1.何の要求かを見極める
愛犬の気持ちを読み解く
犬はちゃんと感情がある動物です。犬は言葉を話さない代わりに、自分の気持ちを態度で表します。そのことを考えると、問題行動と言われている「要求吠え」も犬本来の表現方法と言えます。
しかし、人間社会の中で共に生きていくためには、やはり「要求吠え」のような激しい感情表現は控えてもらう必要があります。まずは愛犬が「何を要求しているのか」を読み取ってあげることが大切です。
犬は感情がある動物なので「こうしたい」「あれが欲しい」などの要求をすべて無視してしまうのは好ましくありません。犬の感情を否定せず、愛犬が何を望んでいるのかを把握した上で「過剰なおねだりの態度」を止めてもらうことが目標です。
すぐに応えるのは△
「抱っこしてほしい」「自分もそれを食べたい」「散歩へ行きたい」いつも愛犬と一緒にいる飼い主さんでしたら、愛犬が今何のおねだりをしているのかが何となく分かると思います。
- 周囲に迷惑をかけない方法でうったえてきた時
- その要求を叶えても愛犬の健康を損ねない場合
- 飼い主さんが要求に応えられるタイミング
には、愛犬の要求に応えてあげましょう。
しかし、
- 吠える噛むなどの問題行動でうったえてきた時
- 食べてはいけないものを要求してきた時
- 飼い主さんが要求に応えられないタイミング
などの場合は、愛犬の要求にあえて応えないのもしつけの1つです。
2.「無視」のしつけ
根負けしてはいけない
要求が通るまで大きな声で鳴き続けたり、噛んだり体当たりをしてくる等の過激な態度で要求してきた時には「無視のしつけ」が効果的です。
しかし、この「無視のしつけ」の難しいところは"根負けしやすい"というところです。無視のしつけが上手くいかない最大の理由は「途中で根負けして要求を叶えてしまうから」ということが多くあります。
愛犬がギャンギャンと吠え続けたらご近所迷惑になるかも…今忙しいから静かにしてほしい…そういって愛犬を落ち着かせるために、無視のしつけを途中で止めて要求を叶えてしまうのはNGです。
無視のしつけは「愛犬が自ら大人しくなるまで要求に応えない」ことが重要なのです。
態度がひどくなるのは「改善の一歩手前」
犬は言葉を話せませんから、態度によって感情を表現するほかありません。飼い主さんが「無視のしつけ」を行うと、おそらく犬は「もっと吠えたら気付いてくれるかも!」「もっと大げさにしたら伝わるかも!」と思うでしょう。
そして、吠えたり暴れたりする態度がより一層ひどくなることがあります。しかし、一見すると悪化したように見えることが改善の兆しです。
無視のしつけに失敗してしまう時、だいたいこの段階で諦めて要求を叶えてしまうことが多くあります。ここでガマンして無視のしつけを一貫することが重要です。
問題行動と結果を切り離す
愛犬との根競べに勝ち、愛犬が諦めた様子になって落ち着きを取り戻したら次のステップへ移行します。
愛犬が自ら静かになって諦めた様子になったら、問題行動と要求が結び付いていた状態から「この行動では要求は通らないんだ」と理解した段階です。
3.「良い行動」にすり替える
次の段階は「良い行動と要求を結び付ける」ことが目標です。愛犬が静かになったら「オスワリ」などのコマンドを言います。愛犬がコマンドに従うことができたら、しっかり褒めてあげて「無視のしつけ」は終了です。
その後で叶えてあげられる要求であった場合には叶えてあげ、無理な要求の場合は遊びに誘ったり、おやつを与えたりするなど「別の楽しいこと」をしてあげましょう。
飼い主さんがお忙しくて「今は叶えてあげられない要求」の場合は、飼い主さんの良いタイミングで応えてあげましょう。無理に今叶えなくても、飼い主さん主導で応えてあげるのもしつけの1つです。
「正しい伝え方」を理解してもらう
犬は「メリットのある行動」を取りますので、もしも犬が問題行動を起こしているなら「こうすると良いことがある」と考えているためです。
犬に止めてほしい行動がある場合は
- その行動では良いことは起きない
- 別の行動で良いことが起こる
と、認識を新たにしてもらう必要があります。
まとめ
「犬の要求は全部叶えてはいけない!」というわけではなく、「正しい方法で感情表現をすること」を理解してもらうことが重要です。そうして正しい行いができた時には、できる範囲で愛犬の要望を聞いてあげることも大切です。
犬も感情を持った生き物ですので、ただ座っているだけのぬいぐるみではありません。愛犬と飼い主さんがお互いに理解し合い、お互いの理想をすり合わせていくしつけが目標です。