動物介在読書プログラムとは?
動物介在読書プログラムとは、1999年にアメリカのNPO法人「インターマウンテン・セラピー・アニマルズ」がスタートさせたプログラムです。
- 読書が苦手で読解能力が低い
- 学習障がいによって読書が苦手である
- 母国語ではない言葉が苦手である
このような子どもたちに、本を犬に読み聞かせることで読書能力の向上をはかるという目的があります。
なぜ犬に読み聞かせるのか
どうして人にではなく、犬に本を読み聞かせるのでしょうか?そこには読書が苦手な子どもたちの心の成長をサポートするメリットがありました。
失敗を恐れて読書嫌いになることがある
本を読むこと、特に声に出して朗読することが苦手な子どもたちには「読み間違いへの恐怖心」がある場合が多いです。読み間違えてしまった時にクラスメイトに笑われたり、大人に指摘されて傷付いてしまうと、子どもたちは失敗を恐れて読むことから離れてしまいます。
犬は「ただそこで聞いてくれる」
しかし、犬が聞き手の場合はどうでしょうか。犬たちは文章が分かりませんので、読み間違いに笑ったり注意したりしません。子どもの朗読を、ただそこで聞いてくれるのです。これがこのプログラムのポイントとなります。
犬に読み聞かせるメリット
1.失敗を恐れずに朗読できる
犬はたとえ子どもが読み間違えたとしても、それを指摘したり笑ったりしません。そのため、子どもは失敗することを恐れずにのびのびと本を声に出して読むことができます。読書が苦手な子どもの「失敗したらどうしよう」という恐怖心を払拭することができるのです。
2.自信が付く
失敗を恐れるということは、自己肯定感が低いということです。犬に読み聞かせることで、たとえ途中失敗したとしても「犬に読み聞かせをしてあげられた」という経験ができます。
それは、犬が最後まで自分の朗読を聞いてくれたという成功体験です。これらによって、子どもは「自分にもできるんだ」という自信が付きます。
3.読むことに意欲が出る
大人であっても、苦手なことは避けてしまうものですよね。しかし「自分にもできる」という自信が付くと、読むことが好きになるかもしれません。今まで遠ざけてきた読書に興味を持ち、もっと読みたいという意欲が生まれやすくなります。子どもが本に触れ合うきっかけとなるのですね。
犬に読み聞かせる時のポイント
聞き手には穏やかな犬を
読み聞かせるお相手としての犬には、子どもの読み聞かせを最後まで落ち着いて聞いてもらう必要があります。そのため、読み聞かせる犬は穏やかで落ち着きのある子が適しています。
実際に教育法として取り入れているフィンランドでは、読み聞かせの相手として最も適した犬種はバーニーズマウンテンドッグだとされています。バーニーズマウンテンドッグは穏やかな性格で落ち着きがある子が多く、体格の良い大型犬でどっしりとそこにいてくれる雰囲気があることなどが理由です。
決して評価をしない
そばで見守る先生やお母さんは、決して子どもの読み聞かせに評価をしてはいけません。「上手に読めたね」「もっと大きな声で読んで」などの評価や指摘は、子どもの失敗への恐怖に繋がってしまう恐れがあります。
一緒に言葉の意味を調べる
「わんちゃんはこの言葉を聞くのは初めてなんだって。一緒に調べてわんちゃんに教えてあげよう」というように、子どもが読んだ文章の中にある単語について、分からないことを一緒に調べてあげましょう。
知らないことを自分で調べること、そしてそれを他人に説明することは、内容をしっかり理解するためにとても良い勉強方法です。こうすることで読書を楽しいと感じることに加え「知らないことを知る楽しさ」も感じることができます。
まとめ
「犬に読み聞かせ?馬に念仏なのでは…?」この記事のタイトルを見た時、そう感じた方もいらっしゃるかと思います。実は、犬に本の読み聞かせをすることは犬のためではなく、読書が苦手な子どもたちのためにとても良い学習プログラムです。
学習障がいや母国語ではない言語などによって読書に抵抗感がある子どもには「読み間違えたらどうしよう」という恐怖心があることが多いです。
そういった子どもたちにとって"ただそこにいて聞いてくれる"犬に本を読み聞かせることは
- 失敗を恐れずに朗読できる
- 読書に自信が付く
- 読書への意欲が出る
などのメリットがあります。
子どもが犬に本を読み聞かせる時、見守る方は決して読み聞かせに対しての評価をしないようにしましょう。そして、子どもが意味を知らない言葉は一緒に調べてあげ、子どもに犬に説明してもらうことで直接的な学習にも繋がります。
- 読み聞かせることができた達成感
- 犬に意味を教えてあげたという自信
このような経験を積み重ね、子どもに読書へ親しみを持ってもらうことが「動物介在読書プログラム」の目的です。