犬も自信を失うことがあるの?
犬をはじめ、多くの動物が感情を持っています。感情の種類の数には個体差、あるいは種別差があるものの、「嬉しい」「楽しい」「怖い」「不安」といったさまざまな感情を持ち合わせています。
特に、犬は人間との共存生活を長く行ってきた歴史を持っているため、動物の中でも特に人間と似た感情を培ってきたと考えられています。そのため、犬側も人間の感情を読み取る能力に長けており、ちょっとした表情や行動から感情を察知することができるのです。
そんな繊細な感情を持っている犬は、人間と同様、自信を喪失することがあります。それは犬同士で起こったトラブルであったり、飼い主による言動が原因だったりします。
基本的に飼い主は愛犬がいけないことをしたら叱る必要がありますが、だからといって、必要以上に愛犬に厳しくするのは間違いです。それは飼い主としての責務を過剰に遂行しようとするあまり、愛犬の気持ちを無下にしていることになります。
すると、徐々に愛犬は「飼い主に好かれていない」「飼い主は僕の味方でない」「僕はダメな犬なのではないだろうか」といったネガティブな感情を持つようになり、自信喪失に繋がってしまうのです。
犬が自信を失ってしまう『絶対NG行為』
では、犬が自信を喪失してしまうのは、飼い主のどのような行為に原因があるのでしょうか。以下で紹介する行為に心当たりのある方は、今一度、愛犬への接し方を再考し、愛犬に寄り添う意識を持ちましょう。
1.犬同士の争いごとを飼い主が叱責
散歩中、偶然出会った犬と吠え合ったり、唸ったりと攻撃態勢を見せることがあります。このような場合、飼い主が愛犬を落ち着かせたり、その場を素早く立ち去るなど、穏便に事を終わらせるのが良いとされています。
子犬の場合は、犬社会のルールをまだ知らないため、不躾な行為をしたがために、年長犬に犬社会のルールを教わっている可能性もあります。
このような争いごとに飼い主が間に入るような真似は、基本的にNGです。また、その上で、自分の犬に「何をしているの!」などと怒鳴ったり、叱りつけたりする行為は、愛犬のプライドを傷つけることになります。
犬同士には犬同士なりの喧嘩の理由があります。叱るのではなく、速やかに立ち去り何事もなかったかのように終わらせるなど、愛犬が自信を過度に失わないような方法をとりましょう。
2.失敗を過剰に叱る
一度トレーニングが完了した犬であっても、100%と成功するとは限りません。よくある例として、トイレトレーニングが挙げられますが、こちらもトレーニングが完了したからと言って、その後、生涯トイレを失敗しないことは稀です。
人間にも普段なら当たり前にできていることが、たまたま失敗してしまった…ということがあります。犬も同じです。他の日に上手くできているようであれば、強く叱る必要はありません。
ここで強く叱ってしまうと、恐怖や不安が大きくなってしまい、「トイレなんかでここまで怒られてしまった」と自信を失ってしまう原因にもなります。
特に、シニア期に入った犬はトイレを失敗しがちです。今までよりもおしっこを溜めておける時間が短くなることや、足腰の筋力低下に伴い、トイレまでの移動時間が長くなることから、その配分などが上手く行かず、失敗してしまうのです。
シニア犬の場合は、自身がトイレを失敗してしまった事を理解し、落ち込んでいることが多いので、落ち込んでいる様子や、どこか申し訳なさそうな様子を見せている場合は、叱らず「大丈夫だよ」と優しく宥めてあげましょう。
3.愛犬の存在を軽視するような態度をとる
愛犬の存在を軽視するような態度を取る行為も、愛犬はしっかり感知しており、自信を喪失する原因となります。「そんなことする飼い主いるの?」と疑う人もいるかと思いますが、意外にも無意識のうちに行っている飼い主が多いです。
例えば、新しい子犬を迎えたり、家族に赤ちゃんがやってきたりした場合、どうしても先住犬より、子犬や赤ちゃんをかまいがちです。先住犬が「かまって」とアピールしても「後でね」と軽くあしらってしまった経験はありませんか。
こうした環境の変化や飼い主の態度の変化に、犬は敏感です。それにより、「もう飼い主は僕が嫌いなのかも」と自信を喪失してしまい、ストレスを強く溜め込んでしまいます。
他にも、日常の些細な出来事の中にこうした自信喪失の原因が潜んでいることもあります。スマホをいじっている時、テレビを観ている時…。
愛犬が「かまって」とアピールしているにもかかわらず、「今はあっち行って」と冷たく言ってしまったり、無視をしたりしていませんか。こうした態度も、愛犬の自信を失わせる態度に当たります。
愛犬の気持ちにより添った行動を心掛けて
いかがでしたでしょうか。敏感な犬たちは、私たち飼い主の何気ない言動で傷つき、自信を失ってしまうことがあります。自信を失ってしまうと、無気力になったり、食欲不振になったりするので、健康にも悪影響を及ぼしかねません。しつけとして叱るだけではなく、愛犬の気持ちに寄り添うことも重視してください。