犬の心理①物に興味がある、遊び
子犬や家庭に迎えたばかりの犬に多く見られるのが、単純に興味や好奇心から物を噛んだり破壊したりする行動です。目に入る物全てに興味が湧き、自分の手元に持ってきて、口に入れて感触を確かめます。
これは人間の子どもにも見られるように、多くの動物の赤ちゃんが行う行動のため、ごく自然なことだと思います。
破壊するつもりはなく、単純に存在や感覚を確かめるために行うことですが、犬の場合は手ではなく口に入れて確認するため、結果的に壊れてしまうことになるのです。
こうした確認行動から噛んだ時の感触が気に入って、くり返しそれを噛んで壊すようになってしまうこともあります。
犬にとってはそれが「楽しい遊び」であり、飼い主さんを困らせるためのいたずらをしているつもりではないということを覚えておいてあげましょう。
とはいえ、犬が楽しいからと言って興味を示すままに、家具や飼い主さんの持ち物と噛んで破壊されては困りますよね。
そのため、犬を飼ったら、“噛んでいいもの”と“噛んではいけないもの”を教えることが必要です。同じ家の中で一緒に暮らしていくためには、破壊行動をされにくい環境作りとルールの徹底が大切なポイントとなります。
犬の心理②本能的欲求、歯がかゆい
子犬は興味のあるものを口に入れて確かめる行動をしますが、子犬に限らず物を噛むという行動は犬が持つ本能的な欲求のひとつです。
犬は捕まえる・噛む・引きちぎるといった狩猟本能を持っており、それらの行動に喜びを感じます。「噛みたい」という本能から、手の届くところにある物を何でも噛んでしまうということは多くの犬に見られる傾向です。
特にクッションやぬいぐるみなど、噛んで引き裂くことが出来たり、中から綿などを引っ張り出すことの出来るものはより本能が刺激されると考えられています。
また、生後半年頃の歯の生え変わり時期は、歯茎がむずむずとした痛痒い感覚になると言われています。そのため、硬いものなどを噛んでむず痒さをまぎらわせようとします。
このような理由で破壊行動を行ってしまう場合には、噛み心地のデンタル系おもちゃを与えたり、引っ張りっこ遊びなどで狩猟本能を満たしてあげることが効果的です。
犬の心理③ストレスや不安、運動不足
遊び感覚ではなく、暴れ回るように物を破壊するような行動が見られる場合は、犬がストレスや不安を感じている場合があります。
留守番時間が長く分離不安に陥っていたり、生活環境に変化があってストレスを感じていたり、理由はさまざまですが精神的に不安定な時に破壊行動を行う犬はとても多くいます。
また、運動不足で気力や体力が有り余っている時にも、それらを発散するために家の中の物を壊すことが考えられます。
このような場合は、破壊行動やいたずらを叱っても解決には至りません。むしろ、ストレスや不安を抱えている中で、飼い主さんに気がついてもらえず叱られるばかりでは関係性が悪くなってしまうこともあります。
成犬が突然破壊行動をするようになったり、いたずらが悪化したりした場合には、精神的・肉体的な要因がないかよく考えてみましょう。
犬の心理④飼い主の注目を集めたい
犬が物を壊している様子を見たら、ほとんどの飼い主さんは「こら!」「何してるの!」などと叱ったり、犬のそばに行って物を取り上げると思います。
そして、その後もお説教をしたり、物を取られまいと逃げる犬を追いかけたり抱き上げたりすることもあると思います。
しかし、犬が破壊行動やいたずらをする心理として、「多少叱られてでも飼い主さんにかまって欲しい」と思っていることがあるのです。飼い主さんと遊ぶことが大好きな犬は、気を引いて自分に注目してもらうために色々なことを試します。
静かにお利口にしていても、忙しい飼い主さんはなかなか自分の方を見てくれない。そうなると次は飼い主さんが困る行動をして、自分の近くに来てもらおうと考えるのです。
飼い主さんは怒っているつもりでも、遊びたい欲求が強い犬にとってはそれすらもうれしいと感じてしまいます。犬が破壊行動やいたずらをしている時には、出来るだけ無言で淡々と片付けをするようにして犬のことは無視するようにしましょう。
まとめ
犬にとって物を噛んだり破壊したりすることは、とても自然な行動です。「噛みたい」という本能や歯の生え変わりで感じる口内の違和感を紛らわすためなど、犬なりに理由があって物を噛んでいるのです。
また、見知らぬものや飼い主さんの持ち物に興味があって、そのにおいや感触を確かめたいという犬もいるでしょう。
ただし、噛むこと・破壊することは犬にとって自然なことですが、一緒に暮らす人間としてはとても困る行動です。
そのため、犬には噛んでいいものと噛んではいけないものをしっかりと教えなければなりません。遊びや他のコミュニケーションで、本能を満たしたりストレスを発散させるようにして、破壊行動の根本的な改善を目指すようにしましょう。