犬はジャンプする動物
どんなに言い聞かせても、どんなに叱っても、高い場所に乗ることや高い場所からのジャンプをやめてくれないことがあります。高い場所を好むのには理由があります。
例えば、ソファーやベッドは居心地がよく、寛ぐ場所として選ぶ犬が多いですね。大好きな飼い主さんのニオイがし、安心できる場所でもあります。自然と高い場所が居心地がよく安心できる場所になってしまっていることが高い場所を好む一番の理由でしょう。
そういった場所からおりるとき、ゆっくり慎重におりる犬もいますが、ほとんど犬がジャンプしておりようとします。どのようなリスクがあるのか、今すぐにやめさせなければならない理由について一緒に考えてみましょう。
ジャンプのリスク1.膝蓋骨脱臼
「しつがいこつだっきゅう」と読みますが、超小型犬や小型犬と暮らしていると、よく耳にする言葉なのではないでしょうか。超小型犬や小型犬に多い症状ですが、中型犬以上の犬に起こらないということではありません。高い場所からジャンプしたことによる膝蓋骨脱臼は、全ての犬に起こり得る症状です。
高い場所からジャンプし、着地した瞬間、膝蓋骨が本来の位置からズレてしまうことがあります。高い場所からジャンプしたことで、激しく転倒してしまうなども膝蓋骨脱臼の原因となることがあります。
先天性と外傷性
膝蓋骨脱臼には、先天性のものもありますが、高い場所から飛び降りたことによる膝蓋骨脱臼は、外傷性と呼ばれます。生まれつき(先天性)膝蓋骨脱臼の症状がある場合、高い場所からのジャンプによって、症状を悪化させてしまうことがあります。
外科的手術では治すことができなくなってしまう可能性がありますので、症状が深刻化してしまう前に、高い場所からのジャンプをやめさせましょう。
ジャンプのリスク2.骨折
骨折の中でも特に多いのが、手(前足)の骨折です。主な原因は、高い場所からのジャンプ。ソファーやベッドの高さからジャンプしただけで、ポキッと骨が折れてしまうことがあります。
お留守番中に起きてしまうケースも多くあり、手をかばうようにして歩いたり、手が地面に触れないようにして歩いていたりすることで、愛犬の異常に気づくことがあります。痛みによって鳴き続けることもありますし、痛みを我慢するようにジッとしていることもあります。骨折した部分の腫れもみられます。
骨折の治療は負担が大きい
骨折の治療には、
- プレートと呼ばれる金属の板を骨にネジでとめる方法(プレート法)
- 皮膚の外側から骨を固定する方法(創外固定法)
- 骨髄部に金属のピンを通して骨を支える方法(髄内ピン法)
- 手術はせず、ギプスのみで治療する方法(副子固定法)
などが主にありますが、骨折の部位や状や程度によって治療法は異なります。大きく切開しなければならず、犬のカラダへの負担が大きい手術もあります。獣医師の高い技術を要する手術もあります。
飼い主さんとしては、手術をすることなく、犬のカラダに与える負担の少ないギプスでの治療を選択してあげたくなるかと思います。ヒビや骨折部位がそれほどずれていない場合はギプス固定で修復できる可能性がありますが、骨折の程度によっては骨折した部分を完全(原型)に戻すことは難しいとされています。
ジャンプをやめさせるには?
- 犬を不必要に興奮させないこと
- 犬用の階段やスロープを設置すること
- 高い場所からジャンプしたくなるような環境にしないこと
この3つだけでも、高い場所からジャンプをやめさせることができます。環境を整える必要がある場合には、例えば、ソファーをロータイプに変えるなどすると良いです。飼い主さんのベッドではなく、愛犬用のベッドでくつろいでもらえるよう、ベッドの選び方や置き場所にも注目してみると良いでしょう。
まとめ
犬の“高い場所からジャンプ”を今すぐやめさせるべき理由は、
- 膝蓋骨脱臼
- 骨折
この2つによって、病院へ運ばれてくるケースがあるからです。脱臼や骨折の程度によっては、治療後の生活に不自由が生じることも考えられます。
取り返しのつかない事態を避けるためにも、高い場所からジャンプは今すぐにやめさせましょう。高い場所からジャンプさせないための環境へと変えましょう。