱らないこと。とくに、お留守番中の粗相は絶対に叱ってはいけません。叱られてしまったことで、お留守番のイメージが悪くなってしまうと、分離不安症を発症したり、症状を悪化させてしまうことがあります。
排泄の失敗を叱ってしまうと、排泄を我慢し続け、膀胱炎などの病気の原因にもなりかねません。お互いに生活がしづらくなるほど、愛犬の症状にお困りなのであれば、早めにかかりつけの獣医師にご相談ください。
2.老犬が急に甘えん坊になったら…体調不良や痛みを訴えている可能性
老犬が急に甘えん坊になったとき、体調不良や痛みを訴えている可能性があります。老犬になると、若い頃とは違う仕草や行動や様子がみられるようになりますね。
しかし、重要なこととして捉える飼い主さんは少ないです。なぜなら、「老犬だから…」「年齢のせいだから…」と、済ませてしまいがちだからです。ただ甘えん坊になっただけでは、体調不良や痛みのせいだとは気づきにくいものです。
老犬の体調不良や痛みの原因になりやすいこと
- 心臓病
- 腎臓病
- 糖尿病
- がん(悪性腫瘍)
- 関節炎
- 呼吸器疾患
次のような症状がみられたら、上記のような病気を発症している可能性があります。
- 老犬になってから急に太ったまたは急に痩せた
- お水を大量に飲み、おしっこを大量に出すようになった
- 疲れやすく、呼吸が乱れやすくなった
- 咳が出るようになった
- 食欲がなくなった
- 歩くことを嫌がるようになった
- スムーズに起き上がったり立ち上がることができなくなった
3.老犬が急に甘えん坊になったら…注意したい病気
白内障
加齢に伴い発症しやすくなる白内障ですが、目が白く濁るため、気づきやすい病気です。目が見えないことで不安になり、急に甘えん坊になることがあります。
変形関節症・椎間板ヘルニア(椎間板突出症)
軟骨が変性することによって発症する、変形関節症。椎間板が突出し、脊椎を圧迫する、椎間板ヘルニア。初期症状としては、痛みを訴えることが多くあります。その痛みを訴えるため、急に甘えん坊になることがあります。
まとめ
老犬が急に甘えん坊になる理由を
- 分離不安症
- 体調不良や痛み
- 注意したい病気
この3つの可能性をもとに解説しました。甘えん坊になることは決して悪いことではありませんし、さらに可愛く愛おしく思えるものです。
しかし、何だか様子がおかしいなと感じたら、なるべく早く獣医さんの診察を受けることをおすすめします。おかしな様子が一切ない場合にも、定期的な健康診断によって、思わぬ病気の早期発見と早期治療にも役立ちます。